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迫り来る雨音【環境問題小説】
前日に降った雨が土の道路に水たまりを作り、そこを行く車が水を通行人にかけながら走り去っていく。
一人の青年が泥水をズボンの下半分にかけられて、それでも怒ることもなく喫茶店に入ってきた。
「リプトン1つ」
青年は愛想よく店員の女性に声をかけた。店員は悪戯っぽく笑いながら
「冷たい水は要らないの?」
と聞いてきた。このやり取り、もう1週間連続である。青年は
「要らない要らない」
と笑いながら断った。
音楽(芸術)は環境問題を改善できる:発信のもう1つ手前の話
環境問題という逃げられない問題が、私たちの上の世代から引き継がれ、恐らく私たち以降の世代まで宿題となって、いや連帯保証として人々の頭を悩まし生活を脅かすことは前回までに書いている。
活動家が陸上競技場に侵入した理由は何か
正直にいえば、人工知能やスマートフォン、そして軍事的な技術などがこれ以上進歩しなくても、未来の世代は何も困ることはないが、
「隣の国が開発を止めないのであれば、自分たちだけがそ
本当に「子供たちのために」
子供たちのために?
「子供たちのために」というフレーズを聞き飽きて10年くらい経つ。それでも時として、聞き飽きたフレーズに再び耳を傾けようと思う時が来る。そういう時は決まって人の熱さに耳を傾けている。
前にも書いたが、「SDGs」が謳われ始めると情報社会ゆえに何処でも何時でもみんながこの言葉を使うようになる。それは国の補助金欲しさであったり、企業イメージアップのためである場合が殆どで、少し掘り下げ
辞めるのは簡単:大量生産にアイデアと工夫で勝負する
ベナン人との出会い先日、紹介で面白い人物に会った。私が、ビニール袋やプラスチック袋などのゴミを使って、誰でも作れて、みんなが使えるものを作っているということに興味を持ってくれた人だった。ベナン出身でウクライナ留学歴を持つ、ビジネスマンだった。彼は私と会ったあと、2時間ほどに渡って彼自身が手掛けてきたビジネスの話をした。写真を見せながら流暢な英語で説明してくれた。自転車のタイヤを使ったハンガー掛け、
もっとみるゴミ拾いが趣味になる日
ゴミ拾いが趣味になる時ゴミを拾うことの目的は、地域美化だったり環境問題改善であったり色々あるだろうが、ゴミを拾った先で、何かを作るという目的があるとゴミを拾う時の気持ちはガラリと変わる。
例えば、私の場合は主にビニール袋を拾っている。ビニール袋は紐に生まれ変わり、ベルトや草鞋(わらじ)になり、ボールにもなる。ブルキナファソの袋は大抵が真っ黒で、デザインなどはない。日本だと白が主流だが、この国では白
ゴミを拾うことは自己満足なのか
自己満足という言葉が少し前に流行った。
大抵の場合、悪い意味で使われるが、本当は自己満足をすることが生きていく上で大切なことであると、それを言うだけの回である。
私は自己満足でやっている節もある「ゴミ拾いをすることは自己満足である」、そんな心無いコメントを散見するが、それはある意味で正しい。
私が、ブルキナファソに着いたのは4月半ばであった。それから3日と経たないうちに、人々が当たり前にポイ捨て