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きゅんとした話

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#エッセイ

好きだった人に「早く結婚しろよ」と急かされるので。

好きだった人に「早く結婚しろよ」と急かされるので。

私の初恋の話をしよう。

と言って、興味を持ってくれる人が
どれぐらいいてくださるのかは分からない。

ならばこうしよう。

話を始める前に、まずこれを見てほしい。

この世界がコロナ禍になるずっと前、
彼と訪れた居酒屋での一枚。

「「完全に一致じゃね?」」

盛り付けられていた唐揚げの最後のひとつをとったとき、私たちはそこに隠されていたラピュタを発見した。〜♪ あの地平線 輝くのは どこか

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彼女が温かい紅茶を飲んでいますように

彼女が温かい紅茶を飲んでいますように

数年前、私はオンライン英会話にはまっていた。

何度目かの流産がきっかけで体調をくずし、会社も休職し、毎日家でぼんやりと過ごしていた頃の話だ。

初めのうちは、突然おとずれたその休暇をそれなりに楽しんでもいた。

朝起きて、仕事へ出かける夫を見送り、簡単に家事をすませ、散歩がてら図書館まで歩き、帰ってきて借りた本を読む。夕方が近づけば買い物にでかけ、そこそこ丁寧に夕食をつくり、夫の帰りを待つ

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夢を諦めさせてくれた人

夢を諦めさせてくれた人

先生へ

ご無沙汰しています。さとうです。
と言ってもおそらく、先生はもう、僕の事を覚えていないと思います。
最後にお会いしてから、もうすぐ10年が経とうとしています。

僕は約10年前、先生から脚本を学んでいました。
10年振りにこうして文章を書いているのは、理由があります。
どうしても、先生にお伝えたいしたい事があります。

1人に向けて書くんだよ。たった1人に

まず、その前に僕の事を思い出

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嫉妬してもいいし、不安になってもいい。

嫉妬してもいいし、不安になってもいい。

何かを手に入れた瞬間から、それを失う恐怖が始まる。

モノに限らず、人間関係にもそういうことってあるものです。
最初は「仲間になりたい」だったのが、いざ仲間になると今度は「仲間外れにされたくない」が始まります。

男女の仲も同じで「あの人と付き合いたい」と思ってる時が一番ドキドキしていていざ付き合いが始まると「あの人が離れていくのが怖い」と思うようになるケースもチラホラ。

F子の場合。

その典

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I Miss You

I Miss You

その女性は美しく、優しいまなざしで僕を見つめている。

静かな温泉宿。かすかに聞こえる川のせせらぎが心地いい。

今朝の夢。

もう20年以上も前のことだ。

見た夢にいちいち運命を感じるほどロマンチストではないが、なぜ今なのだろうか。

普段は頭の奥の引き出しにしまったままにしている思い出。そのまま、そっとしておいたつもりなのに。

なぜ今、彼女が夢に。

なぜ今、彼女のことを

僕は思い出して

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全然好きじゃない人と結婚したら幸せだった

全然好きじゃない人と結婚したら幸せだった

私は多分、夫にときめいた事がない。

顔がタイプな訳じゃないし、好きな食べ物も、好きな映画のジャンルも、好きな漫画のジャンルも全然違う。

彼は私が大好きな「3月のライオン」を全巻買い揃えておきながら、1度も読んでくれた事がないし、私が大好きなチーズケーキも嫌いだ。

私が高校生だったとしたら、多分、恋愛に発展しない相手だ。



元々、愛されるより愛したい病の患者だった私。

それ故に数々の失

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チョキくんのこと

チョキくんのこと

就寝前、部屋の明かりを消す直前のことだった。
私の膝に座ってくつろいでいた5歳の息子が、唐突に「今日ザリガニ死んじゃったんだよ!」と、嬉々として話し始めた。

そのザリガニは夏になる前の頃、保育園の先生の誰かが持ってきてくれ、教室で飼われていた。チョキくんと名付けられ、子どもたちが代わりばんこに餌やりをしたり、同様に先生が採ってきたクワガタと並んで可愛がられていた。

死んでしまったというので、そ

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本当はすごい、あなたへ。 P294.

本当はすごい、あなたへ。 P294.

思ったような結果にならないことなんて、生きていれば、山ほどあります。

むしろ、そのほうが多い、いや、9割くらいそうなんじゃないかと思えることもあるかもしれません。

そこで、「じゃあ、もういいよ」と投げ出したり、腐ったり拗ねてしまっていたらもったいないです。

なぜなら、そこからが勝負、そこからが本当のスタートだったりするケースが多いからです。

チャンスの神さまが空の上から、「どーかなー? こ

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ビンテージショップで常連になるのは『選ばれた人』だけだと思ってた

ビンテージショップで常連になるのは『選ばれた人』だけだと思ってた

6年前、28歳の秋。
友達と知人の合間くらいの同世代女5.6人くらいで集まったとき。
そのうち1人が異様に洒落た服装で現れた。他の誰かが「そのコートかわいいね!」と声をかけたら「ビンテージの服にハマってる」とのことだった。

「もう安い服とかじゃなく大事な数着を長く着続けることにした」とか語るその子を死んだ目でみながら私は「いいなあ」とか「私もそうしたいなあ」とかじゃなく「そういう人生の人は良いよ

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