砂男(すなを)

『わたしたちの人生会議』佳作、『第一回心灯杯』『第二回心灯杯』二連覇、『#あなたの推し…

砂男(すなを)

『わたしたちの人生会議』佳作、『第一回心灯杯』『第二回心灯杯』二連覇、『#あなたの推しnote教えて』特別賞、『うっかり炎上選手権:物理部門』優勝。 誤字脱字スベリは世の常。こんなご時世だからこそ、オモチロイ話をしようじゃないか!スベリサバイバー。

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終の棲家(ショートショート)

ここへ来るのは何年ぶりだろうか。 北陸のある港町。私はここで生まれ、育った。 だがこの町に住んでいた両親が他界した後は、ここを思い出すこともなかった。数年前にあのネットニュースの記事を見るまでは。 『 最後の住民がお引越し。人口ゼロの町に 』 ニュースによると、町に最後まで残っていたある高齢者が施設に移ることになり、そこに住む人がとうとうゼロになったという。古い建物はそのままにし移住者を募集するらしい。 「移住者募集か。しかし何もないあの町では… 残念ながら今後は

    • ハルカ

      伊勢海老、食ったことあります?  僕はちょっと記憶になくて。今回お祝い事があったので思い切って行ってみました。 それがね、ちょっと聞いてよ奥さん。伊勢海老って大きさが違うじゃない。値段どう決めてると思う? 末端価格10グラム200円ですって、キャー! でね、700グラムの伊勢海老が出て来てびっくり。何度も頭の中で計算したわよ 「700グラム、10グラム200円、70かける200…」 でもね、お祝いなのでエイヤっと「ああ、700gね」なんてかっこつけてサラリと注文したのよ。

      • デートのお店選び、どうしてます?

        ゴールデンウィークですね。みなさまお楽しみいただいてますでしょうか。 デートでお出かけ、なんていう方も多いと思いますがそんなときのお店選び、どうしてます? というのも先ほど一人飲みの途中に足りなくなった酒のつまみを買いにコンビニに行ったんですよ。そこである雑誌を見かけまして。 前から思ってたんですけど、この手の雑誌。「ちょっと金持ちのおっさんが若い女の子を連れて歩くためのお店選びの雑誌」だと思ってるのですが。 狙いがわかりすぎてて、こんなの家に置いておけないじゃないです

        • 乾杯、日本の衆 #呑みながら書きました

          中目黒でランチをいただいてきましますた。この時期のサクラが見えるお店はランチも11時からと13時からの2回転させるようです。せっかちな僕は当然ながら11時からをチョイス。午前中からのんぞゃいました。 午前中から飲んじゃったら、もう飲むしかない、飲み続けるしかない。 ということで、中目黒でプリンセスを見送ったあと、やって来ました外濠公園。 3年連続です。ここ、いいんですよ。 花見ができる場所はたくさんありますが、電車で行けて、降りてすぐ花見ができるところはそれほどない。

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        • 4LDK
          2本

        記事

          4LDK (2)西山と東子

          最近お気に入りの時間の過ごし方がある。 朝早く職場に行き、その分仕事をちょっと早く終えて。夕暮れ時、誰もいない家で一人ワインを飲む。 テレビもつけず、ゆったりとした音楽を聴きながら。一口ずつ、ていねいに、味をたしかめながら。 今日はイタリアの赤ワイン。シチリアのネロ・ダーヴォラを使ったワインだ。 うまい。酸味が強すぎるのは苦手だがこれくらいならちょうどいい。安いワインだが値段なんてどうでもいい。一人で飲むんだ。自分がうまいと感じるなら、それでいい。 iPhoneから

          4LDK (2)西山と東子

          4LDK (1)みなみと西山

          冬には牡蠣が食べたくなる。冬にしか食べられないものでもないのだが、冬になるとなんとなく牡蠣を食べておかなくちゃという気になる。 ”何を” が決まっているのだからあとは ”どこで” を決めるだけだ。去年は銀座のオイスターバー、今年は六本木のお店を選んだ。 ”誰と” も決まっている。 いつもは早めに入って一杯飲みながら待つのだが、今日はスタート時間が決まっているので予約ギリギリに入った。駅から歩いて2分ほど、せまい階段を地下に降り、重厚な扉を引くと、暖色系のライトに照らされた空

          4LDK (1)みなみと西山

          社長への応援歌

          昔、ある人がこんなことを言ってました。 「社長というのはひとつ職種だ。パートもひとつの職種。だから本来は上も下もない。どちらの職種も会社には必要であり、それぞれが自分のできることを精一杯やればいい」 たしかに。こう考えるととてもわかりやすいですね。 ところが。 世の社長たちの中にはこうは思ってない人もいるようで。 「俺が雇ってやってる」 「お前を拾ってやったのは俺だ」 「ここで働きたいのなら俺の言うことを聞け」 などなど。簡単に言うとバカにしてるんですよね。「俺が

          社長への応援歌

          黒い球

          思い出せない。なぜこんな所に。 神楽坂で飲んで… それから電車に乗って帰ったはずだ。なぜタクシーに。そしてなぜタクシーの運転手はこんなところで俺を降ろしたんだ。 トンネルの中…  どこなんだここは。 「ぐ… 」 頭に激痛が走る。酒のせいじゃない。そういう痛みではない。頭の奥をハンマーで殴られたような痛みだ。 どうなってるんだ… そうだスマホを… 無い。内ポケットか。いや内ポケットにはアレが入っているはずだ。 だが内ポケットに手を突っ込むと、指の感触はそ

          左手は添えるだけ。右手で注ぐだけ。 #呑みながら書きました

          今ね、家出ワイン飲んでます。ええ、一人で。スラムダンク。今流行ってるんでしょ?スラムダンク。だからね、スラムダンク飲んじゃうよ。 マイケルジョーダンのダンクシュートのようなワインを造りたいと思った醸造家のワインなんだって。 『試合に勝った時、大きな商談をまとめ上司をうならせた時、人生において自分なりのスラムダンクを決めた時を思い起こすワイン―完璧なブレンドで飲みやすく、とにかく旨い!と誰もが納得し、なおかつ手に取りやすい価格。そんなワインを彼らは目指しました』 ホンマか

          左手は添えるだけ。右手で注ぐだけ。 #呑みながら書きました

          Lucky to be me 

          なんて日だ、というまでひどくはないけれど。いつもこうだ。大切な日には雨が降る。 いつものお店に行くだけなのだが、今日は荷物がある。できれば濡らしたくない。それに片手に傘を差すことになれば両手が塞がる。小さなバッグでも肩掛けできるのを選ぶぐらい、できれば両手をあけていたいタイプの僕にはそれだけでけっこうな苦痛なのだ。 昼までは晴れていたのに。それが外に出るタイミングでこの雨。 しょうがない。僕は左手に荷物、右手に傘を持った。 「いらっしゃいませ」 「どうも」 いつも

          Lucky to be me 

          よく行くバーがある。店員とも仲良くしていて、その一人が今日で辞める。 彼女と知り合ったのがいつだか忘れたけど。この店のカウンターだった。何かの拍子に彼女が僕の息子の同級生だったことがわかった。たぶん学級参観で顔は見てるはずなのだがそこは女の子だ。25にもなれば子供の頃とは別人、目の前にいるのはその辺りのモデルさんには負けてないきれいな女性だ。 彼女は高校を出て美容の道に入ったのだが、そこで待ち受けてたのは労働の搾取と先輩からのいじめだった。1年半。それを短いと言ってしまえ

          80年代ヘヴィメタルはこれを聴け!

          この企画のおかげでやっと書ける。 前から書いてみたかったが勇気がなかった。絶対にウケない。それがわかっていたからだ。 ウケるために書いてるわけじゃないけれど、誰にも全く必要とされないのならそれは自分の中に留めておき、こうして外に出すことなど必要ないと思っていた。 だが、そうじゃあないんだ。この企画が気付かせてくれた。誰にも読まれなくても、書けばいいじゃないか。誰のため?自分のためにだよ。書くこと、読むことで、自分が楽しむために。俺は書く。書くぞ。 さて。 どうだろう

          80年代ヘヴィメタルはこれを聴け!

          ヤァヤァヤァ!ワインセラーがやって来た。請求もあとからやって来る! #呑みながら書きました

          ワインセラー、買っちゃいました。3万円ちょっとの。 こんなつもりはなかったんです。ワインを飲み始めたのが5月ぐらいだったかな。まだ半年もたってない。なのに、ワイセラーまで買うなんて。 これ。見て。 18本入る。今一本飲んでるから中には12本入ってる。、 なんで?!一人で飲むのになんで在庫が12ほんあるの?! ハマってる。これがハマってるということ。これがハマってる人。いらないのに欲しくなる。  今飲んでるのはこれ。 1000円くらい。これがめちゃ旨い。びっくり。

          ヤァヤァヤァ!ワインセラーがやって来た。請求もあとからやって来る! #呑みながら書きました

          家出と親の役割

          家出をしたことがある。思春期じゃない。50歳近くになってからだ。 大阪に出張があり、その前日に名古屋の実家に寄り一泊していこうと思っていたのだがそこで親子げんかになり、僕は家を飛び出した。 そのまま新幹線に乗り、着いた大阪でビジネスホテルを探し、そこで泊った。 * * * * 親との確執は10代のころから続いていた。僕にとって彼らは『僕の話を聞いてくれない人達』だった。それは今も変わらない。世代なのかもしれない。親父は最後には「子は親の言うことをきくものだ」と言う。

          家出と親の役割

          『インディー・ジョーンズ 最後の聖戦』と富士山登山

          明日、富士山に行ってきます。登山経験もないのにいきなりの富士山です。ちゃんと頂上まで登れるのでしょうか? 自分でもとても不安です 笑 事の起こりは一ヶ月前、赤羽の立ち飲み屋でベロベロになっていたところに旧友から入った1通のLINEでした。 20時20分「富士山登らん?」 僕は返答しました。 20時32分「行くか。自信ないけど」 このスピード感、この判断力。これぞ酔った勢い。お酒ってすごい。 それから一ヶ月間、ジムでのトレーニングに加えて練習として四つの山に登りまし

          『インディー・ジョーンズ 最後の聖戦』と富士山登山

          君と夏の日を

          曇天。晴れ女の君にしては珍しい。 でもこのところの猛暑を考えるとこれくらいの天気の方がいい。女の子にとって日焼けは大敵だ。それに中目黒の駅から少し歩くこの店。着くまでに汗をかいてしまうとせっかくのメイクや香りがもったいない。 川沿いのレストラン。店の一番奥、四人がけのテーブルに座り、僕は外を見ていた。 今日はどんな服を着てくるんだろう、どんな話を聞かせてくれるのかな、そういえばこの前読んだ本の話をしなくちゃ、そんなことを考えながら冷えたビールで喉を潤す。 黒い日傘。店

          君と夏の日を