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水木三甫の心葉♡♧詩集

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心葉♡♧詩集では、心に感じたままを言葉に置き換えて表現した詩を掲載します。 まだまだ表現力不足で、うまく伝えられない未熟な僕ですが、進化していく姿を追いかけていただき、感想などを… もっと読む
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2023年5月の記事一覧

明暗行路(詩)

明暗行路(詩)

帰り道のない道を歩いていく。
一方通行の道を歩いていく。
過ぎ去ったものはすべて捨ててきたつもりだったのに
新しい世界へ旅立とうと歩き始めたはずなのに
過去の亡霊が足を重くする。

60歳を目前にして病気のために会社を辞めた。
僕の行き先は暗闇に包まれている。
僕はこれから何をすればいいのだろうか。
残りの人生をいかに生きればいいのだろうか。
足を止めることができない以上
歩きながら考えるしかない

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人魚姫(詩)

人魚姫(詩)

唇に夏の気配を漂わせ
君は颯爽と海辺を歩く
僕の視線に気づきもせずに
君は青い空を仰ぎ見る
波が君の足元を洗い流し
再び海へと戻っていく
「どこから来たの?」
勇気を出して声をかける
君は笑って水平線の向こうを指でさす
「海外から来たの?」
僕の質問を無視して
君は海に入っていく
沖へ沖へと泳ぎながら
いつしか君の姿は見えなくなった
僕の足元にビーチサンダルだけを残して

少年と本(詩)

少年と本(詩)

少年が一人本を読んでいる。
教室の片隅で少年は本を読んでいる。
クラスメイトはグループに分かれ、おしゃべりやゲームをしている。
ときどきグループから離れて、不良っぽい男の子が少年の近くに来て、
「一人だけ頭良くなろうとするんじゃないよ」
と少年の肩を殴る。
それでも少年は一人本を読んでいる。
本の中身はまったくわからない。
クラスメイトがいる意味もわからない。
自分がここにいる意味もわからない。

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今ここにあるもの(詩)

今ここにあるもの(詩)

今ここにあるもの
若者の不安と大人の傲慢
効率重視の世界とそこからはみ出した世界

今ここにあるもの
占領しようとする国と日々死んでいく人々
核で守られた世界と武器も持てずに殺されていく人々

今ここにあるもの
自然を金としてしか見ない人々と何もなく餓死していく人々
金が第一と考える人々と命が第一と考える人々

今ここにあるもの
愚かな人々と賢い人々
破滅へのカウントダウンとより良い未来を作る最後

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ホウヨウ<キュビズム風>(実験的詩)

ホウヨウ<キュビズム風>(実験的詩)

アメ      キミ

 ノ  ナカ   ノモトヘ カラダヲ

ハシッテ   オレノ

   ビショヌレノ

イクカラ       アタタメテオクレ

あなたの物語(詩)

あなたの物語(詩)

あなたは自分の物語を生きている
物語の中には苦しかったことや悲しかったこと、負けそうになって人生を投げ出したくなったこともあっただろう。
それでもあなたの物語は続いている
これからも困難な場面に出会うかもしれない
それでもあなたの物語は続いていくだろう
ハッピーエンドに向かって

心はどこに(詩)

心はどこに(詩)

僕の心がなくなった。
レントゲンで調べても、CTスキャンやMRIを使っても、どこからも心は見つからなかった。

今日は大事なデートの日なのに。
僕は心を持たずに彼女との待合せ場所へ向かった。

彼女は笑顔で待っていた。
彼女は僕の心を大事そうに持っていた。

そうだ、思い出した。
僕は彼女に心を奪われていたんだっけ。

秘密の花園(詩)

秘密の花園(詩)

妖精が住んでいるという秘密の花園
妖精に出会うと幸せになれるという御伽噺

小さい頃、私は妖精に会いたくて秘密の花園を探した
公園の花壇を見たり、近所の花屋さんに入ったり
でも、妖精を見つけることはできなかった

今思い出してみれば、あの経験が私に花の美しさを教えてくれた
もしかしたら、花そのものが妖精だったのかもしれない

秘密の言葉(詩)

秘密の言葉(詩)

秘密の言葉を探すため
僕は世界中を旅している

その言葉さえあれば戦争も起らず
その言葉さえあれば世の中のすべての人が幸福になれる

そんな秘密の言葉を探して
僕は旅を続ける

秘密の言葉はそこらじゅうにあるが
捕まえようとするとすぐに逃げてしまう

まだ誰も捕まえたことがない秘密の言葉
それがどんな言葉なのか
未だ誰も知らない

光の粒(詩)

光の粒(詩)

「空気中の光の粒を集めておくと幸せになれる」
昔、おばあちゃんに言われた言葉を今になって思い出した。
小さい頃に集めた光の粒はもうどこにあるかわからない。

あれから僕は日陰を生きてきた。
情熱や夢、希望という言葉が嫌いだった。
だから今、光の粒の貯金はゼロの状態ってわけだ。

僕は3日ぶりに外に出た。
雲ひとつない青空から光の粒が降りそそいでいる。
僕は両手を広げて光の粒を体に取り込んだ。
光の

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雨の効用(詩)

雨の効用(詩)

雨音が聞こえる夜
僕は一人、目を閉じて雨音に聞き入ります。
そうすると雨が体の中を流れていくような感じがします。
僕の渇いた心に水分を与えてくれるような
僕の体に溜まっていた澱を洗い流してくれるような
自分がとてもきれいになったような
そんな気分になります。
雨音が僕を静かな眠りへと誘います。
だから僕は雨の夜が好きです。

密やかな時間(詩)

密やかな時間(詩)

千鳥ヶ淵緑道を歩く。木々に被われた土の上を歩くと、地面が少し縮んでいく。木々の幹からは新緑が勢いよく伸びる。

草の中に蚊柱のような小虫の集団がところどころに現れ、モンシロチョウが花のまわりを飛び回り、葉の上で休んでいる。
世界には人間よりも虫のほうが多いことに気づかされる。

白や黄色、紫に赤い花。草むらの中の自然のイルミネーションが目を喜ばせる。
涼しい風が吹き、葉を揺らす。散歩日和。

一週

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揺れているもの(詩)

揺れているもの(詩)

どうしてそんなに揺れているの?
風なんかまったく吹いてないのに

どうしてそんなに揺れているの?
地震が起きたわけでもないのに

どうしてそんなに揺れているの?
教えて
私の裸の心