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少年と本(詩)

少年が一人本を読んでいる。
教室の片隅で少年は本を読んでいる。
クラスメイトはグループに分かれ、おしゃべりやゲームをしている。
ときどきグループから離れて、不良っぽい男の子が少年の近くに来て、
「一人だけ頭良くなろうとするんじゃないよ」
と少年の肩を殴る。
それでも少年は一人本を読んでいる。
本の中身はまったくわからない。
クラスメイトがいる意味もわからない。
自分がここにいる意味もわからない。
教室のざわめきの中、少年はただ一人、黙って本を読んでいる。

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