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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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#日記

【読書記録】高山羽根子「ススキの丘を走れ(無重力で)」

【読書記録】高山羽根子「ススキの丘を走れ(無重力で)」

この中に収録されている、小学生のころの記憶を掘り返す短編「ススキの丘を走れ(無重力で)」がすごく好き。
自分もこんなきれいで不思議な小説を書いてみたい。分量的には30分ほどで読めます。

学校を卒業してしばらくして再会した人がいると、こんな会話が発生しませんか。
「あいつ覚えてる?」
「あの子今何やってるか知ってる?」
 そんな感じで、記憶を掘り起こす話。久しぶりに再会した同級生と、子供のころいっ

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8月20日 Audible覇権の予感。今日買ってきた本は「キリング・ヒル」

8月20日 Audible覇権の予感。今日買ってきた本は「キリング・ヒル」

エックスあるいはツイッターやってること自体が恥ずかしくなってきた。
誰かが言ってたけど、だらだら続けてるSNSをバッサリ切ると、ダメな彼氏を振った時ぐらいスッキリするらしいよ。潮時だー。

海外ミステリーの大作、グレートサークルを買おうと思ったら田舎では書店に並ぶのが2日遅れらしくて、たまたま 表紙がいい感じだったキリングヒルというのを買ってきた。

本を読み上げる Audible が調子いいと聞

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芸人が絶対に避けるべきことは「横柄」。

芸人が絶対に避けるべきことは「横柄」。

SMA芸人本「弱者の戦略」を読みました。

カバーの文句。
なぜSMAは後発でありながらM1、KOC、R1グランプリで優勝できたのか?

答えは、ネタを作り、みんなでダメ出しをし合い、大事な場面でいつも通り披露したから。

自分で作って、人にみせる。
それだけ。
それを繰り返すしかない。
ソニーのお笑い部門に勢いがあるといっても成功するのは1%以下。大多数がバイト生活。
疲れた状態で、寝るか、新ネ

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【読書日記】のっぺらぼうのYouTuber的精神。ラフカディオ・ハーン「怪談・奇談」終わり。

【読書日記】のっぺらぼうのYouTuber的精神。ラフカディオ・ハーン「怪談・奇談」終わり。

雪で凍える車内で、たまたまラフカディオ・ハーンの怪談・奇談が手元にあるので続きから読み始めた。寒いなかで雪女の伝承などを読むことで、これはもう4DX体験やん、得したやん、と思うことで寒さを迎え撃ってやろうとしたのだ。

フロントガラスを覆った☃。ワイパーでさっと両脇にどけると、ちょうど開いた本の形に外が見える。

ラフカディオハーンが日本中で集めた怪談・奇談のかずかず。死んだ人が形を変えて戻ってき

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【読書】ミステリーしか読まない人にも保坂和志を読んでもらいたい。「ハレルヤ」

【読書】ミステリーしか読まない人にも保坂和志を読んでもらいたい。「ハレルヤ」

あらすじだけ切り抜いたら、よくある、泣ける動物ものみたいだけど違います。
がんになった猫の花ちゃんにリスクのある治療を受けさせようか迷ったら、花ちゃんは「ニャア!」と鳴いた。
「花ちゃんがやるって言ってる!」
と、飼い主の夫婦は治療を決めた。

保坂和志短編集「ハレルヤ」

ペットが死ぬ話だけど、飼い主はずっと深刻になるわけじゃなくて、猫に関連する昔のことを思い出したりどうでもいいことを連想したり

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これは、本棚に納めたら芸人のほうも納まった三四郎

これは、本棚に納めたら芸人のほうも納まった三四郎

三四郎を読んだら三四郎が結婚した。

このエピソードトークがウソっぽい上に面白くないのはさすがの僕でもわかる。

けど、本や音楽が思い出のトリガーになってて、
「たいしたことじゃないけど、この曲はあの年の通勤中に聞いてたなあ」
とか、覚えるつもりないのに毎回思い出すってこと、あるでしょう。

ちょうど角川文庫の紙の表紙の文庫シリーズが好きで、江戸川乱歩を一通り終えて、夏目漱石の草枕が想像以上に好き

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【海外マンガ】病の前に芸術は無力だと思ったけど。「テイキング・ターンズ」が届いた

【海外マンガ】病の前に芸術は無力だと思ったけど。「テイキング・ターンズ」が届いた

「テイキング・ターンズ」は、書店に並べる場合、どのコーナーに置くべきかわからない本です。
エイズが死に至る病だったころの医師やナース、そして患者の言葉が、イラスト入りで描かれている。アメリカのマンガなのでいちおうアメコミだけど、ぼくの知っているアメコミではない。

正体不明の死の病だったころのエイズ病棟では、人生の最後にも「同性愛者だから」「エイズが怖いから」と、家族すら来てくれない患者がいる。

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【ガンダム】ラスボスだと思っていたシャアがいきなり来た。はじめての「機動戦士ガンダム」1~2話

【ガンダム】ラスボスだと思っていたシャアがいきなり来た。はじめての「機動戦士ガンダム」1~2話

ヒーローとロボットに全く興味をもてない男の子だった。
特にガンダムは10000回はギャグやパロディの対象で見てきたし、熱く語ってるおじさん達を先に見たりして、あんまり「見たい!」とは思わない作品だった。
けど、スーパーロボット大戦を語る友人、「三体」からの個人的SF小説ブーム、「アオイホノオ」で知る当時のオタクカルチャー、アマゾンプライムで配信されているのも重なって、そろそろ、時が来たと。ガンダム

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金田一耕助シリーズは二人目の犠牲者が出たときが一番怖い。

病院の待合室で「犬神家の一族」を読んだ。
その後バリウム飲んでぐるぐる回る台の上で逆さまに近い状態になって、俺も犬神家!? みたいになったのが面白かったんだけど、こうして書くと作り話みたい。悔しい。

金田一耕助シリーズを読み始めました。
ミステリー好きからしたら「今更!?」って話ですが、仮面の男がいて、犠牲者が池に逆さづりにされるビジュアルが有名なあれ。

「犬神家の一族」は、おおざっぱに言うと

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【読書】獄門島

【読書】獄門島

かつて流刑にあった罪人の子孫が住む島「獄門島」に、ニューギニアで終戦をむかえた探偵がやってくる。
有名ですがシリーズ初体験。横溝正史の金田一耕助シリーズ「獄門島」。

いま、名探偵と入力したら予測変換で「コナン」と「少年の事件簿」のほうが上だった。孫よ。有名になったのう。

金田一耕助には、若いハツラツとしたイメージがないけど、名探偵として難事件を解決したあと、兵隊になってニューギニアで生活してい

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空回りする苔栽培とSFライフ

空回りする苔栽培とSFライフ

苔を買った。ゆくゆくは苔テラリウムとかいうものを形にしたい。部屋の隅にそっとガラスの容器に緑を閉じ込めてミニチュア世界の創造主になって眺めるんだ…。

そんなことを言っていたような気もしますが、その後の苔の具合は悪く、枯れたわけではないけど茶色くなってしまった。
苔なんか栽培するだけなら楽勝だろう、だって駐車場のわきの溝で誰にも世話されずにずっと健康なんだから。枯らそうと思っても枯れないぐらいじゃ

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「生理ちゃん」は「ギャルと恐竜」ぐらいのポップさでアニメ化されるべき

小山健「生理ちゃん」が最終回らしくてしょんぼりしている。

「ギャルと恐竜」ぐらいのポップさでアニメになってほしかった。まさかの実写映画化はあったけど、映画館は、わざわざ足を運ぶところだ。
ふだんアニメを見ている男性の生活圏内に自然にはいってくることが、この作品の「完結」だと思っていた。

毎回オムニバスで、さまざまな職業や立場のちがう男女が主人公になる。
女性には生理ちゃん、男性には性欲くん、と

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「三体Ⅱ」上巻を読み終わった!

「三体Ⅱ」上巻を読み終わった!

ここからの文章は「三体」の内容にちょっと触れてます。

だが、
「うまい棒の大部分は空気なんだぜ」
とばらされても、うまい棒の醍醐味は変わらないし、タコ焼き味の表面の硬さの存在感が唯一無二なことを損なうわけではないのと同じで、多少内容を知ったところで「三体」の満足感は揺らぐものではない。

だけど余計な情報を入れたくないと感じる人もいるだろうから、敏感な方は読まないでねっていうか、うまい棒って空気

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「三体Ⅱ」が面白すぎて他のことが書けない

「三体Ⅱ」が面白すぎて他のことが書けない

宇宙人と三国志の話をするSF小説です。

ぼくはゲームバカなので、読書は好きだけど本がゲームの「夢中」を越えてくることはめったにない。
絵があって、音があって、他に目がいかないようにコントローラーを握らされた状態で遊ぶゲームという娯楽に慣れてしまって、なかなか読書がゲームを越えてくることがない。

なのに、前作をほとんど忘れている中国のSF小説「三体」が越えてきた。数ページ読むたびに、本を閉じて「

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