金田一耕助シリーズは二人目の犠牲者が出たときが一番怖い。

病院の待合室で「犬神家の一族」を読んだ。
その後バリウム飲んでぐるぐる回る台の上で逆さまに近い状態になって、俺も犬神家!? みたいになったのが面白かったんだけど、こうして書くと作り話みたい。悔しい。

金田一耕助シリーズを読み始めました。
ミステリー好きからしたら「今更!?」って話ですが、仮面の男がいて、犠牲者が池に逆さづりにされるビジュアルが有名なあれ。

「犬神家の一族」は、おおざっぱに言うと遺産相続トラブルの話。

巨額の資産をもつ犬神グループの総帥が死去。
家族、親戚、お手伝いさんが集い、最後の一人である長男スケキヨが、顔につくった大きな傷跡を隠すために仮面をつけた状態で帰ってきて、一族が揃ったところで初めて遺書が開封される。

そこから、犬神家に恨みを持つ者らの複雑な駆け引きがはじまり、ひとりが無惨な死体になって見つかる。

犬神家では「斧・琴・菊」が家宝として大切にされているが、死体はそれぞれに関連した状況で発見される。

うわ、すごくいい!と思ったのが、一人目の犠牲者が出たときは真の異常性に気づかないところだ。
僕と同じで読んだことない人もいるだろうから詳しくは書かないけど、たとえば「斧」を使った殺人があるとする。
その次に、二人目の犠牲者が「琴」をひく姿で見つかる。 
そこでやっと、そういえば一人目は「斧」だった! と殺人者のルールに気づく。
犬神家に恨みのある人物が、「斧・琴・菊」の3つの家宝を血に染めようというルールで動いている! ということは、これで終わりじゃない。もう一人だれかが「菊」に関連する殺し方で狙われている!

ひとりめの犠牲者では、単に残酷な事件が起きた怖さ。
ふたりめで精神的にも異常な部分があることを知り、つぎの犠牲者と殺し方の予想ができてくる。
デスゲームなら、開始時にルール説明がある。二十面相もルパンも犯行前に予告状を出す。だけど金田一耕助シリーズは「ルール」に気づいたときにはもう中盤あたり。取り返しのつかないところまで来ていることに、ふたり目で気付く。登場人物も読者もそこでぞわっと鳥肌がたつ。

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スケキヨ、映像では仮面が白なのは笑ってしまう。周囲を怖がらせないように傷跡がないころの自分に似せた仮面を作ったのに、あのデザイン!

読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。