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偶然にしては、運命すぎる旅6【バイバイ群馬編】〜それは尾瀬へのプロローグ、彼岸花と自然と満月〜


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不思議だけど、辿り着いた。
尾瀬のような美しい自然に。

もし。

もし、導かれている、
ということが本当にあるのなら。

そんなロマンチックなことが
あるとするのなら。

背中を押して
くださったのかもしれない。

「大丈夫。
キミたちなら行けるよ」

神さまが
尾瀬を諦めかけていた私たちに
尾瀬に行く勇気を与えるため、
「覚満淵」に
導いてくださったのかもしれない。

それくらい、
「覚満淵」の景色は
尾瀬に行くパワーを
与えてくれた。

もっともっと
ロマンチックなことを言うと。

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昨日見た満開の彼岸花。

空から花が
ひらひらとふってくる、
「良いことの前兆」として
語り継がれている彼岸花。

その景色は
今日起こる出来ごとを
予感させていたのかもしれない。

良いことが起きる前兆、
「小さな尾瀬」に
出逢うための前兆、
だったのかもしれない。

空が映る「覚満淵」の湖に
ひらひらふる木の葉を見ながら、
そんなことを思った。

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そのあとも
冒険家のように
ぐるっと一周し、
尾瀬スタイルの景色を
楽しんだ。

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幸せな巡り逢いに、ありがとう。

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「覚満淵」に感謝を告げ、
展望台へ。

群馬の街並みを一望する。

街を包み込むような
淡くスモーキーな空。
心も淡く、
やわらかくなっていく。

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自然は人の心を
中心に
なだらかに
もとある場所に
戻してくれる。

静かな時間が流れる。

「帰ろっか」
「うん」

ありがとう、赤城山。

山頂からの下り道は
予想外。
100個のカーブが
待ち受けていた。

結構、ハードだ。

カーブの数をカウントする看板。
減っていく数字。
旅の終わりの
カウントダウンのようで
少し寂しくもあった。

群馬の自然さん、
ステキな景色をありがとう。

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さあ。
帰り道は長い。
そろそろ
夕焼けタイムが始まる。

それにしても、
さすがに助手席の私でも
睡眠不足と疲労で
目と耳がおかしくなってきた。

途中、コンビニに寄る。
眠気覚ましに
アイスコーヒーを買う。

お手洗いから帰ってきた
耳男くんが
「ね、ボクの目おかしくない?
クマできてない?」
と聞いてくる。

たしかに目のまわりが赤い。
クマみたいなのもできている。
きっと
疲労困憊なのだろう。

そりゃ。
昨日もお出かけして、
今日も早朝から
6時間以上ぐるぐる運転して
たくさん遊んで、
100個のカーブを
下ってきたんだもの。

少し気を抜いた瞬間に
心身に疲れがでるのが
普通である。

運転を代わってあげたい。

でも…
今の疲労した状態では、
知らない場所で
久しぶりの運転を
こなす自信がなかった。

「ん〜、ちょっと
目の下赤いかもね」

オーバー過ぎない言葉を選んだ。

「よく見て、
クマすごくない?」

「ん〜、ちょっとあるかも?」

私の反応に不服そうな耳男くん。
何度か私に確認してくる。
こんなに疲れを
アピールしてくるなんて
珍しい。
本当にきついのだろう。

どうにかしてあげたかった。

だけど、
運転を代わることしか
代替え案がない。
私にはそれができない…。

何と言ってあげたら
よかったのだろう。

「すごいよ、大丈夫?」
本当はそう言いたかったけど、
その状況を救う
「運転代わろうか?」
という次の言葉が言えなかった。

ごめんね、耳男くん。
そして、
いつも運転ありがとう。

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夕焼けタイムが始まった。

助手席で
無言のエールを送りながら、
「夕焼けよ、
耳男くんにパワーをください」
と願った。

後ろを向く。
さっきまで居た景色が
遠くなっていく。
その奥で
今朝の朝日と同じような
強い光を放つ、夕日。

キレイ。
山並みの中へ
ゆっくり沈んでいく。

耳男くんが
ナビの案内から道を逸れ、
夕焼けが見える場所に
車を停めた。

「1時間だけ寝るね」
「うん!ゆっくり」

休憩だ。よかった。

耳男くんは休憩を
あまりとらないタイプなので、
ちょっと安心した。

疲れてる中でも、
ちゃんと
夕焼けが見える場所を
選んでくれる、やさしさ。

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耳男くんが寝ている間、
夕焼けを眺めながら
今日撮った写真を振り返る。


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ん〜、やっぱり
尾瀬みたいだったな~。

そうだ!あの場所のこと
調べてみよう。

Google先生に、
「覚満淵」と打つ。

すると、

えっ!

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前述した通り、
「小さな尾瀬」「小尾瀬」
という文字が。

衝撃を受け、後ろを振り向く。

耳男くんは車中泊ベッドで
すやすや寝ている。

起こしたい。

耳男くん、
私たちやっぱり
尾瀬、
みたいな場所にいたんだよ。

こんな偶然ってある?

一人で興奮する。

いや、
耳男くんには
明日言おう。

元気な時に言ったほうが
きっと喜ぶぞ。

最近は、
言うタイミングというものを
考えれる女になってきた。
感情のまま
怒ったり爆発することも減った。
相手の状況を
思いやれるようになってきた。

それに。
仕事を辞めて数年、
長年背負ってきた
鬱のような感覚が
抜けていったような気さえする。

悔しいことや諦めたことが
たくさんあったけど、
「治す」以外のことを
手放す勇気は
間違っていなかったのかもしれない。

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ちゃんちゃんちゃららり~♫

アラームが鳴り、
耳男くんが目覚める。

気づけば、
辺りは薄暗くなっていた。

「夕焼けどうだった?」
「まだ寝なくて大丈夫?」

互いが互いを想う言葉が
同時に漏れる。

「うん、大丈夫」
少しスッキリした表情。

耳男くん、
本当にありがとう。

まだ帰り道は長いけど、
よろしくお願いします。

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太陽の余韻が消え、
暗くなった景色を
窓から眺める。

静かにスッと
全てが流れていく。

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思えば、
まだ自分の心が
頼りない時。

耳男くんは常に
私の太陽だった。

暗闇の中にいた私は
耳男くんの明るさに照らされ、
ぼんやり輝くことができた。
おぼろ月のように。

耳男くんは太陽で、
私は月なんだ。
そう思っていた。

だけど、
最近は耳男くんを
照らせる存在になりたいな
と思うようになった。
たまに
私が太陽になれてるんじゃ
ないかな?という時もある。

耳男くんと結婚して
学んだことは、
夫婦というものは
自然にある
あらゆるものに
それぞれがなるんだな、
ということ。

自然は
長い長い歳月を経て、
いろんなものが
ちょうどいいバランスで
「気持ちいい」環境を
つくっている。

何かが足らなくなったり
何かが増えすぎたりすると
どこかでバランスを崩し、
災害や異常気象を引き起こす。

夫婦もそう。

最初は何が
ちょうどいいのか分からない。
多すぎて、窮屈になったり
少なくて、寂しくなったり。

だけど、
一緒に過ごしながら
好きなことや嬉しいことを
共有したり、
違う価値観を
認め合ったりする中で、
2人なりの
「気持ちがいい」環境が
分かってくる。

こうすればいいんだなって、
気持ちよくいられる
バランスが分かってくる。

夫婦になって最初に訪れる
本当の共同作業って
ケーキ入刀と見せかけて、
「気持ちいい」バランス探し
なんだと思う。

でも、どうやって
バランスをとればいいのか
分からなくなる時もある。

そこで、”自然”なのだ。

自然の中にいると
「気持ちいい」瞬間がある。
耳男くんの隣でいろんな
「気持ちいい」瞬間に
ふれた。
私もこんな存在になりたいな~
と何度も思った。
2人の関係が
上手くいってない時ほど
強く思っては、反省した。

そんな感覚を
何度も体験しているうちに
あ、そうか。

私たち夫婦も
”自然”で考えればいいんだ、
私が
”自然”の「気持ちいい」瞬間に
なればいいんだ、
と思うようになった。

太陽、月、風、空、木、
水、花、雲、雨、鳥…。

あらゆるもので成り立つ
自然に。

何億年という時間をかけて
それぞれの関係性を
作り上げてきた自然に。

何かあったら
”自然”を振り返って、
私たち夫婦なりの
「気持ちいい」バランスを
保てばいいんだと思った。

心に影がかかってる時は
太陽になって
照らしてあげればいいし、
雨が降り続く日は
木の葉になって
心の花を守ってあげればいい。

心が乾いた時は
湧き水のような
生き返るうるおいに、
疲れて帰ってきた時は
森のような
安らぎになれたら嬉しい。

動けない時は
背中を押す風のような
勇気に、
嫌になったら
鳥のように
一緒に自由になればいい。

楽しい時は、
小鳥のように軽やかに
おしゃべり。
たまに
朝焼けのような
サプライズをして。
互いのやさしさに日々に
小さく可愛い花を咲かせて。
その姿に救われる人でもいたら
幸せ。

どちらが
太陽とか月とかじゃなく。
「これだ」と決めつけることなく、
長い時間を
気持ちよく暮らせるように。

「愛する人のために
何ができるだろう」と、
何にだってなればいい。

その指標は
自然が教えてくれる。

そこに愛があれば。
私は何にだってなれる。

耳男くんと
育んだ愛に
そう教えてもらった。

今は?

そうだな。
やっぱり今は
運転する耳男くんの隣で、
ひっそり静かに。
だけど肝心な時に
ホッとする灯りや道標になる、
月でいたいな。

なんて
一人、自分と会話する。

今日もあっという間に
1日が終わる。

ぜーんぶっ、
楽しかったなぁ。

楽しいから
あっという間になんだよな。

ふと。
空を見上げると、月。

満月が出ていた。

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あ、明日は十五夜、
お月さんだった。

まん丸はっきりとした
キレイな満月。

私の心も、
もうあの頃の
おぼろ月ではない。

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あなたの隣で
私、
満月になれた。


終わり。

泣き虫 パン子

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