「カステラ色の月」ー詩ー

秋の月は　カステラ色
時々　流れる白い雲と
手をとりあって
長話を　始める

秋の月は　ひっそり輝く
お嫁入の　女神さまが　
髪を整え　紅を直す姿を
金色の　月鏡に映す

秋の月は　寂しがりや
独りぼっちが　続くと
ホロホトと　涙を流す
涙は　空の流れ星になる

子供のころ
父さんと　一緒に
縁側で　お月見した

父さんは　決まって
満州で見た月は　赤くて
大きかったと　昔の物語

月の　蒼さに　照らされた　
父さんの　横顔は　痩せて
髭面の　兵隊さんの顔になる

秋の月は　不思議がいっぱい
だれもが　心が澄み渡り
心の奥の　怖さは　消えて
幸せな明日を　信じるようになる

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