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ふみサロエッセイ

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文章執筆サロン「ふみサロ」に提出したエッセイ作品、こちらにまとめています。
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#創作大賞2024

文章執筆サロンで学んでます

文章執筆サロンで学んでます


★エッセイ塾(文章執筆サロン)ふみサロ

毎月エッセイを書きながら文章上達のための勉強をしています。

「ふみサロ」では、毎月提示される課題本から得たインスピレーションをもとに、自分に絡めて約800字でエッセイを書いて提出。月に一度オンラインにて参加メンバー同士での講評会があります。また、講師の先生からの講評や、文章WS、出版に関する学びetc.が受けられます。

★書籍化されています

ふみサ

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エッセイ【私、なにか、そんなに、悪いこと、した?】

エッセイ【私、なにか、そんなに、悪いこと、した?】

親戚に本屋さんがいると知ったのは、小学3年生の時だ。父がその小さな町の本屋さんに連れて行ってくれた。
「なんでも好きな本、買ってやるぞ」と言われた。

自分で本屋さんで選んで買うなんて初めての体験だ。ワクワクと同時にどう選べばいいのか、すごく悩んだ。いつもは、家にある本か学級文庫の本しか読んだことがない。ふと、児童書の棚を見たら知っているタイトルの本が目に入った。

数日前クラスメイトのAちゃんが

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エッセイ【虚心坦懐で、跳べ!】

エッセイ【虚心坦懐で、跳べ!】

鈍くさくてトロくて、鬼ごっこは最後までずっと鬼。逆上がりもできない、登り棒なんて登れるわけもない。縄跳びも飛べないし、跳び箱も無理。ドッチボールでは常にボールが当たる。小学校6年間、体育の成績は3段階評価の一番下「もう少し」。

子どもの頃、体育はだいっきらいだった。

そんな私が、今でも忘れられない中学3年の時の体育の授業がある。
助走をつけて片足で踏み切り、跳び越えるバーの高さを競う走り高跳び

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エッセイ【耳にこびりついているあの鳴き声】

エッセイ【耳にこびりついているあの鳴き声】

小学生の時、飼っていた金魚やウサギと一緒に新しい家に引っ越した。小さな庭と池がある家。池で金魚を、ケージに入れたウサギは庭の隅っこで飼うことになった。

引っ越してすぐに気づいた。庭が猫たちの通り道になっていることに。毎日我が物顔でやってくる猫に、池の金魚はみんな殺された。

ある朝、ウサギのケージがひっくり返って開いていた。まっ白いウサギの毛の塊が落ちている。その毛を拾い上げ視線を移した先に、お

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エッセイ【野辺送りの葬列】

エッセイ【野辺送りの葬列】

末っ子である父の実家は滋賀県にある小さな村。
小学生の頃、長期休みの時にお祖母ちゃんおじちゃんおばちゃん従兄姉たちのいる父の実家に、ひとりで何日も泊まらせてもらうのが楽しみだった。自然に囲まれた中で思いっきり自由に転げまわって遊んだ田舎での明るく楽しい思い出が沢山。

そんな大好きだった田舎だけど、父の子ども時代の話を聞くと、山で狐に化かされたとか川で亡くなった友達の幽霊に出会ったなど、ちょっと怖

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エッセイ【Wash my hands】

エッセイ【Wash my hands】

2年生になったら、Aコース就職Bコース進学Cコース英語という進路選択ができる高校に入学した。……はずだった。進級時に英語コースを選んだのはたった10人ほどで、こんなに少ないのでは1クラス作れないから、AかBどちらかのコースを選びなおせと言われた。うそぉ!Cコースで英語勉強する気満々で入学したのに、どういうこと!?

うちの学年だけ英語コースがなくなった。

それを理由に、親に頼んで英会話スクールに

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エッセイ【なぜ毎日神社参拝しようと思ったのか?】

エッセイ【なぜ毎日神社参拝しようと思ったのか?】

めちゃめちゃ三日坊主の私。熱しやすくて冷めやすい。
そんな私が、神社に365日連続参拝してみようと思い立ったのは2014年の12月のこと。でも急に三日坊主の自分が365日神社に!と思うとプレッシャーに負けそうなので、まずはそろりと翌年の元旦から21日間神社参拝してみるところから始めてみた。21日間というのは、「なにかを習慣づけるために必要な期間」と言われている。さて無事に、21日間連続参拝が達成し

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エッセイ【旅も人生もトラブルはつきもの。楽しんでいこう!】

エッセイ【旅も人生もトラブルはつきもの。楽しんでいこう!】

20代初め、3軒ほどの歯科医院にアルバイトの歯科衛生士として、朝からだったり昼からあるいは夜から……と、都合の良い曜日と時間に自由に好きなように働くという生活をしていた時期がある。朝こっちの医院で働いて昼は映画を観に行って、夜は別の医院で仕事。次の日は朝から遊園地のプールetc.連日遊びも仕事も目いっぱい!というその日暮らしのような生活を続けていたら、過労からか、というより遊び過ぎて病気になってぶ

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エッセイ【まっ白いノートがまっ白いままだったわけ】

エッセイ【まっ白いノートがまっ白いままだったわけ】

頭になにか思い浮かんだら、まず書き出してみる。いつでもすぐに書けるように、我が家はノートやペンがそこいらじゅうに転がっている。

まっ白いノートに考えたことを書いていくのは、とても楽しい。
書くことで、頭の中のもやもやが言語化され、感情や思考が整理される。そこから次にやるべきこと、進む道、自分の本音も見えてくる。書き出すことで「考える力」は確実に鍛えられるし、書かれた言葉が自分自身を知る道しるべに

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エッセイ【この地球上にたったひとりしかいないから!】

エッセイ【この地球上にたったひとりしかいないから!】

「もうちょっと僕を大切にしてください」
学校から帰ってくるなり長男が言った。次男である末っ子が生まれてすぐ、たしか小学1年生の時のこと。
「え?大切にしてるじゃない。何言ってるの?」
と聞く私に
「怒ったりしないで、もっと優しく大事にしてくれなきゃダメだよ。だって、僕は絶滅危惧種なんだから!」
と鼻の穴をふくらませた。

ぜ、絶滅危惧種!?

「学校で習ったんだ!数が減って絶滅しちゃうかもしれない

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エッセイ【失敗の子育て】

エッセイ【失敗の子育て】

子どもの頃、「失敗」するととんでもなく怒られた。だから、失敗や間違い何かやらかしてしまったことはとにかく隠す、親にバレないようにごまかすべきものとなっていた。なぜ間違えたのかどうして失敗してしまったのか、検証して次は失敗しないようにしよう。そのためにどうすべきかという学びの入る余地はゼロだった。

ある時、昼食中の父が手を滑らせ茶碗を落とした。食事時に度々お皿や茶碗をひっくり返したりこぼしたりして

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エッセイ【痛みの記憶を塗り替える】

エッセイ【痛みの記憶を塗り替える】

しゃべろうと思えば思うほど、声を出さなくちゃとあせるほど、呼吸は荒くなり動悸は激しくなる。発作が起きたみたいになって、いうことをきかない私のノドと唇。やっと開けた口から出るかすれたような声。吹き出る汗。震える膝。早くこの場から逃げたい。どこかに隠れたい。消えてしまいたい。火照って真っ赤になる頬。ひきつって痙攣するまぶた。情けない。恥ずかしい。またきっと後からからかわれる。声を出さなきゃいけないのに

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エッセイ【その本は、まだ生まれていません。】

エッセイ【その本は、まだ生まれていません。】

その本は、まだ生まれていません。
私の頭の中にだけ、その本はあります。

中学の時、初めて書いた小説もどきは、まだ書きあがっていなかったのに、国語の教師に持っていかれたまま……返却されなかった。卒業式の時に返して欲しいと言えなかった自分に、いまだに腹を立てている。
いわゆる中二病感満載の今思い出しても赤面するような小説もどきを、私はなんだってあの教師に渡してしまったのか。もしもあの時、とぼけたふり

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エッセイ【一行のメモが、一生を変える】

エッセイ【一行のメモが、一生を変える】

部屋の片づけをしていると、引き出しの奥、本の間、手紙入れの中、ファイルボックス、あらゆるところから「メモ」が山ほど出てくる。ノートの切れ端、レポート用紙にコピー用紙、広告の裏、どうかすると箸袋、レシートの裏、時々ちゃんとしたメモ用紙……。その時その時に「あ!これ書いておかないと」と思った瞬間に、手近にあった紙に殴り書きしているからだ。

年に数回、家の中のあちこちから出てくるメモを一カ所にまとめる

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