鬼イキリ地獄
学ぶことが好きだ。
元来、見栄っ張りで恰好つけな僕は、好奇心はそんなにないけど知識欲は結構あるほうで、もう人生の半分をyoutubeを見て過ごしている。
そこで色んな知識を浅く広く得ていくので、「物知りだね~」と言われることもしばしばあるのだけど、人生において、何かに長く熱中したことがほとんどない。
ここにすごく引け目を感じている。
「やりきった」と感じることが今まで一度もなく、いつも途中で「これじゃない」と思ってやめてしまう。
熱中が続かない、とも言える。
ずっと僕は、人生を薄く延ばすのではなく、上に積み重ねていきたいと思っていた。
豊かな人生とはそういうものだと思っていたし、
何かに夢中になれない人生は、退屈だ。
退屈は、辛い。
宿題の無い夏休みが無限に続く日々は、しんどいものだ。
僕は積み重ねることが出来ないと人間だと思っていた。
けど最近になって、その認識は少し変わった。
僕は「ひとり孤独に」積み重ねることが出来ない人間だということ。
応援してくれる人が一人もいない中で、できるハズもなかった。
僕の本質は、クリエイターでもないしアスリートでもない。
めっちゃくちゃな一般人だ。
誰かがいないと、何も出来ない。
「みてこれすごいでしょ」と言える人がいないと、何も頑張れない。
「もっといい音を出したい」と、誰にも理解されない中で一日10時間練習し続ける人に比べて、なんて僕の動機は凡凡なんだろうか。
30歳成人説は正しい。
そろそろ自分が特別な人間だと思う思春期の上着を脱がなければいけない。大人にはこの場所は暑すぎる。
マジックをやったり、芝居をやったり、太鼓をやったり、葬儀屋で働いたり、人力車をやってみたり、何か人とは違う経験ばかりしてきたのは、自分だけは特別だと思う為だったんだね。
早々に「普通」の道から逸れてしまったわけだから。
とにかく僕は、ヒト・エネルギーで動く人間だったらしい。
誰かがいれば、できる。
俺は、できる。
簿記を取っていました。
noteを全く更新できなかったのはそのせいです。
基本的に勉強よりもnote毎日更新とかのほうがしんどい。
勉強はラクです。答えがあるから。
元々、事業がしたくてずっと会計の勉強をしたいと思っていて後回しにし続けていたけど、
「今CPAラーニングで簿記の講座受けられるよ。無料だよ」
と10月に友人にススメられ「人生のうちに勉強できるチャンスは今しかない気がする」と直感し、僕は10年振りの勉強をした。
日商簿記3級の試験は簡単で、減価償却とか貸倒引当金とか小難しい単語が出てくるだけで、結局やることは四則演算だ。
√も関数も二次方程式すら全く覚えていない僕ですら2週間とかからずに合格した。
マジで小学6年生の必修科目にすればいいのにと思う。
簿記は完成させた学問と呼ばれていて、完璧主義者にぴったりのお勉強だった。
決算問題では一つでも間違えると当期の純利益が合わないから一つのミスも許されない。
簿記はパズルだ。
ピースがハマる快楽がある。
パズルは好きだ。
下手だけど。
久しぶりに勉強をして、テストで良い点数をつけられると、とても嬉しくなる。
「答え」があることに安心感を覚えた。
自分で納得する答えを探して、道を作ってきた今までとは違う。
他人が提示する答えがあって、その為の道が綺麗に舗装されている。
70点を取れば商工会議所が有資格者だと認めて賞状をくれる。
認めたくないけど、僕はやはり「型にハマる」ことが得意な、ごく普通の日本人体質だった。
得意なことで、道が舗装されていれば、こんなにも簡単に積み重ねることが出来るのだと、この時初めて思った。
勉強に熱中している時間そのものに価値がある。
夢中で時間が過ぎて、そう思う。
こんなこと、今までにないことだ。
僕が無職だったとは言え、
「2週間で日商簿記3級合格」は非常に、
あ非常に響きが良く、鼻を伸ばすには十分だった。
だいたい学のない奴ほど、大して難しくもない「資格」に価値を置く。
なぜならバカだからだ。
簿記3級は大体受かるのに100時間くらいかかるとネットでは言われていたので、僕は1か月をメドに1日3時間ダラダラ勉強していた。
なのに30時間で試験範囲を学び終わって、10時間くらい問題集をやった程度で合格できたのだ。
なんなら今思えば集中したら全然1週間で合格できるレベルだった。
そこで僕は大いに調子に乗り、友達に自慢のLineと共に
「これなら1カ月で簿記2級受かるっしょw」
という鬼イキリを一斉送信してしまった。
簿記2級はだいたい200時間が必要ときたので、
じゃあ俺様なら100時間もかからんで出来るやろ
と単純計算した結果の宣言だった。
それが地獄の始まりだった。
やってみると、確かに3級の延長線上なのでそこまで難しくはない。
ただ、覚えることがめちゃくちゃ増える+内容が複雑で理解が難しくなった。
そもそも会計を体系的に学びたかっただけで、別に経理になりたいわけでもないし、細かい仕訳をしたいわけでもない。
つまり、3級で学びたいことは全て学び終えたのである。
途中、鬼の連結会計(グループ経営をする大企業に必要な決算の作成)にぶつかりながら
「なんで俺がこんなことをしなければいけないんだ・・」
と泣きそうになりながらやっていた。
体系理解を諦めて、暗記と計算に重点を置き「試験に受かる為の勉強」をして、モチベーションは「1カ月で簿記二級合格」という言葉の響きのみ。
本当になんの為にやってんだ。
最後の1週間は根詰めすぎて、問題が読めなくなった。
勉強をしてこなかった僕は初めての経験だった。
長い問題文が、何回読んでも最後まで読めない。
なにこれ。
あきらかに脳の神経がおかしい。
そんな実感があった。
さすがに商業高校で3年かけてやる内容だけある。
90分の模試を最後まで解くことができず、結局本番まで3回くらいしかちゃんと模試は出来なかった。
簿記を恨みすぎてめちゃくちゃ体調を崩した。
試験2日前になり友人に
「やめようかな!もうやめちゃおっかな!!」
と大メンヘラクソ暴れするも、友人の華麗なスルーにより正気を取り戻し、
模試よりも簡単な試験のおかげで無事に合格することが出来た。
10月9日に3級、11月9日に2級。
無事にnoteで自慢出来て嬉しい。
ほめてね。
引きこもりのとき、半年で中学3年間の勉強を独学で終わらせて高校受かったのも然り、本当に昔から瞬発力だけはある。我ながら。
人生はマラソンなので、これからは大苦手の長距離走に切り替えて、また経済の勉強に戻ろうと思う。
目的に向かって。
noteの更新も、ぼちぼち再開します。
よしなに。
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