マガジンのカバー画像

エッセイとか手記とか

28
エッセイをまとめたものです。
運営しているクリエイター

記事一覧

先輩の後ろ姿に、物語を重ねる。

先輩の後ろ姿に、物語を重ねる。

「若かりし頃は」なんていう歳でもないが

私にはふと思い返す思い出がある。

私が今こうやって、文章を投稿するようになった

そのきっかけの思い出だ。

もともと、文章は得意ではなかった。

字が下手だった私は、文章そのものを書くことが

少なく、国語も苦手で読解力もなかった。

そんな私が文章を書き始めたのは、手紙だ。

そんな手紙の物語は以前エッセイで好評を得た。

今日話すのは、私が物語を書

もっとみる
右を見ても左を見ても、同じ人なんて誰もいないんだよ

右を見ても左を見ても、同じ人なんて誰もいないんだよ

「みんな持ってるもん」

この言葉で、私は何回親を困らせただろうか。
「よそはよそ、うちはうち」と一掃され、何度も悔しい思いをしたことを未だに覚えている。

気づけば、その言葉をいつの間にか言わなくなった自分がいる。
ようやく、「よそはよそ、うちはうち」という言葉の意味を理解したのかもしれない。

子供のうちはまだ可愛い駄々こねで済んだかもしれないが、大人になると大変である。

「みんなが言うなら

もっとみる
【エッセイ】打ち上げ花火、散るとみるか消えるとみるか

【エッセイ】打ち上げ花火、散るとみるか消えるとみるか

夏の夜空に咲く大輪の花———

きらきらと火花が撥ね、夜のキャンバスに動的な芸術が咲き誇る。
猩々緋、菖蒲色、群青色に梔子色。
草花にはないその配色は、人工物たる芸術の最たるものである。

花火は”散る“と言うのだから、それはもう職人の息吹が込められ、血が通っている生命そのものだ。
まるで蝉の幼虫のように、羽化をまだかまだかと望み、そしてようやく外へと出ると、小さな心臓に鞭を打ち、生命を涸らしなが

もっとみる
エッセイ『彷徨えるオリジナリティ』

エッセイ『彷徨えるオリジナリティ』

物語を書いていると、ふと思うことがある。

「本当にこれは私が考えた物語なの?」と。

もう、何百年も前から物語は存在する。

歴史上のありとあらゆる人物が、筆に手を取り、数千万、数億万という物語を書いている。

世に出ていないだけで、ノートの切れ端に書いた落書きの物語も含めれば、それはもう数え切れないほどの膨大な数だろう。

文化は発展し、価値観も多様化した現代。

あろうことか、物語は飽和し、

もっとみる
才能なんて何一つない僕が、ライブステージに立ったあの日。

才能なんて何一つない僕が、ライブステージに立ったあの日。

才能なんてもの、僕にはなかった。

頭もそんなに良くはないし、運動も出来ない。
人前には出ることも出来なければ、根暗であった。
何をやっても上手くはいかない。それが僕だった。

苦い思い出なら、数えられないほど持っている。
そんな僕が、ライブステージに立ったあの日までを書いていく。
少しでも、今頑張っている人の力になれれば、それだけで僕は嬉しい。

①学生時代いじめの経験学生時代、それはもうとこと

もっとみる
ランチの雑記

ランチの雑記

近所に新しいレストランが出来たので、家族で行ってきました!

外観は木を全面に使った造りで、自然をイメージしておりますね。

※店内はお客さんが結構いらっしゃったので撮れておりません。

■頂いたランチを2つほど紹介

・グリルポークのサラダ

・スズキのムニエル ジェノベーゼソース

その他、いくつか注文させて頂きました。
店外内の雰囲気は非常に良く、ランチでもディナーでもお洒落に食事を頂ける場

もっとみる
幸と不幸の狭間で、僕らは揺れている。

幸と不幸の狭間で、僕らは揺れている。

人はみな、幸福と不幸の狭間で揺れている。
どちらかに身体を傾ければ、簡単にそちらへと転がり込むのだ。

幸と不幸を二分すれば、50:50になるはずだ。
それであるのに、僕らの周りは不幸な人で溢れている。

お金がない、友達がいない、愛がない、楽しみがない。
口を開けば"不幸だ"という人がほとんどだろう。

この世界の現実は、10:90の割合で不幸な人なのだ。

幸せに絶対的な尺度はない。
その人が

もっとみる
私の半透明の手のひらから、いつも大切なものばかりがこぼれ落ちていく。

私の半透明の手のひらから、いつも大切なものばかりがこぼれ落ちていく。

7月1日、午前0時。
30歳の誕生日を迎えると同時に、私の手は半透明に透けてしまった。

手首から先の輪郭がぼやけ、手のひら越しに、外の景色が見える。
半透明であるためか、肌色交じりに星空が映っているせいか、とても綺麗とは言えない景色。

そうかと思えば、普通に物は握れる。
私の手は、なぜ半透明になってしまったのだろうか。

頭の中にはぐるぐると悩みが旋回している。
そんなとき、ふと私の視線は本棚

もっとみる
渋谷・宮益坂の美しき隠れ家。珈琲店『茶亭 羽當』

渋谷・宮益坂の美しき隠れ家。珈琲店『茶亭 羽當』

健康診断の帰り道。
渋谷駅から少しばかり離れた場所に足を進める。
喧噪の街並みの音が次第に消えていき、古い民家を吹き抜ける風の音が、昔ながらの趣の音を心地よく鳴らしている。

そんな宮益坂の路地裏にひっそりと佇むのが、珈琲店『茶亭 羽當』である。

①茶亭 羽當1989年9月に渋谷の宮益坂下に誕生した『茶亭 羽當』は、30年以上営む老舗の珈琲店だ。
昔ながらの趣をそのまま閉じ込めたようなお店からは

もっとみる
それはまるで、アリエッティの住むお菓子箱のような

それはまるで、アリエッティの住むお菓子箱のような

こんばんわキリイチです!

オリンピックも始まり、家でごろごろとする時間が増える夏場ではございますが、みなさんはお家のお菓子をどう選んでいるでしょうか?

さて先日、大切な人のバレエの発表会のプレゼントを探していたところ、ずっと買いたかったお洒落なお菓子が見つかりましたので、それをご紹介させていただきます!

洋菓子店Atelier UKAIの『フールセック 小缶』です。

Atelier UKA

もっとみる
銀のお菓子缶に、四季のふきよせを飾って。

銀のお菓子缶に、四季のふきよせを飾って。

こんばんは!
昼間の日照りが増し、局地的な豪雨の降る季節になりかけている今日この頃。
皆さんはどうお過ごしでしょうか?

さて先日、大切な友人よりとても小洒落たお菓子缶を頂き、それが非常に美しいものだったのでご紹介させて頂きます!

和のモダンスイーツを展開するtamayose(たまよせ)の甘じょっぱい缶です。

ふきよせとは?ふきよせとは、茶席で振舞われる干菓子・焼き菓子のことで、秋風で吹き寄せ

もっとみる
私は檸檬タルトに恋をした。

私は檸檬タルトに恋をした。

檸檬の甘酸っぱい香りが漂う。
私はどうも、恋をしたようであった。



とある平日の午後のこと。
ふらりと外を散歩していると、洋菓子屋の前に行きついた。

こんなお店、前からあっただろうか。
私はおぼろげな記憶を思い返してみる。

確か、ここには定食屋があった。
老夫婦が営む、古い定食屋。

居ぬき物件ということもあり、店外の様子は、ぼんやりとであるがあの定食屋の残像がある。
私は、その懐かしさ

もっとみる
"違和感"こそが心地よい

"違和感"こそが心地よい

「違和感」
誰しもが、この言葉を聞いたとき、いいイメージを持たないだろう。

「違和感」という言葉は、何らかの疑念であったり、はたまた自分の中の何かのバランスが崩れた時によく出る言葉だ。
大抵の場合、その直感というのは当たっていて、そしてあまり良いということはない。

逆に、「違和感」がない状態とは状況だろうか?
何事もなく事が進んでいき、調和がとれた日々が流れ、誰も何も邪魔をしない状況と言ったと

もっとみる
『No Rules』熱狂は創造を作り出す

『No Rules』熱狂は創造を作り出す

私は、『熱狂』に恋焦がれている。

私自身、働くことは嫌いではない。
この世に存在しない価値を生み出し、顧客に予想外の付加価値をもたらすことが出来るからだ。
この感情を誰かに押し付けようとは思わない。
なにせ、これは私自身の自己満足に過ぎないからだ。

私の一つの小さな組織に所属する身ではあるが、『井の中の蛙、大海を知らず』ということをひどく痛感している。

それもこれもこの本に出会ってしまったか

もっとみる