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お気に入り記事まとめ

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また読み返したいぐらい印象に残った記事たち。
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#小説

『ウォーリアー』許されざる者と冒涜者

『ウォーリアー』許されざる者と冒涜者

 『ウォーリアー』は、殿堂入りしている2010年代アメリカ映画の名作だ。大手データサイト「IMDb」では歴代200位に入るハイスコアを維持している。リバイバル上映(2024年10月11日〜17日)への推薦コメントで書いたように、総合格闘技をリアルに描いた「男泣き」映画として有名だが、米国試写でもっとも好評だったオーディエンスは女性層という珍しい立ち位置を持っている。

 おまけに「完璧な映画」と評

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2024 自作の短編小説にAIが続きを書いてくれたよ その3

こんにちは。白です。
生成AIの機能を使って短編小説をAIがどのように書くか試してみた雑文、三回目です。
今回使用したAIはクラウドワークスAIのテキスト生成ツール「短編小説を書く」です。

私が短編小説の冒頭の文章を書き、その続きをAIが生成します。
生成のさいに書きたい小説のジャンルを決めます。
今回使用した文章は私の未発表の短編小説で、元のジャンルは恋愛小説です。

□冒頭 作成:千住白

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短編小説『近鉄京都線 桃山御陵前駅』

短編小説『近鉄京都線 桃山御陵前駅』

妹の旦那に送ってもらって、新田辺駅から京都行の急行に乗り込む。

今日中に東京に戻らなければならない。

木津川の鉄橋から夕陽が見えた。

何年ぶりだろうか。

今まで空さえも見上げていなかったような気がする。

狭い空間に押し込められて、地べたを這いつくばるように生きてきた。

少しばかり有名だったIT関係の会社に勤めていたばかりに、いい気になって会社の仲間と独立して会社を作った。

一等地のビ

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YouTube書評『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

YouTube書評『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

新作です。ぜひ観てください。感想も貰えたらいいな。

253、『トパーズ』村上龍。誰も言わない感想と文章の分析。

00:00 純粋な心、村上龍の文学を代表する作品
01:50 トパーズの文体について
04:25 村上龍の狂気
05:05 小説世界の分析
12:10 トパーズの映画、三島由紀夫の『憂国』
18:40 梶井基次郎『檸檬』との比較
21:20 村上龍の天才的な技

この作品

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小説が書かれる時間、小説が読まれる時間(小説の鑑賞・06)

小説が書かれる時間、小説が読まれる時間(小説の鑑賞・06)

「小説が書かれる時間」と「小説が読まれる時間」には「ずれ」があります。さらには「小説に書かれている時間」とのあいだにも、「ずれ」があります。

 時間は一直線に進行していると感じられますが、そのなかに生きる人間にとって、時間は「ずれ」だらけ。人は時間の「ずれ」のパッチワークのなかで生きているのではないでしょうか。

小説は料理に似ている
 小説は料理に似ています。つくるのには時間も労力もかかるのに

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アメリカの出版業界のめまぐるしい変遷と、それが文学に与えた影響とは?

アメリカの出版業界のめまぐるしい変遷と、それが文学に与えた影響とは?

Big Fiction:
How Conglomeration Changed the Publishing Industry and American Literature
「ビッグ・フィクション:コングロマリットはいかに出版業界とアメリカ文学界を変えたか」
Dan Sinykin
October 2023 (Columbia University Press)

今回は、この本の紹介文をまずは

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【全文掲載】コーマック・マッカーシーが教えてくれた「書くことの本質」──直木賞作家・佐藤究さん解説『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』

【全文掲載】コーマック・マッカーシーが教えてくれた「書くことの本質」──直木賞作家・佐藤究さん解説『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』

米文学界の巨匠コーマック・マッカーシーの傑作犯罪小説が待望の復刊です。『血と暴力の国』(扶桑社ミステリー)から改題、改訂した上での再文庫化で、訳者の黒原敏行さんが今回の文庫用に書き下ろしたあとがきと、直木賞作家・佐藤究さんによる解説が収録されています。映画「ノーカントリー」は観たことがあるけれど、原作はまだ……という方にもぜひともお薦めしたい一冊です。

この記事では、文庫巻末に収録されている佐藤

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