大河内健志

教科書に載ることを目指して小説を書いています。 https://twitter.com/okouchi340045 ブログ:https://ameblo.jp/okouchi1959

大河内健志

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    • 龍馬が月夜に翔んだ

    • 読書感想文

    • 『スカイフック AIが書いた小説』

      やがて人工知能が、人間を超える文章を書く時代がやってくる。 私は、研鑽を重ねて優れた文章を書き、その到来を遅らせて見せる。この作品は、人工知能の未熟さを露呈させるとともに、人間の領域を自他ともに認知させる目的で書きました。

    • 大河内健志短編集

    • 『天国へ届け、この歌を』スマホ版

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    短編小説『眠っているあなたを見ているのが好き』

    裕司が眠っている。 私は、傍らでずっと裕司の寝顔を見ている。 夜は眠れないと言っていた。それが嘘のように眠っている。 昼間、私が側にいる方が良く眠れるそうだ。 私にとって、それは喜んでいいことだろうか。複雑な心境になる。 検査ばかりが続いて、やっと治療が始まった。 それで、元気になって行くどころか、見る見るうちに痩せてきた。 皮膚が、合いびきミンチのような色になってきた。 顔は、ヨードチンキを塗られた後のような黄土色になった。 入院して一ヶ月も経っていないの

      • 時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第27話「抜けば、斬るぞ」

        突然、銃口が現れた。 藤堂平助は、刀を目の前でいきなり抜かれたことがあっても、いきなり銃口を向けられたことがない。 どう対処したら良いのか分からず、呆然と立ち尽くした。 坂本龍馬がいる。 隠れ部屋で臥せっていて、この部屋にはいないはず。しかも、我々に銃を向けている。 傍らにいる服部武雄も、何が起きているのか分からなかった。 誰もが、銃を前にして冷静な判断など出来ない。 その場を逃れようとする本能だけが機能する。 しかし、藤堂はその状態は本能をも停止させていた。

        • 時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第26話「若武者の顔の傷あと」

          ゆっくりと階段を上った。狭い急な階段なので、先を行く服部武雄が三段も上がると、小柄な藤堂平助は服部の背中ばかりで、全く視界をふさがれてしまった。 二階に上がると、すぐに襖があり藤吉が片膝を立て、それを開けた。 六畳の間で、誰もいないが、行灯がともっており真ん中に文机が置かれている。 今まで人のいた気配がしている。 藤吉は中に二人を案内し、開けた襖をそっと閉じる。 そして、足元の文机に注意を促しながら、すっと先に回り、閉じられた奥の間の襖の前に正座した。 藤堂は、服

          • 時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第25話「元力士の応対の仕方」

            齊藤一を岬神社に残して、大石鍬次郎隊と藤堂平助、服部武雄は、間隔をおいて一人ずつ反対方向の高瀬川に出てそれを下り、蛸薬師通りを右に曲がり、河原町通りを渡り、裏寺町通りを上がって、近江屋の北側の路地に出た。 大石隊の五名、前列右側の隊士が河原町側に、左側の廣瀬という隊士が近江屋の裏手に回った。後列の二人が勝手口の左右に分かれて、その正面に大石が付いて近江屋の警護を固めた。 大石が通りの向こうにいる齊藤に準備が出来たと合図を送る。それを受けて、斎藤が藤堂と服部に突入の合図を送

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            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第24話「背を向けるものは斬る」

            齊藤一は、菊屋の峯吉から坂本龍馬は、醤油蔵の隠し部屋に潜んでいる。近江屋の二階には、十津川郷士と名乗っている三人組みが、宴会をしているとの報告を受ける。 「よし、藤堂平助さんと服部武雄さんが中に入って、中岡慎太郎ら三人を外に連れ出して下さい。あくまで、不法侵入した不逞浪士を排除するという形です」 藤堂が、 「もし、刃向かってきたら?」 「当然、応戦して下さい」 日頃無口な服部が口を開く、 「相手が三人、こちらが二人で大丈夫か。それに近江屋と言えば、元力士の藤吉もお

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第23話「今夜は軍鶏鍋にしますか」

            一階で護衛をしている藤吉が、上がってきた。 「菊屋の峯吉が、どうしても渡したい本があると言って持って来ていますが、どうしましょう」 「新選組の差し金で探りに来たな。絶対に中には入れたら、いかんぜよ。わしは、隠れ部屋で昨日から風邪で寝込んでいると言っておいてくれ。そして、中岡慎太郎が中にいることは、絶対に言うな。もし客が来ているのが、ばれているのなら、十津川郷士の中川庄五郎らが来ていると言ってくれ。分かったな」 同じく隣の部屋にいる谷干城と田中光顕に対しても、声を落として

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第22話「月夜の訪問者 」

            「ほんにいい月じゃのう。こがいに大きくて立派な月も久しぶりじゃ。中岡さんには、申し訳ないが今日は一杯いかしてもらうぜよ」 「今日は、この満月のお陰で苦労した。これさえ出てくれなければ、あんなに怖い目には会わんで済んだのに、今でも寒気はぬけんわ」 「誰が、おはんを狙っている」 「新選組だと思う。それ以外に考えられない」 「おはんが、日頃から倒幕、倒幕と叫んでおるから、こげんなことになるのじゃ」 「龍馬さんも、どちらかというと倒幕でしょう」 「わしは、倒す倒さんのどち

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第21話「万国公法をエサにして」

            齊藤一が菊屋の二階に上がると、やはり毛内有之助がいた。 「齊藤さん、見ていましたよ。中岡慎太郎が近江屋に逃げ込んだのですね。よりによって、近江屋を選ばなくても良いのに」 「毛内さん、ご苦労様。見ての通りだ。厄介なことになった。ところで何かありました」 「伊東甲子太郎さんからの伝言ですが、情勢が変わってきているそうです。土佐薩摩とは深入りせず、距離を置くそうです。そして早々に、御陵衛士を解散し新選組と合流すると申されています。ただし、坂本龍馬の警護に関しては、今まで以上に

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第20話「刀を納めろ、作戦変更だ」

            再び、大石鍬次郎が足を出した。今度は、一足分だけの送り足。ゆっくりと前足を出して、さっと後ろ足を引きつける。 じりじりと、真綿で首を絞めるように中岡慎太郎ら三人を追い詰めてゆく。 大石にとって、この瞬間が喜びなのだ。それは料理人が、滅多に手に入らない魚をまな板に載せて、自分の好きなように捌こうとしているのと似ている。 前方では、斎藤一が立ちはだかって、しっかりと三人組を足止めしてくれている。 あとは確実に仕留めるだけだ。 相手との距離、三間。 この距離になると、こ

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第19話「月の光に照らし出される刃」

            廣瀬は、大石鍬次郎の「抜刀」の号令がかかると、無意識に鯉口を切っていた。 今までの震えが嘘のように止まった。 いつもの稽古のようにゆっくりと刀を抜く。刀身が、妥協を許さない現実の光を放ちながら、弧を描いて目の前で直線に変わる。 剣先だけが、月の光を受けて、名もない星のように弱々しく光る。 廣瀬はそれをゆっくりと頭上に高々と持ち上げる。 刀を上段にとるのと同時に、頭の中を怖さより冷たいものが、すっと通り抜けて、雑念が消えた。 「前進」 大石が号令と同時に一歩前に足

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第18話「大石隊の強さの秘密」

            「抜刀」 大石鍬次郎が、号令をかけた。 この号令が、かかるまでは絶対に刀を抜いてはいけない。 また、この号令がかかっているのに刀を抜かないのもいけない。 両方とも、隊規違反になる。 場合によっては、切腹を申し付けられることもある。 戦闘にとって、刀を抜く、抜かないが、それほど重要視されるのである。 その「抜刀」の号令がかかった。 小さい鈴のような軽やかな音を立てて、それぞれの刀が抜かれる。 大石は、手槍の先に付いた革の鞘を左手で掴み、右手で手槍を持ち、ゆっく

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第17話「警護の隙を狙え」

            中岡慎太郎は福岡孝弟邸の潜戸で、陽が落ちるのを待っていた。 呼びつけておいて、福岡さんは不在であった。 座敷にも通されず、板の間の控えの間で長い間待たされた。 火鉢もなく、茶の一つも出されなかった。寒くてしょうがない。 何という対応だ。 大体において土佐藩自体が何ごとにおいても、連絡が悪すぎる。 だから、取り残されるのだ。 土佐の者誰もが、薩土盟約が破棄されて、薩長同盟が結ばれたことを知らないはずだ。 これをされると、大政奉還しても土佐藩は国家の主役からはずさ

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第16話「敵に背を向かすな」

            「分かった。菊屋に戻る」 新選組大石鍬次郎隊に配ったおにぎりが、一人ずつ順番に食べ始め、最後になった廣瀬という隊士が、震える手で懐からおにぎりを出し、不器用な手つきで竹皮をむいて、口に運ばれるのを確認して、斎藤一は河原町通りに出た。 いつものように大手を振って歩くと怪しまれる。懐手をして、屋敷を抜け出して遊郭にしけこもうとしている藩士を装った。 さりげなく中岡慎太郎が潜む福岡邸の前を通り過ぎた。 門は固く締められて、明かりはなく人気がない。 怪しい。 人気がないの

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第15話「慎太郎を狙う狼たち」

            辺りが薄墨を塗り重ねるように暗くなってきた。 闇夜の漆黒と夕暮れの灰色の境がくっきりとしてきた。 黒はより深みを増した。 そして灰色には、少しずつ黄金色が混ざるようになってきた。 月の光だ。 月が出ているのだ。 漆黒は悪事を包み隠してくれる。 しかし、冷たい月の光はそれを許してくれない。 「遅くなってすまん。山崎丞さんからの差し入れだ」 齊藤一は、大石隊の隊士の柄と鞘を握った手を離さず緊張感を途切れさせないように、各々の懐におにぎりを直接差し込んでゆく。 後詰めの二人か

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第14話「不吉な予感」

            御陵衛士の屯所がある高台寺月真院に戻った伊藤甲子太郎は、すぐさま残っている隊士に状況を伝えた。 土佐藩の置かれている立場、薩摩藩の考えていることなど、包み隠さず話をした。 そして、一段落したら高台寺隊を解散し、新選組本隊に戻れるように近藤勇に話をつけると約束した。 早速、毛内有之介が河原町の菊屋で監視をしている隊士に、それらを伝える役に選ばれた。毛内は伊東が江戸から新選組に加わる時に、一緒に連れてきた隊士である。武骨な隊士が多い中、彼は家柄が良く育ちの良さがにじみ出てい

            時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第13話「踊る!土方歳三」

            齊藤一は、不動堂村の新選組の屯所に着いた。 未だに木の香りが漂う大名御殿と見間違えるほどの立派な造り。齊藤はこの屯所に駐在したことはなかった。 この屯所に移る前の西本願寺に間借りしている時に、高台寺に移った。だから、馴染みはなかった。 何か余所余所しい感じがする。 隊士の中にも、新しく募集された顔を知らない者も、混じっている。 「局長は、おられるか。急用だ。すぐに会いたい」 「不在です。二条城へ登城されています。今日は、もう戻られません」 また例の妾宅だな。