時代小説『龍馬が月夜に翔んだ』第25話「元力士の応対の仕方」
齊藤一を岬神社に残して、大石鍬次郎隊と藤堂平助、服部武雄は、間隔をおいて一人ずつ反対方向の高瀬川に出てそれを下り、蛸薬師通りを右に曲がり、河原町通りを渡り、裏寺町通りを上がって、近江屋の北側の路地に出た。
大石隊の五名、前列右側の隊士が河原町側に、左側の廣瀬という隊士が近江屋の裏手に回った。後列の二人が勝手口の左右に分かれて、その正面に大石が付いて近江屋の警護を固めた。
大石が通りの向こうにいる齊藤に準備が出来たと合図を送る。それを受けて、斎藤が藤堂と服部に突入の合図を送