短編小説『鯖の煮付けと独り酒』
娘のカンナは、お友達と食事をして帰るので今日は遅くなるとメールが入っていた。
だから今夜は、一人きりで過ごさなければならない。
病院で、単身赴任をしている裕司の病状を聞いてから、今こうやって普通に生活していることが現実じゃないような気がしている。
悪い夢をずっと見ているような気がする。早く目が覚めて、すべてが夢の中だったと思いたい。
お医者さんの言葉が頭の中をずっとサティのジムノペティの音楽と一緒に文字となって、エンドレスで回り続けている。
ソファに座ったまま何もする