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白木の棺

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知恩院の七不思議のひとつである「白木の棺」にまつわる物語です。
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記事一覧

短編小説「雪が降ると思い出す 悲しくて美しい光景」

前にもお話しましたように、知恩院三門の工期は二年とあらかじめ決められています。 奈良でし…

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短編小説『天才彫り物師が残した知恩院 三門の秘密』

暫く手元に置いていた一枚の絵があります。甚五郎が描いた絵です。 知恩院の三門を書いた絵で…

大河内健志
12日前
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連作短編小説「伝えることが難しくなった千年後の理想と現実」『白木の棺』

この世界は、妥協の許さない厳しい世界です。 到達点と言うものはありません。 常に、理想を…

大河内健志
2週間前
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連作短編小説「物価の高騰による悲劇の予感」『白木の棺』

直ぐに若い大工が、模型が出来上がったので、見に来てくださいと呼びに来ました。 今までの見…

大河内健志
3週間前
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連作短編小説「天才左甚五郎の片りん」『白木の棺』

「どんなに緻密な計算をしていても、誤差が出てくるものだ。五十分の一の模型でさえ、これだけ…

大河内健志
1か月前
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連作短編小説「計算し尽くせない人智を超えたもの」『白木の棺』

主人らは、早速設計図の作成にかかりました。私は、父から宮大工たるものは、頭の中にしかと図…

大河内健志
1か月前
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連作短編小説「小堀遠州様の教え」『白木の棺』

家康様の喪が開ける間なしに、造営奉行の五味金右衛門様に呼び立てられました。 何やら、中井様の代わりに、五味様が将軍家の造作の仕事を一切任されたそうなのです。 先ずは、中井様の懸案となってとなっていた知恩院の山門の建築に取り掛かるようにと仰せつかったそうです。 主人が、その模型を持って帰って来ましたが、それは見事なものでした。 山門と言うよりは、立派な砦のように見えます。 主人は、東大寺の南大門の修理をしたことがありましたけれども、それに比べると何やら武骨なような気が

連作短編小説「移りゆく時代の流れに忍びよる黒い影」『白木の棺』

次の日から、主人は中井殿のところへ、三日と開けずに行くようになりました。行くときは、朝の…

大河内健志
1か月前
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連作短編小説「時代の流れには逆らえぬ」『白木の棺』

お茶と茶菓子を持ちまして、奥の間に続く廊下を行きますと、大きな声が聞こえ来ます。主人の声…

大河内健志
2か月前
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連作短編小説「左甚五郎の若い頃」『白木の棺』

平素は温厚な与平次もさすがに、声を荒げまして「お上のお達しで、京に出てきたが、何かという…

大河内健志
2か月前
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連作短編小説「雪ふる京のうつろい」『白木の棺』

帰りが遅そうなるというてはりましたが、主人はまだ帰ってきはりません。 夕方から、雲行きが…

大河内健志
2か月前
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