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#ロシア文学
vol.56 ゴーゴリ「外套」を読んで(平井 肇訳)
1840年に書かれたロシア文学。180年前のロシア、酷寒のペテルブルグの街を、外套の襟を立て、うつむいて歩く小役人を想像した。その仕草や身なりや臭いまでもがとても鮮明に伝わった。みんなから嘲笑される哀れな万年九等官の内面を知りたいと思った。
岩波解説に、ドストエフスキーの「我々は皆ゴーゴリの『外套』から生まれ出たのだ」との言葉が紹介されていた。また、芥川龍之介はこの「外套」を模倣して「芋粥」を書
vol.40 トルストイ「イワン・イリイチの死」を読んで(望月哲男訳)
今から130年前のロシア文学。
「このような死の感情を自分も経験するかもしれない」と思いながら読み終えた。
この小説は、健康で生き生きと気ままに生活をしている人と、瀕死の病に侵され、苦痛に耐えながら、ただ死を待つだけの絶望の時間を過ごしている人との、「断絶」が書かれていると思った。孤独な「死」と直面している主人公の「イワン・イリイチ」の、心理的葛藤の鋭い描写にグッと引き込まれた。たぶん僕にその
vol.17 チェーホフ「桜の園」を読んで(神西清訳)
一回読んだだけではなんのことがさっぱりわからなかった。
内容は、先祖代々の美しい領地が抵当にはいって、近く競売になろうというのに、昔の甘い生活の夢を捨てきれないでいる地主家族の物語。これじゃぁありふれている。おもしろくない。感想文なんかとても書けない。
戯曲は登場人物をしっかり把握しておかないと分からなくなってしまう。誰がどのタイミングでなにを言ったか、どう動いたか。一人一人書き出した。また、