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記事一覧
vol.108 ゲーテ「若きウェルテルの悩み」を読んで(高橋義孝訳)
読み終わり、本を置き、目を閉じる。心にしっくりしない疑問が浮かぶ。
なぜウェルテルは、自殺を決意したのだろうか。
人を愛することと死がどうして結びつくのだろうか。
【あらすじ】舞踏会で知り合った裁判官の娘ロッテに恋をしたウェルテル。彼女には婚約者がいることを知りながら、その美しさや豊かな感性に惹かれる。人妻となったロッテも、ウェルテルの優れた面を認める。会うごとに夢中にるウェルテル。かなわない
vol.105 ジーン・ウェブスター「あしながおじさん」を読んで(谷川俊太郎訳)
この有名な児童文学の古典を初めて読んだ。遺児の教育を支援する「あしなが育英会」はこの作品をモチーフに、継続的な活動で多くの支援者を得ていることを知っている。
あらすじ
18歳の女性ジュディ・アボットは、みなしごとして孤児院で暮らしていた。高校卒業のころ、たまたまお金持ちの理事(あしながおじさん)から文章の才能を期待され、学資支援の申し入れがあり、大学で学ぶことになった。引き換えに、「あしながお
vol.103 J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」を読んで(野崎 孝訳)
大人のインチキは、社会生活を営むための潤滑油ぐらいに思っている僕が、インチキを嗅ぎ分けてその欺瞞性を暴こうとするホールデン少年にどこまで入っていけるか、この驚異的なベストセラーを初めて読んだ。
高校を退学させられた16歳の少年、ホールデン・コールフィールドが、ニューヨークの街をふらついた時の、悪夢のような3日間の追憶が、湧き上がるように語られていた。一人称で軽快に語る17歳になった彼の言葉は、神
vol.101 グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」を読んで
口減らしのために、親が幼い子どもを捨てる。グリム兄弟が描いたメルヘンに、うすら寒さを感じた。
「明日の朝はやく、子どもたちを連れて森の奥まで行きましょう。・・・子どもたちをそこに置きっぱなしにするのよ。ふたりは森の中でさんざん迷って、帰れなくなるでしょう」
母親のこんな提案から始まる、中世ヨーロッパの民話を集めた幻想的な物語を読んで、僕は何を感じたのだろうか。
あらすじ
ヘンゼルとグレーテ