vol.134 森鷗外「牛鍋」を読んで
思わず箸を伸ばしたくなる「牛鍋」を初めて読む。1,800字ぐらいの作品はあっという間に終わる。読み終わった後に、どういうことなのだろうと考える時間が好きだ。
<内容>
夫を亡くした女とその幼い娘と亡き夫の友人である男が牛鍋を囲んでいる。男は一人でひたすら箸を動かし牛肉を口に運んでいる。女は「永遠に渇しているような目」で男の動くあごを眺めている。幼い娘は箸を持って牛肉を食べる機会をうかがっている。
幼い娘が牛肉を食べようとすると、「待ちねぇ、それはまだ煮えちゃいねえ」と決ま