vol.145 宇野千代「おはん」を読んで
二人の女の間で揺れる大変身勝手な男心を描いた物語。人情味あふれる上方言葉の文章を楽しみながらも、古い時代の女の献身的な愛に戸惑いながら読む。
<内容>
主な登場人物は3人。語り手の懺悔(ざんげ)のように自身の行いを情けなく語る男「私」。芸者屋を営む「おかよ」は「「私」の愛人で7年間共に暮らしている。タイトルの「おはん」は、「私」の妻で、ぐうたらで自分勝手な夫「私」に逃げられるも、親元へ引き取られた後に「私」との子を産み育てる。ある日妻の「おはん」と7年ぶりに橋の上で再開して