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お仕事の話あれこれ

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けっこう仕事、変わりました。忍耐力とやらを母のお腹の中に忘れて来てしまったようです。ここでは主に長かった書店員時代のこと、そして2022年1月で退職した、たった1年1か月の介護の…
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#書店員

書店であった嘘のような本当の話⑩CMの撮影ですか?

書店であった嘘のような本当の話⑩CMの撮影ですか?

 6年間、契約社員として勤めた書店は、行列ができることで有名でした。初めて来店し、その行列を見たお客様は非常に驚かれます。

 何がそんなにすごいのかって、①カウンターと②カウンターの行列が、くっついて交差したり、折り返したりするんです。①と②のカウンターは、そこそこ離れているにも関わらず、です。しかも、東日本大震災の直後はお客様が殺到したので、「最後尾」というプラカードが2枚出現するほどでした。

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書店員でもないのに、店頭で「おもしろい本はありますか?」と聞かれた日

書店員でもないのに、店頭で「おもしろい本はありますか?」と聞かれた日

 その日私は28歳の娘とふたり、取り寄せしておいた本を受け取りに行ったデパートの書店の文庫売場で、本についてああでもない、こうでもないと話しながら棚を物色していました。

 その時娘の1歳の子どもはパパとお留守番ですが、自宅でお昼を済ませたら娘と合流し、家族3人で出かけるため、私と娘はこの日

「10時開店と同時に書店、11時に飲食店がオープンしたらすぐに早めのランチ、12時過ぎには駅で解散」

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書店であった嘘のような本当の話⑨宇宙に想いを馳せるとき

書店であった嘘のような本当の話⑨宇宙に想いを馳せるとき

私の中では「宇宙兄弟」ブームがしばらく続いています。

娘婿が貸してくれるというので、コミック単行本40冊以上を借り、Netflixでアニメや実写映画も観ました。

それでふと、思い出してしまったことがあります。

大きなターミナル駅のデパート内にある、大手老舗書店の契約社員だった頃のこと。

朝礼にて、店長や店長代理、課長などの、役職のある社員の本日の動きを明らかにしておくお決まりのアナウンスが

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書店であった嘘のような本当の話⑧書店のレジは究極の個人情報

書店であった嘘のような本当の話⑧書店のレジは究極の個人情報

書店には老若男女、実に様々なお客様が来店されます。あちこちの書店でトータルで15年働きましたが、つくづく、

「書店のレジは、究極の個人情報だわ……」

と感じておりました。

「お次、先頭でお待ちのお客様~!」
何台もあるレジから手を高く挙げてお客様を呼ぶと、やってきたのはいかにも良家のおぼっちゃまという感じの、制服姿の爽やかイケメン高校生。

「お品物をお預かりいたします」
本の裏表紙にあるバ

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ほしのたに文庫との出会い。そして応援のためのメンバーシップをはじめます。

ほしのたに文庫との出会い。そして応援のためのメンバーシップをはじめます。

さわやかな秋の日、日曜の昼下がり。

最寄りの小田急小田原線座間駅からの道。大きな一戸建ての広い敷地内にあるその蔵で、なにやら楽しげな幟がはためいているのを見つけ、吸い寄せられるようにたどり着きました。忘れもしない2022年10月16日(日)。

それが、私と「ほしのたに文庫」との出会いでした。

換気のためでしょう、半開きになっているドアからおそるおそる
「こんにちは~」
と声をかけると、同世代

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書店であった嘘のような本当の話⑦14キロやせました!

書店であった嘘のような本当の話⑦14キロやせました!

私が書店員だった約15年間、いくつかのチェーンで働きましたが、担当を持ったのはほとんどが実用書でした。

デパート内にある、比較的大手の書店チェーンで契約社員として働き始めたのが14年前、2008年の春。それ以前に勤めていた書店で実用書の担当をしていたと入社時に話すと、それならと実用書担当になりました。

実用書って、発売も多いし入荷数も決して少なくない分野です。

特に大きな店舗になればなるほど

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書店であった嘘のような本当の話⑥前株でよろしいですか?

書店であった嘘のような本当の話⑥前株でよろしいですか?

子どもの頃から漢字は得意だった。

私の母は、自称「ダメ親」とのことで、私や弟をお風呂に入れたことがなかったという。近くに住んでいた母の母、つまり私たち姉弟の祖母が毎日訪問入浴に通って来てくれていたと聞いたのは、私が二十歳で長男を生んだ時であった。

「おむつを替えるのも、ちょっとイヤだったなぁ~」

などど言われたのは実に最近。ここで私の過去の投稿を読んで下さった方に、『それはオバサン的最近の方

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書店であった嘘のような本当の話⑤POPの女王になれずとも

書店であった嘘のような本当の話⑤POPの女王になれずとも

shinku|読書ヒーリングさんのこの投稿を読ませていただき、思い出したこと。

はじめて勤務した町の小さな書店で、私はジャンル担当を持っていなかった。

県道沿いの広い駐車場のある路面店で、お店の広さは約70坪。社員は年上の男性店長と若いおぼっちゃんのふたり。私以外にも週3~4のパートがふたり、大学生のアルバイトが2~3人。

週4のパートに任せてもらえるほどの仕事量はなく、朝の雑誌出しの担当は

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書店であった嘘のような本当の話④未来のイケメン

書店であった嘘のような本当の話④未来のイケメン

私が最後に勤務した書店で、実際に出会った小学生のイケメンくんのこと。

5~6年前にさかのぼるが、確実に覚えている。あれは「母の日」だった。

私のレジに、推定小学5年生とおぼしき顔立ちの整った男の子がやってきた。そう、某事務所のジュニアに入れそうな感じのイケメンくん。

カウンターに差し出されたのは、ネイルの雑誌だ。イケメン小学生くんは言う。

「ラッピングしてください」

すぐにわかった。

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書店であった嘘のような本当の話③社員はつらいよ

書店であった嘘のような本当の話③社員はつらいよ

お店で働く方々から、レジ袋にまつわる話を聞き取りしたならば、恐らくいろいろな話が聞けるだろう。

2020年の7月から、一斉にレジ袋が有料化された。書店で使われていたビニールの手提げ袋は、たいていどの店のものもマチがなく、コミック単行本や文庫、新書にちょうど良いSサイズ、薄い雑誌なら5冊程度入るMサイズ、あまり出番はないがMより一回り大きいLサイズ、の種類があった。

それ以外だと、しっかりとマチ

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書店であった嘘のような本当の話②問い合わせラビリンス

書店であった嘘のような本当の話②問い合わせラビリンス

書店で、探している本を店員さんにたずねて探してもらう時。皆さんはどうしますか?

タイトル、出版社、著者、ISBN。書籍、雑誌を探し当てる情報を全て持った上でたずねる人は稀です。

鉄道の通っていないある市に新しくショッピングモールができたのはいつだったか?そのモールにテナントとして入ったB書店は、100坪ほどのバランスの良いお店でした。オープニングスタッフとして採用された私を待ち受けていたのは、

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書店であった嘘のような本当の話①A書店

書店であった嘘のような本当の話①A書店

書店員歴約15年、いろんな書店で働きました。

まずは街の小さな路面店、A書店。店舗は約70坪ほど。駐車場が広く、雑誌、文庫、コミック、学参、児童書、実用書、文芸書、あたりをそつなく置いています。医学書(お医者さんが読む方)や法律などの専門書はありません。ここでは店長が何から何まで取り仕切っていたので、専門的な知識はほとんど知らずに過ごしてしまいました。木村拓哉さんの「開放区」が発売され品切れ状態

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多様化するレジでの支払い方法に翻弄されていた日々のあれこれ

多様化するレジでの支払い方法に翻弄されていた日々のあれこれ

専門学校を卒業したその月にはたちで結婚し、その年に長男、満23歳で二男、満25歳で長女を出産した私の20代は、家事育児に奔走する日々でした。

初めて社会に出たのは29歳の時。長男が小2、二男が幼稚園、長女はまだ幼稚園にも行っておらず、実家の母の心強いサポートを得て、時間に融通のきく某ファーストフードのアルバイトを始めました。

そこから何度も転職を重ね、いろんな仕事をしてきましたが、一番長かった

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