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マオリ日記

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土の力を感じた、マオリの食事

土の力を感じた、マオリの食事

もう20年以上前のことなのに、忘れられない食事がある。
それが、ニュージーランド/アオテアロアの大学のマオリ学部に、1年間交換留学で行っていた時に食べた、マオリの食事だ。

1つ目の忘れられない食事は、初めて食べた「ハンギ」。土の中に野菜や肉を入れてじっくり火を通す、野外料理なのだけど、その時に食べたKumara(クマラ)というサツマイモの1種が、あまりにもやわらかくて、甘くて、焼き芋とはまたちょ

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ロトルアの温泉、いい感じです!

ロトルアの温泉、いい感じです!

ニュージーランド/アオテアロアにある温泉地といえば、北島にあるロトルアだ。ここは、マオリの聖地でもあるので、私にとってはまさに「マスト」で行くべき場所だった。

そこで、大学留学時代の長期休みに、バスに乗って行ってみた。驚いたのは、町についてすぐに感じる、硫黄の香り(というか、におい)。おお、これは日本でも経験があるぞ、と思った。

温泉には水着で入ったけれど、硫黄の香りといい、熱さといい、入る湯

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マオリ×ポップ音楽が融合した曲「Kotahitanga(コタヒタンガ)」

マオリ×ポップ音楽が融合した曲「Kotahitanga(コタヒタンガ)」

2000年、私はニュージーランド/アオテアロアにあるヴィクトリア大学のマオリ学部に交換留学していた。その時にCDショップで手に取ったOceaniaというアルバムが気に入って「これはかっこいい!」と何度も聞いていた。特に好きだったのが、この曲だ。

タイトルの「Kotahitanga」は英語ではUnityと訳される。それまで部族間で争うこともあったマオリの人々が、植民地化される中で出てきた「マオリと

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マオリのAntie(おばちゃん)が教えてくれた、これからの家族のかたち

マオリのAntie(おばちゃん)が教えてくれた、これからの家族のかたち

今から20年ほど前、ニュージーランドの大学のマオリ学部に留学していた時のこと。大学には、主にマオリの学生向けに作られた「Marae」という集会所があるのだが、そこには平日はお昼ごはんを提供する食堂があり、そこのおばちゃんと、気づいたら仲良くなっていた。彼女はマオリの歌と踊りのサークルである「Kapahaka」にも参加していて、踊り手にはなっていなかったのだけど、みんなの「お母ちゃん」として、いつも

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今でも心に残っている、マオリの友人のつぶやき――ごみのポイ捨ては、母なる大地を汚すこと

今でも心に残っている、マオリの友人のつぶやき――ごみのポイ捨ては、母なる大地を汚すこと

20年ほど前、ニュージーランド/アオテアロアのヴィクトリア大学、マオリ学部に留学していた時のこと。

私が参加していたカパハカクラブで車で移動中、大学院生のマオリの友人が、ごみのポイ捨てを見て、こうつぶやいた。

ハッとして、次の言葉を待った。続けて、こんなことを言った。

とても悲しそうな顔をしていて、私は、うなずくことしかできなかった。

その後、考えた。なぜ、こういうことが起きているのか。結

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コンビニのおばちゃんに学んだ、多様性への理解は「知ろうとする」からはじまる、という大事なこと。

コンビニのおばちゃんに学んだ、多様性への理解は「知ろうとする」からはじまる、という大事なこと。

「あんた、ずいぶん怖そうな髪型してるね」

今朝、近所のコンビニに行ったら、店員のおばちゃんが、部分的に赤い髪の毛のロン毛のお兄ちゃんに、こんな言葉を放った。コピー機を使っていた私は驚きつつ、ちょっとワクワクしながら、気づかれないように話の展開に耳をそばだてた。

「いやあ、俺はそんなに怖くないんスよ」

「あ、そう!仕事がんばってねー。また来てね!」

なんて、心地よい会話! 

帰り道、このや

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ライターになるきっかけの1つになった大学2年の出会い&カフェオレボウルの衝撃。

ライターになるきっかけの1つになった大学2年の出会い&カフェオレボウルの衝撃。

NZに留学していた時のことを考えていて、ふと、思い出したことがある。

それは、私がライターという仕事を志すきっかけの1つになった、ある出来事のことだ。

NZマオリ学部への1年間の交換留学を前にして、私は「誰か日本人で、マオリ文化に詳しい人はいないかな…」と思っていたある日、NZ観光局のニュースレターで、マオリの人たちとの体験を書いていたライターさんのコラムを見つけた。

「うわあ!この人に会い

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「これ、食べられるよね!」で、マオリの仲間とつながった。

「これ、食べられるよね!」で、マオリの仲間とつながった。

今から20年ほど前、アオテアロア/ニュージーランドの大学のマオリ学部に留学していた私。サークル活動ではカパハカ、というマオリの歌とダンスのパフォーマンスグループに入れてもらった。(というか半ば強引に入った…)

最初は私と友人以外は全員マオリで「え、なんで…」みたいな反応だったが、ちゃんと踊ったり歌ったりできるようになったら、少しずつ、みんなに認めてもらえるようになった。

美味しいマオリ料理に舌

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マオリ・オペラ~美しいハーモニーを求めて

マオリ・オペラ~美しいハーモニーを求めて

マオリ×オペラ?20年ほど前、アオテアロア/NZの大学のマオリ学部に留学していたころ、私が先住民族マオリの勉強をしていることをよーく知っている友人(音楽とアート専攻の現地の学生)の誘いで、マオリ・オペラに関するセミナーに行った。

そのセミナーでは、オペラの世界で活躍するマオリのこれまでと、これから活躍したい…と日々練習に励むマオリの若者たちのことを学んだ。美しい歌も聞けて、マオリの音楽の素晴らし

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「怒り」の大切さ

「怒り」の大切さ

今から20年ほど前、私はニュージーランド/アオテアロアのヴィクトリア大学に1年間、交換留学していた。専攻はマオリ学部。最初の学期ではマオリのアートや歴史を学び、カパハカというパフォーマンスのサークルにも入り、マオリの文化の素晴らしさを体感した。

マオリアートの先生は、今も私の心の師匠だ。

怒りで満ちた講義
休み明けに、私は「マオリの政治のことも知りたいな」と思い、わりと軽い気持ちで「マオリの政

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大卒後にTV制作会社に就職する、という失敗

大卒後にTV制作会社に就職する、という失敗

大学時代、環境と文化とエコロジーをテーマのゼミを選び、夢だった留学も果たし、大学生活を満喫した私。卒論のテーマは「先住民族の言語再生」で、卒業後は、世界中の先住民族の素晴らしい文化を伝えることが、大きな夢となった。そこでTV制作会社で働くことを選ぶのだが…これが失敗だった。でも、失敗は成功の母だった、と今は心の底から言える。

TV制作会社で激務、激務、の日々…。
私は、実はそんなにテレビは好きで

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マオリのダンスサークルで学んだ「努力」と「リスペクト」

マオリのダンスサークルで学んだ「努力」と「リスペクト」

NZのヴィクトリア大学に留学中、サークル紹介で、運命の出会い?をした。それはKapa Haka(カパハカ)サークル。カパハカとは、マオリのパフォーマンスグループで、地域や学校単位で、儀式や行事で踊りと歌を、披露する。大学のカパハカは、マオリの学生たちが所属し、いろんな場でパフォーマンスを披露する。

うわあ、めっちゃカッコイイ! 私でも入れるかな…。当時20歳の私は、何も考えず、ルームメイト(NZ

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マオリ・アートの先生が教えてくれたこと。

NZのマオリ学部に留学していたころ、前期の授業で「マオリ・アート」という授業を取った。

割と少人数の授業で生徒は15~20人。先生は、腕に美しいマオリアートをまとった女性だった。私は、先生が教えてくれる、マオリの人々が受け継いできた美しいアートの世界に夢中になった。

前期が終わりに近づく頃、課題が出された。各自が、みんなの前でプレゼンテーションをするのだ。何をテーマにしようかな…と迷っていたら

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マオリ語のいまと、アイヌ語のこれから

私の大学時代の卒論のテーマは「マオリとアイヌの言語再生」。

もう20年くらい前のことで、その後のことが、頭のどこかに引っかかっていた。その「今」「これから」を伝えてくれる、ニュースを、本当にたまたま、見つけることができた。

マオリ語のいまと、アイヌ語のこれから

マクドナルドのオーダーをマオリ語でできるニュージーランド/アオテアロア。

マオリ語の学校がしっかりと確立しているニュージーランド/

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