「これ、食べられるよね!」で、マオリの仲間とつながった。
今から20年ほど前、アオテアロア/ニュージーランドの大学のマオリ学部に留学していた私。サークル活動ではカパハカ、というマオリの歌とダンスのパフォーマンスグループに入れてもらった。(というか半ば強引に入った…)
最初は私と友人以外は全員マオリで「え、なんで…」みたいな反応だったが、ちゃんと踊ったり歌ったりできるようになったら、少しずつ、みんなに認めてもらえるようになった。
美味しいマオリ料理に舌鼓!
それから半年後に、みんなでタラナキという地域の高校を旅してめぐり、踊りを披露するツアーがあった。毎日、合宿のような生活。マオリのおばちゃんが、おいしい料理をたくさん作って、みんなで食べる。私は自他ともに認める食いしん坊。だから、なんでもモリモリ、ニコニコ食べた。
3日ほどたった頃だろうか。カパハカのメンバーの1人(ふだんはあまり話さない子)が、満面の笑みで、こんなことを話しかけてきた。
Mihoは、日本人だからココナツに浸した刺身風のマオリ料理を食べられるよね。それに、豚の骨の料理もちゃんと、骨をしゃぶって食べられるよね!
他の子にも
Mihoは、マオリ以外は食べない、そのへんに生えている草を使った料理も食べるよね!
と言われた。私は
うん、とってもおいしいよ!
と笑顔で返した。
そんな会話を日々繰り返していたら、気づけば、私は今まで以上にみんなの輪の中に入って、笑ったり、会話したりできるようになっていた。しばらくたって思った。「あ、もしかしたら、食べている様子が良かったのかも…」と。そういえば、その後もたびたび、マオリの仲間たちからは「Mihoはよく食べる」系のことを言われた。
食は、人と人をつなげる大きな力になる。
この時の会話は、今も度々、私の脳裏によみがえる。そして、食べることの大切さを思い出させてくれる。
誰かにとって大切な食べ物を心からおいしくいただくことは、相手の文化への敬意を表し、分かち合うために大切な行為だ。
だから私は、今日も大口を開けて、いろんな料理を味わい尽くす。
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