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高校生のための人権入門(全27回)

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人権についてわたしが考えたことを、高校生だった自分にもわかるように書いてみました。興味のあるテーマについて書いてある回から読んでいただいても、大丈夫です。
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#子ども

高校生のための人権入門(12) 児童虐待について(子どもの人権(1))

高校生のための人権入門(12) 児童虐待について(子どもの人権(1))

はじめに日本では毎年、何人もの子どもが保護者からの児童虐待によって亡くなっていきます。その子どもを死に至らしめた虐待の内容は、知れば知るほど、なぜこんなひどいことができるのかという驚きや怒りを感じないではいられません。そのような怒りや批判は、虐待をした親や、虐待を知っていながら何もしなかった(できなかった)児童相談所の職員などに向かいます。しかし、児童虐待を考える上で重要なことは、このような児童虐

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高校生のための人権入門(13) 学校でのいじめについて(子どもの人権(2))

高校生のための人権入門(13) 学校でのいじめについて(子どもの人権(2))

はじめに学校でのいじめについて考えることは、職場でのパワーハラスメントについて考えることよりもむずかしい気がします。それは、いじめの方がパワーハラスメントに比べて、より複雑で、はっきりさせにくいものを含んでいるからです。

現在、学校で起きているさまざまないじめについて考えてみると、いじめは学校の中で「必然的に」起きているようにわたしには思えます。いじめのない学校や学級はありませんし、いじめを完全

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高校生のための人権入門(15) 人権問題を解きほぐすカギ

高校生のための人権入門(15) 人権問題を解きほぐすカギ

はじめに日本におけるさまざまな人権問題を解きほぐすカギが、少なくともふたつあると思います。ひとつは、「人に迷惑をかけるな」という考えを弱めること、もうひとつは、「評価主義、能力主義、努力第一主義」を弱めることです。(本当は、「弱める」ではなく、「なくす」と言いたいのですが、現実にはそれは無理なので、「弱める」という言い方にしておきます。)

「人に迷惑をかけるな」という考え方を弱めよう
前回の「障

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高校生のための人権入門(17) 人権の中身「安心、自信、自由」

高校生のための人権入門(17) 人権の中身「安心、自信、自由」

人権尊重は無条件もう一度ここで、パワーハラスメントの話に戻ります。パワーハラスメントの加害者も、ふつうパワーハラスメント自体を良いことだと思ってはいません。また、相手の人権を侵害して良いと思っている人もふつういません。だから、パワーハラスメントの加害者に、パワーハラスメントがいけないこと、許されないということ、人権は尊重しなければならないということを、何回繰り返して言っても実は効果はありません。「

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高校生のための人権入門(18) なぜ、人権は尊重されなければならないか

高校生のための人権入門(18) なぜ、人権は尊重されなければならないか

はじめに前回、人権の中身とは「安心、自信、自由」だというお話をしました。「安心」とは、「わたしはここにいていい」という思いであり、「自信」とは、「今のわたしはこれでいい」という思いであり、「自由」とは、「わたしのことはわたしが決めている。つまり、わたしがわたしの人生の主人公だ。」という思いだとお話ししました。これを踏まえて、前回の最初に取り上げた疑問、「相手がどんな『ひどい人』で、自分や周りの人に

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高校生のための人権入門(21) 力の関係としての人間関係

高校生のための人権入門(21) 力の関係としての人間関係

はじめに前々回、「現実の『人と人との関係』は、基本的に力と力の関係であり、どちらかがどちらかを支配している(相手を従わせている、自分に合わせさせている)関係なのです」と書きました。このようなとらえ方には、違和感や反感を覚える方も多いのではないかと思います。そのため、前回、人間がつくる集団には二種類あるのではないかということを書きました。人間のつくる集団の二面性と考えていただいてもかまいません。今回

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