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東原そら
2021年9月29日 20:51
我思うゆえに我あり。 有名なデカルトの言葉だ。 懐疑的なものばかりでも、それを疑う自分は紛れもなく存在している。 そう、僕はいる。 僕はここにいるんだ! でも誰も僕を認知していない。 だから僕は訴える。 身体を使って渾身の力で。 そして、僕は飛び込む! バチン!「また蚊か…」
2021年9月29日 20:42
海は広いな、大きいな。 子供の頃、よく口ずさんだ。 月が昇り、日が沈む。 いつからだろう。 一日中、海を眺めるようになったのは。 海は大波、青い波。 揺れてどこまで続くの? 海にお舟を浮かばして、行ってみたかった他所の国。 着いたのは無人の島。 嗚呼、発見されるのいつなのか~。
2021年9月26日 19:49
好きな人ができた。 来年は五十だ。 年甲斐もないと自覚している。 女房とは若い頃に別れ、娘とも長いこと会えていない。 このまま、ゆっくり歳を重ねると思っていた。 待ち合わせの場所に彼女は急ぎ足で現れた。「じいじ~」 パタパタと駆けてくる姿は娘にそっくりだ。 年甲斐もない男だ。
2021年9月26日 19:31
怒ってないよ。 そう口を動かしながらも、表情は冷たい。 楽しいね。 そう声を発しながらも、口角は下がっている。 人の表情と裏に潜む感情の不一致に、いつも戸惑う。 僕がおかしいのかな。 足元に猫がすり寄る。 彼らは気まぐれだけど裏表がない。 人を怖いと思う僕は失格者なのだろうか。
2021年9月22日 20:21
彼と別れて、1000回眠った。 私は日課のコンビニに向かう。 冷たくないコーラを開け、人気のない店を出る。 道の死骸はすっかりと消えた。 空は青く、鳥もいるのに、人だけがいない。 土地も店も好きにできるけど、嬉しくない。 誰かとコーラを飲みたい。 それが、いまのささやかな願いだ。
2021年9月7日 18:08
まずっ!食えるか、こんなもん! 隣の席の男が吠えている。 味は普通だけど。 贅沢だな、と私は思った。 七日後、世界は戦争になり生活が一変した。 瓦礫を背にして、見たことある男が佇んでいた。「水を分けてくれ…」「泥水でよければ」 拒否した男がどうなったか、その後私は知らない。
2021年9月5日 17:37
これをください。 泉の胸元で映えそうなブルーサファイア。 誕生日に喜んでくれるだろうか。 改札を出ると、泉から着信があった。 僕は踵を返し、いまはつり革に釣られている。 目的がない旅の終点は海だった。 ─好きな人ができたの。 残響する泉の声。 紺碧の海に僕はサファイアを投げた。