素数平均律は、インターバルの純正性への回帰の為にあるのではない。より、多重的な「楽音的に意味を成す音程」の堆積によるハーモニーの可能性を広める為にあり、合成数平均律の限界を補う為のものだ。音響物理的な比率を、むしろ複雑化させる為にある。
一般人どころか、多くの趣味で音楽をやっている人を置いてけぼりにする、31EDO,19EDO,53EDOなどの素数微分音律の数々。24EDOは、二つのキーボード、36EDOは三つ、48EDOは四つ、60EDOは五つ、72EDOは六つのキーボードがあれば、調律をズラせば汎用性がある。
素数微分音律の問題は、記譜法にもあって。複音律や転音律の際に、ラベル付けされている変位記号が別の音程を指すこともあり、混同しないようにするにはという致命的な問題がある。ここにも、私が素数微分音律を使わない理由がある。十二分音で刻まれた72平均律が最も良い。演奏する側を考えて。