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Shuta Hiraki アンビエントヤクザ https://twitter.com/…

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Shuta Hiraki アンビエントヤクザ https://twitter.com/yorosz

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    年間ベスト系の記事をまとめておきます。

  • BEST OF 2021

    2021年の年間ベストアルバム1~30位です。

最近の記事

BEST OF 2023

今更な感あるかもしれませんが2023年の年間ベストをアップします。 遅くなったのには理由がありまして、2023年は自分の音楽の聴き方に反省するところが多く(具体的には、自分の許容量以上に多くの作品をつまみ食いするように聴いていることが多く、結果個々の作品への理解や印象の彫り込みが全く足りないというケースがあまりにも多かった)、それへの戒めとして、ここで取り上げるいくつかの作品について、満足のいく文章を書けてからでないと(それを書けるほどにしっかりと聴き込んでからでないと)アッ

    • ライブレポート:Thomas Strønen Time Is A Blind Guide, 2024/02/06 おりなす八女

      2月6日に福岡県八女市の「おりなす八女」にて行われた、ノルウェーのドラム奏者Thomas Strønen率いるグループTime Is A Blind Guideのライブに行ってきました。 Thomas Strønenはかなり前から好きな音楽家で、ECMからリリースしているノルウェーのジャズ・ミュージシャンの中では例えばJan GarbarekやBobo Stenson、Arve Henriksenなどに比べると知名度的には劣るかもしれませんが、深く多様な音響的哲学(そこにはE

      • (もう一つの)アルバムレビュー:Felicia Sjögren『HULDA』

        スウェーデン・ストックホルム生まれ、現在はゴットランド島に在住し活動しているアーティストFelicia Sjögrenが発表した初の録音作品『HULDA』のレビューをTURNに寄稿いたしました。 そちらの記事では作品の(オルガンドローンやアンビエントとしての)位置付けや、主題と内容の関わりについて論じているのですが、書くにあたって行った作中で使用されたオルガンについての下調べや楽曲についての分析が、それだけでも結構な文量になったので、TURNに寄稿したものとは別の「もう一つ

        • アルバムレビュー:Mette Henriette『Drifting』

          2015年にECMより2枚組のセルフタイトル作『Mette Henriette』でデビューしたノルウェーのサックス奏者/作曲家による、実に8年ぶりとなるセカンド・アルバム。前作はいきなり2枚組で、ECMというレーベルには珍しくセルフタイトルかつ音楽家自身のポートレート写真がジャケットになっているという仕様であったため印象に残っている方も多いのではないかと思います。 本作『Drifting』はMette自身によるサックス、Johan Lindvallによるピアノ、そしてJud

        BEST OF 2023

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        • レビュー
          35本
        • 告知
          22本
        • 年間ベスト
          23本
        • BEST OF 2021
          3本

        記事

          ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』を読んだ

          一年以上前に友人から勧められるかたちで借りていたヴァージニア・ウルフ『灯台へ』を読みました。なかなか手強そうでずっと放置していたのですがいざ読み始めると十日ほどで読了し、私にしてはスムーズに読めたほうかなと思います。 ヴァージニア・ウルフについては名前だけは一応聞き覚えがあるものの作家の時代や位置づけなどは全く知らず、今作についても読む前にほんの少しだけ調べていわゆる「意識の流れ」の系譜に属する作品らしいということだけ掴んだ程度でした。 私は「意識の流れ」の系譜にある他の有名

          ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』を読んだ

          リリース情報:V.A『Medium Ambient Collection 2023』

          Masanori Nozawaさん主宰のレーベルMediumより12/20にリリースされました『Medium Ambient Collection 2023』に「Jikan no kishibe」という楽曲で参加させていただきました。 昨年末にリリースされ好評を呼んだ『Medium Ambient Collection 2022』にはライターとしてブックレット内の文章で関わらせていただきましたが、今回はアーティストとしてご依頼いただき大変光栄です。 今回もCD2枚組に渡っ

          リリース情報:V.A『Medium Ambient Collection 2023』

          【お知らせ】Fabio Perletta Japan Tour 2023 at 圓立寺

          2023年11月17日~12月10日にかけて、イタリアを拠点に活動するアーティストFabio Perlettaの日本ツアーが開催されます。関西~九州~関東を周る予定で、この度私は11月25日、長崎の諫早市にあります圓立寺にてイベントを主催いたします。 出演はFabioに加え打楽器奏者の長沢哲、電子音楽の分野を中心に活動するYutaka Sakamoto、Akito Tabira、そして私Shuta Hirakiとなります。また、会場の装飾をキャンドルアーティストのmunina

          【お知らせ】Fabio Perletta Japan Tour 2023 at 圓立寺

          「freq」MARK FELL, KAKUHAN, RIAN TREANORの雑感

          九州大学大橋キャンパス音響特殊棟録音スタジオで度々行われているイベント「freq」に久しぶりに行ってきました。過去にはこのイベントですずえりさんやHARDCORE AMBIENCE(ナカコー+ダエン)や日山豪さん、そして同大学で音にまつわる研究をされている方々の様々なパフォーマンスを観ましたが、今回はなんと来日ツアー中のMark FellとRian Treanorの親子、そして日野浩志郎と中川裕貴によるデュオユニットKAKUHANが出演というヤバい組み合わせ。演奏もかなり面白

          「freq」MARK FELL, KAKUHAN, RIAN TREANORの雑感

          『idiorrythmie』セルフライナーノーツ by Shuma Ando

          今日においてリズムという言葉は、他者を抑圧する権力性と切り離せないものであるとバルトは考えた。ある年のコレージュ・ド・フランスでの講義を「いかにしてともに生きるか」と題したバルトにとって、かようなものとしてのリズムがなんとしてでも避けられるべきものであったことは言うまでもない。そこで彼は講義を始めるにあたって、語源をたどりつつ、他者を抑圧しないもう一つの、あるいはむしろ本来の「リズム」を示す概念をもち出す。「イディオリトミー(idiorrythmie)」—それは端的に言え

          『idiorrythmie』セルフライナーノーツ by Shuma Ando

          リリース情報:『Tokinogake Night 20230916』

          9/16に落合Soupで開催されるイベント「Tokinogake Night」への前哨戦的なコンピがリリースされました。出演予定の面々による刺激的なトラック揃いです。NYPですが収益はイベントの運営に使われるそうなので是非サポートお願いします! 私の曲「lyrisme météorologique」はシュルティボックスの演奏とそれに反応して音を出すBitwigプロジェクトの合奏の試作的な感じです。リアルタイムで演奏録った後、時間的な改変はせず歪みやEQで音色の加工をしました

          リリース情報:『Tokinogake Night 20230916』

          リリース情報:Shuta Hiraki & Shuma Ando『idiorrythmie』

          9月1日にLeo Okagawaさんが運営するレーベルzappakより新作『idiorrythmie』がリリースされました。 本作はアンビエント・フォークバンドGrace Cathedral Parkのメンバーであり、フランス文学の研究者でもあるShuma Andoさんとの共作で、長崎県佐世保市の針尾無線塔に楽器(シュルティボックスや打楽器類)、物などを持ち込み、長時間即興で演奏した記録です。 高さ136メートルに及ぶ塔の内部は残響がとても豊かで、その中で楽器を鳴らしたり声を

          リリース情報:Shuta Hiraki & Shuma Ando『idiorrythmie』

          ジョルジュ・ペレック『人生 使用法』を読んだ

          つい最近まで名前も聞いたことなかったフランスの作家ジョルジュ・ペレックによる大作『人生 使用法』、フランス文学を研究している友人の "日本での一般的な知名度は低いのが現状なのですが、意外とそれほど難解ではありません" との薦めで読んでみたのですがめちゃくちゃ面白かったです。感想は読みながら逐一ツイッターに書いてたのですがだいぶ細切れなので、備忘録として時系列順にこちらにまとめておきます。 一度読み通したのみの現状で、この作品を総括するようなことはあまり言いたくないのですが、ひ

          ジョルジュ・ペレック『人生 使用法』を読んだ

          BEST OF 2023(上半期)

          上半期ベストです。20作選んで順位を付けました。今回はコメントなしです。まあ下半期合わせたベスト出す時にでもじっくり書きます。ではどうぞ。 20. Christoph Irniger Pilgrim『Ghost Cat』 19. Alexandre Babel & Latifa Echakhch『The Concert』 18. Stephan Micus『Thunder』 17. Evita Manji『Spandrel?』 16. Sabiwa『Island n

          BEST OF 2023(上半期)

          ささきしおり展「描奏をきく」に行ってきた

          6/2~6/4にかけて久しぶりに東京に旅行に行きまして、ライブ行ったり建築や絵画見たり友人に会ったりといろいろやってたんですが、そんな中で正に友人に教えてもらって知った個展「描奏をきく」に会期最終日(6/4)に滑り込んでみたところめちゃくちゃ面白かったので、いろいろと感じ取ったことの覚え書きです。 「描奏をきく」はアーティストのささきしおりさんが考案した独自の楽器「ユポドラム」を用いた個展です。ユポドラムはドラムから通常のドラムヘッド(打面となる皮)を取り外し、代わりにユポ

          ささきしおり展「描奏をきく」に行ってきた

          Toleranceについて~パンク以後、屹立、モノクロームからなる断想~

          1979~1981年にかけて活動し、Vanity Recordsに『Anonym』と『Divin』という2つのアルバムを残した、丹下順子(とサポートメンバーの吉川マサミ)によるプロジェクトToleranceについて、短い論考を書きました。 『Anonym』と『Divin』は今年4月にニューヨークのレーベルMESH-KEYよりリマスター盤がリリースされ、サブスクにもアップされるなど然るべきクオリティーで広く聴かれる環境が整ったため、これから様々な評価が進むと思われますが、現状で

          Toleranceについて~パンク以後、屹立、モノクロームからなる断想~

          2022年のベスト・アルバム:純正律/微分音

          「BEST OF 2022」と「2022年のベストアルバム:「声」」に引き続き、年間ベスト的な記事になります。 この年にはチューニングに純正律/微分音を用いた作品がここ数年の中でも比較的多く耳に留まったように思います。こういったアプローチはそれが伝統として根付き音楽性を特徴付ける大きな要素となっている世界中の様々な地域の民族音楽はもちろん、それを(多くはアカデミックな立場から)研究/分析し取り入れた作曲家(いわゆる現代音楽などの文脈)の作品にも多く例があると思いますし、今回紹

          2022年のベスト・アルバム:純正律/微分音