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年間ベスト

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年間ベスト系の記事をまとめておきます。
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記事一覧

2022年のベスト・アルバム:純正律/微分音

「BEST OF 2022」と「2022年のベストアルバム:「声」」に引き続き、年間ベスト的な記事になります。 この年にはチューニングに純正律/微分音を用いた作品がここ数年の中でも比較的多く耳に留まったように思います。こういったアプローチはそれが伝統として根付き音楽性を特徴付ける大きな要素となっている世界中の様々な地域の民族音楽はもちろん、それを(多くはアカデミックな立場から)研究/分析し取り入れた作曲家(いわゆる現代音楽などの文脈)の作品にも多く例があると思いますし、今回紹

2022年のベストアルバム:「声」

「BEST OF 2022」に引き続き、テーマを決めてこの年のベストアルバムというか印象に残った作品を紹介してみたいと思います。 タイトル通りなんですが、2022年には(あくまで私のよく聴くようなアンビエントだったり抽象的なエレクトロニック・ミュージックなどの分野で)声の存在が耳を引く作品に多く出会いました。 これらの作品はそれぞれ声の所在(アーティスト自身の発声なのか、既存の音源をサンプリングしたものなのかなど)や用い方は大きく異なっているので一緒くたにして何らかのムーブメ

BEST OF 2022

2022年の年間ベストです。30作選び順位を付けました。全作感想付きなので記事が長くなってしまい読みにくいかもしれませんが、どれも素晴らしい作品なのでザっとスクロールしてアートワーク目に留まったものだけでも聴いてみていただければ幸いです。画像をクリックで試聴などできるサイトへ飛びます。ではどうぞ。 30. Blackhaine『Armour II』 29. a0n0『City Lights』 28. Prison Religion『Hard Industrial B.O

2021年のベストアルバム:千鳥足な在り方に宿る「アンビエント的」な何か

「BEST OF 2021」と「ダブ×アンビエントは何処へ行く?~その可能性を示す10アルバム~」に続き、2021年の振り返りです。 年間ベストの末尾のまとめでも書いたんですが、この年の音楽を聴いていての気付きとして、「時間的にコンパクトに(だいたい30分前後くらいに)まとめられたアルバム」に惹かれることが多かった、というのがありました。 この時間的コンパクトさという特徴から、単に気軽に聴けるという以上の特有の音楽的フレッシュさを見出せないか、というのがこの記事の趣旨にな

2021年のベストアルバム:ダブ×アンビエントは何処へ行く?~その可能性を示す10アルバム~

「BEST OF 2021」に続いて、テーマを設けての2021年の振り返り的な記事、書いていきます。 この年の音楽動向で特に印象的だったことの一つが、近年そこから多くの傑作を生みだしているダブ×アンビエントの新たな潮流において、その先を感じさせてくれるような、よりチャレンジングな仕上がりの作品が多数発表されたことでした。 (この記事における「ダブ」は基本的にBasic Channelの登場以降クラブ・ミュージックとしてヨーロッパを中心に根付いていったミニマル・ダブ~ダブ・

BEST OF 2021(1~10位)

2021年の年間ベスト1~10位です。どれもヤバいので未聴のあったりしたら是非聴いてみてください。では。 10. Fred Thomas, Aisha Orazbayeva & Lucy Railton『J.S. Bach: Three or One - Transcriptions by Fred Thomas』 ピアニストのFred Thomasがバッハの作品(主にオルガン曲やカンタータ)をピアノ、ヴァイオリン、チェロのために編曲し、Aisha Orazbayevaと

BEST OF 2021(11~20位)

2021年の年間ベスト、11~20位です。続きはなんとか今週末中にはアップしたい。ジャケ画像にbandcampのリンクついてます。リンクは貼ってないですがサブスクにもほとんどあるはずです。 20. Yosuke Tokunaga『9 Mezzotints』 2010年代に自主レーベルTOSTからのリリースで突如として注目を集め、以降Strange RulesやAudio.Visuals.Atmosphere.などからも作品をリリースしている日本人音楽家Yosuke Tok

BEST OF 2021(21~30位)

2021年の年間ベストを書きました。30作選んで順位を付けたんですが、感想の文字数がとても多くなってしまい一つの記事にすると読みにくいので、3つに分けてアップしていきます。まずは21~30位です。ジャケ画像にbandcampのリンクついてます。サブスクのリンクは貼ってないんですが検索してもらえればほとんどあります。続きは明日か明後日にはアップします。ではどうぞ。 30. C. Diab『In Love & Fracture』 カナダのバンクーバーを拠点に活動するマル

BEST OF 2021(上半期)

2021年上半期の新譜ベストです。20作選び順位を付けました。 つまみ聴き程度に聴いたのはもちろん他にもいろいろあるんですが、ブログのほうにこの半年でお気に入りとして載せた新譜は数えてみたら132作だったので、そのうちの上位20作ということになります。 ジャンルやテーマなどはなく気に入ったものを並べただけなのですが、セレクトの中には "(方法論的にそういえるかはよくわからないけど)アンビエント的に聴けるもの" がかなり多く、そして "30分前後(長くても40分程度)にまと

2020年に聴いた旧譜ベスト

なぜにこんなタイミングでって感じですが、毎月はてなブログのほうでまとめている「今月のお気に入り」の2020年分の〈旧譜〉部分から特によく聴いていたものや印象的だったものをまとめた旧譜ベストを作りました。 そのタイミングで初めて聴いて感銘を受けたものはもちろん、それ以前に聴いたことはあったものの改めて聴き直して素晴らしさに気付いたものや、凄い作品だと知っていたものの入手が難しくやっと手に入れられたもの(コロナ禍以降は過去のカタログをbandcampにアップするミュージシャンも

BEST OF 2020

2020年の年間ベストです。20作選び順位を付けました。2020年の年間ベストはこのnoteで既にジャンルやテーマを設けて選んだものをいくつかアップしていますが、今回のセレクトがいわゆるオールジャンルでのお気に入り作品を選んだものになります。この年は電子音楽やアンビエントに分類されるようなものを多く聴いていたため、セレクトもそういったものがほとんどになっています。感想は上位10作のみ。画像には試聴や購入ができるリンクを貼り付けています。ではどうぞ。 20. Sarah Da

2020年のベストアルバム - ジャズ

2020年の年間ベスト、ジャズ編です。今年はここ数年の中でもジャズの作品を聴く機会がかなり少なく、故にこういったベスト記事も私は作らないつもりだったのですが、ブログのほうに毎月まとめている『今月のお気に入り』からそういった作品だけを抜き出してみたところ、もう少し話題になったり広く聴かれてほしいな…と思うものがいくつかあったので、それらを広めることができる少ない機会を無駄にする手はないなと思い直し、やってみることにしました。 なんとなくの直感ですが、おそらく2020年に聴いた

コラージュ×アンビエントで振り返る2020年の音楽

先日アップした『Best Ambient 2020』でも示した通り、アンビエントな音楽に素晴らしいものの多かった2020年ですが、同時にこの年には、そこにストレートに収まりきらない音楽性でありながらも、何かしらの近接が見い出せる作品にも非常に興味を引くものがありました。 それらの作品に、何かしらの共通項を見出しつつ紹介できないか、というのが本記事の目的です。 ここで紹介する作品は大雑把なジャンル(もしくはタグ)でいうならExperimentalに分類されるケースが多いので

2020年のベストアルバム - アンビエント

久しぶりのnoteの投稿になってしまいました…。 今回は2020年のベスト・アンビエントです。2020年は(要因はいろいろ考えられますが)アンビエントのいい作品がとても多く、悩みながらも20作に絞りました。当初は2018年、2019年に続いて『入眠時の音楽』というかたちでまとめようと考えていたのですが、2020年は眠る時にあまり音楽かけなかった気がしたので、この括りにしています。 アンビエントといっても様々な広がりを見せている現在にあっては、ここにどんな作品を含めるかはな