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読める!読めるぞ!サジタルノーテーションその③【039】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
変拍子兄さんのお時間です。

前回に引き続き、謎の文字を解読する時間がやってまいりました
前回までは、「この記号イカしてるだろ?」という
おしゃれ感覚の延長で、サジタルノーテーションというものをお伝えしてきました。

今回はそれを一言で読むという
さらなる、カオスに挑んでいきましょう!
ちなみに今回も、記号の意味についてはまだ触れません。


1.サジタルノーテーションが開く新たな地平


サジタルノーテーションは非常に使いづらい微分音記号システムでありながら、ひとつの記号を一言で呼べるように作りこまれています。

サジタルノーテーションの壁①は種類が多くて多様なこと
壁②は形が複雑で識別困難なこと、 でしたが
サジタルノーテーションを信じて、前回の古代文字分析講座を読破したのであれば、壁①と壁②はもうなくなってますね。

サジタルノーテーションの優れている点は
ずばり「音素体系
いよいよ、サジタルノーテーションの神髄に近づいていきます

前回の記事にて、
サジタルノーテーションの一匹を名指しできるようになってもらいました。
そして今回は、音素解説です。
つまり、サジタルの一匹を1音節(または2音節)で呼べるようになります

これをマスターするとこのようなことができます
今までピタゴラス音律のミ(81/64)と純正のミ(5/4)という風に呼び分けていたものが
 と ミpao という風に厳密かつ簡素に呼び分けることができます。


つまり、Wikipediaにあるよくある
↓このような純正音程比較表、これらの音程を呼び分けられます

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今回も言語学まがいの解説記事になりますが
純正音程弁別用言語が、そろそろ手に入ります

今回は詳しく触れませんが、
純正音程だけではなくミーントーン音程の弁別も可能になります
今まで音律という背景に隠れていたピッチを、
音程として引きずり出して扱えるようになる、ということですね。

2.サジタルノーテーションの演算ルール


#+# = x(ダブルシャープ) という風に
臨時記号というものは加算減算ができます。
サジタルノーテーションは細かいので、ルールも複雑になってきますが
基本的な演算をはじめにお伝えしましょう。

①半音の加算:半音拡大=シャフト2本追加

半音の変化はシャフトが2つ増えます
つまり
・シングル+シャープ/フラット=トリプル
・ダブル+シャープ/フラット=エックス

という風になります

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エックス=4本ということを間違えなければ
そんなに難しくはないですね。
このルールが成り立つことから、
シングルとダブルの話をしたら、トリプルとエックスのサジタルについてはわざわざ触れる必要がなくなります

②半音の減算:半音縮小=上下反転

このルール、矢印の特性を生かしたなかなか面白いルールです

通常の記号では、逆向きが別の形状で定義されてることが多いですが
サジタルノーテーションはすべて、上下反転ができるようになっています
(左右反転は意味が変わるのでしないでください)

アップ系サジタルとフラットを合わせると、上下反転、ダウン系サジタルに
ダウン系サジタルちシャープを合わせると、上下反転、アップ系サジタルに
なります

図にするとこんな感じです

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つまり、このルールを考えれば
ナチュラル~ジャンプ(シャフト1本)の記号を上下反転すれば
ジャンプ~シャープ(シャフト2本)の記号を#/♭と合わせて書くことができます。

この①②のルールを考えると、
覚えるサジタルの情報量は単純計算で1/4になります。

基本的にシャープ側(シャフト2本)のサジタルは使用せず、
#/♭の合わせ技で対応します

このような、サジタルと通常の記号の合わせ技のことを
ミックス表記
と呼ぶことにしましょう

(ちなみに、同じ形状で上向きと下向きを足すと相殺するのは、特に言わなくていいですよね?)

③サジタルのペア

音素の解説の前提として、
ミックス表記しない場合、どうなるか?という点も触れておきましょう

サジタルノーテーションは
ミックス表記をせずに、サジタルのみでも書けるように
サジタルが定義されています。
フルサジタル表記としましょう)

先ほどの例だと

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こんな風になります
ナチュラル~ジャンプ側のサジタル と
シャープ側のサジタル はペアになっていて
純正音程も逆数になってます

このペア、しっくりくるペアもあれば
なんでこいつとこいつペアなの?っていう場合もあるので
ややこしいです(ふざけんなって感じ)

そのため、ミックス表記をベースに進めていけば
ペアの存在を無視できるので、

ミックス表記からサジタルをやってください。
痛い目に遭いますよ?

これは次の音素ルールの話において生きてくる
超重要事項なので、ミックス表記が基本で
いずれ、フルサジタルができるようになればいいとお考えください。

3.音素ルール

さて、いよいよサジタルの音素解説に踏み込みましょう

①シャフトの読み方

まずは、シャフトの音素から行きましょう
こちらはシンプル

アップの場合、語尾が ai 
ダウンの場合、語尾が ao 

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奇数であればこのルールが適用されます

ただし、シャフトが偶数の場合は注意が必要です

シャフトが偶数の場合、
音程はジャンプ~シャープにいることになり、
ミックス表記が可能です
いや、ミックス表記にしてください。


ひとつ例をあげましょう、下の図をご覧あれ。
一番左は左右スクロール・ダブルアップ
これをミックス表記にすると、左ダブルバーブダウン+フラット 
なぜ、このペア?っていうツッコミは置いておいて

どちらもスペリングは「Phao」なんですよね

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(サジタル+フラットってこんなぴったりくっつくのか…)

一番左は明らかに上向きなのに、-ao なの?って思ってしまいますが
スペリングはミックス表記で読むのでao が正しいとなります。

つまりシャフトが偶数の場合は見た目通りに読みません

平たく言うと、ミックス表記にしとけや

ということ。
ここがサジタルのいやらしいところなのですが
まあ、とにかくミックス表記ベースで考えましょう

(ジャンプ付近に、バッファゾーンがあって
シャフト1本でも、逆転現象が起こる場合があります)

②フラッグの読み方

フラッグには担当する子音が割り当てられているため
フラッグの子音+シャフトの母音 を合わせて一音とします
そして、フラッグの担当する子音は以下の通り。

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パイ、カイ、ジャイ、タイ、サイ・・・・
という風に結合します
これは、言語なので覚えましょう!
8種類ならまあ行けるでしょう
(超絶暇になったら語呂合わせとか考えます)

ヘルエリノーテーションに勝る部分は、この8種類で済むというシンプルさですからね!

これが音素の基本ルールで
フラッグが2つ合わさると別の子音になるという
オプションルールもあります(オプションですので使わなくてもOK)

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③フラッグの結合

さて、フラッグは組み合わせるものですので
複数フラッグが存在する場合のルールもあります
3つあるので覚えてください

 1.左右にフラッグがある場合、2音節になる

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例えば、左右にアークがあります 左アーク=J 右アーク=T ですので
この場合は Jatai

となります
次のルールと対比して覚えるといいでしょう

 2.片方にフラッグがある場合、1音節になる

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こちらは左フックスクロール ですね。
左フック=S 左スクロール=R ですので Srai
となります

そう、二重子音になるのです
二重子音にしたら読めなくね?っていう場合は
サジタル自体がないっぽいです

 3.片方に同じフラッグがある場合、hがつく

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こちらは、左ダブルバーブ です
左バーブ=P がふたつですので、Phai になります。


ちなみにPhaiはFai、KhaiはChaiとしてもOKという
読みづらかったら、若干変えてもええでって感じのアソビがあります。

④拡張記号

へルクリアンセットとオリンピアンセットに登場する記号にも
音素がありまして
以下のようになります

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先に来るのか後に来るのか、裏が取れてないのですが
Paibi とか Paimo とかになるのでしょう
東南アジアのお菓子にありそうな雰囲気してますね

拡張アクセントにも、音素がついてるのかって
頭の片隅においておけばOKかなって思います。

4.練習問題(笑)

さて、サジタルクイズの時間です
以下5つのサジタルのスペリング(発音)をお答えください
(シャフト2本のサジタルはペアを覚えておく必要があるので、さすがに出しません)


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下のラインを過ぎると、答え合わせです

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5番目は二重子音と二音節のコンボ技です
これはオプショナルルールを適用してvraiの方がスッキリするかもしれません


偏ってる系ならこいつ

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左に3つ偏ってるこいつは phrao になります
まさかの、三重子音になってます
これもオプションルールでfraoのほうがスッキリですね

子音重なりすぎ対策として、オプションがあるというわけですね
まあこうシチュエーションもあるので覚えておいて、損はなさそうなルールです。


存在しないフラッグの組み合わせも結構ありますし
実際、最終的に30コくらい覚えれば、サジタルは制覇できます
いよいよ、終わりが見えてきましたね。
少なくとも3記事くらいはまだ書きますけど(笑)


◆〆


さあ、ここまでくればカオスすぎて吐き気がしていたサジタルも
もうひとことで読めるようになったことでしょう

覚えるべきポイントは
・半音とサジタルの加算減算ルール(2種)
・ミックス表記(シャフトを奇数)で表すこと
・フラッグの子音(8種)+シャフトの母音(2種)
・フラッグ複合のルール(3種)

実はこれだけです

だんだんとルールが集約されていきますし、
最初とは見方が大分変ってきたことでしょう


さあ、これでサジタルノーテーションを
短く読むことができるようになりました。
記号の読み方、外側のルール説明は今回で終了

次回、いよいよ純正音程との対応を解説していきます。

スパルタンセットとか、アテニアンセットとか
そのあたりを解説していきます



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