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53平均律で作曲するには?【045】

こんにちは、こんばんは、ユートピア!
変拍子兄さんです。

今回は、53平均律 というクソデカ音律で作曲するには
どんなことを頭に入れておけばいいのか?っていう話をします。
この音律は中級者~上級者向けの微分音です。

ポイントは
①鍵盤の段ごとの役割
②純正化
③トネッツの活用

以上の3つです!
それでは、解説していきましょう!

◆53平均律の音律の特徴


まず53平均律の特徴は3倍音と5倍音の正確さです。
これだけ巨大な音律を扱うのであれば、この特性は活かしたいものです。
基本は5度と3度で考える、というわけですね。

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ステップ数が多いため、他の倍音もそんなに悪くはないです。

一応、他の音律との比較表を作ってみました。

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個性は3,5,7倍音のズレの少なさで捉えます。
精度の目安は2¢以内であれば最高!
5¢以内であれば、いい感じです。

◆鍵盤モデル

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53平均律は 7x4 + 5x5 = 53 で白鍵4段 黒鍵5段となります。 
MIDIの1オクターブ12音に割り当てるためこれが必要ですね。

記号はここでは、そういう風に決めてるんだ~っていう見方でOKです。

ちなみに白鍵の何段目をC~Bにセットしても結果は同じです。
真ん中にした方が見やすいため、こういう風に配置してます。

MIDIのチャンネル1にはこれら↓ 12音を割り当てます

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1音上はCh2 2音上はCh3
1音下はCh4 2音下はCh5 とします。

キャリブレーションはC基準の場合・・・
Ch1 C=523.25Hz
Ch2 C=530.13Hz Ch3 C=537.12Hz
Ch4 C=516.45Hz Ch5 C=509.74Hz
このように設定します。

(その他のキャリブレーションを検討したいかたは
[基本周波数]x2^( [上げるStep数] / 53 を計算しましょう。
GoogleやExcelで使用してください。)

セントで表記すれば±22.6¢と±45.2¢です。

前述のようにMIDIの12音のうち黒鍵をシャープの音とすることを
シャープスタイルと呼んでます。
これは純正音程との兼ね合いを考えたうえでの結論でして
D#=Eb’となるので、フラットとしても使えます。

また、黒鍵をフラットの音することも可能で、
Eb=D#.なので同じじゃんって思ったんですが
F#.  C#.ぐらいしか、ありがたみがないんですよね。
というわけで、オススメはシャープスタイルです。

さて、ご用意いたしました。
手っ取り早く聞きたい方はこちら

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◆各鍵盤の使い方

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さて、再三ですが53平均律は白鍵4段、黒鍵5段 となります。
いきなり53音を使いこなすのはハードルが高いので
1段ごとに役割を押さえていきましょう

正直、ナチュラルの段+シャープの段+フラットの段で十分です。
純正音程のアプローチが気になる方は④番までで十分でしょう。
難易度順に解説していくので、ついてきてください。

①ナチュラルの段

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MIDIチャンネル1

最初はやはり基本のCメジャーです。
使用感は意外と普通です。
僕の印象としてはほのかに明るく、旋律が綺麗だなって印象です。

和音も5度堆積、4度堆積、sus2、sus4が綺麗に響きます。
いくつ堆積しても綺麗! です。

長3度を含む和音 C-E や G-B に関しては注意です。
5度堆積上で使う分には問題ないんですが、甲高く響いてうるさく感じることがあります。
ハモリ付けや伴奏の時は気をつけましょう。

テンポが速かったり、音価が細かかったり、低音をガンガン鳴らしたりすると和音の音感が鈍るので気にはならなくなります。
旋律重視の音律なので生き生きしたメロディになりますよ。

②シャープの段

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MIDIチャンネル1


シャープの段が追加されました。
これでコードワークの幅が増えますね。
ぶっちゃけこの12音でほぼこと足ります。

リディアンやセカンダリードミナントとしても有効ですし、
クロマチックや刺繍音として使うと、エレガントな感じがします。

この#の段はフラット扱いしてもさほど問題はありません。
bIII bVI bVII といったモーダルインターチェンジが
一層輝きをおびた響きになってよいですね。

マイナーとして使うとちょっと暗さが足りないので
Im/bIIIといった浮遊感のあるコードワークに向いています。


・キーの制限

キーの制限についても見ておきましょう。
概ね問題はありませんがF-A#が好ましくないので、KeyFは要注意です。


それぞれのメジャーキーを調べた結果
問題ないと判断したのは緑色の以下8キーです。
(マイナーはリラティブのメジャーとして見てください)

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53平均律では1Step低いとハモリが綺麗になります。
そういうキーでは「〇ー〇」が純正化と書きました。
これらのキーでは、旋律としては音痴に聞こえることもありますが、問題はないでしょう。

12平均律と違ってキーごとに味わいが異なる、といった古典調律の醍醐味も味わえます。
なんてったって、ほとんどピタゴラス音律ですからね。

それに対して黄色にしたキーでは4度、5度、2度がずれています。
これはこれでスレンドロっぽくて面白いんですが、オススメはできませんね。

③フラットの段

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MIDIチャンネル4


フラットの段を使えるようになればキーの成約は結構なくなりますね。
ピタゴラス音律のフラットなので、4度堆積を何段も積んでも綺麗です。

フラット系のキーの場合は、この段を使うのがよいですし
そこを考えれば、シャープの段では4度や5度が変というのも回避できます。

④アンダーの段

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MIDIチャンネル4


53平均律で1Step下げる時「.」の記号を使用します。
僕はドットとかアンダーとか読んでます。

①の項目でお伝えしたように
ピタゴラス音律上の長3度は甲高いという特徴があります。
53平均律では407¢
12平均律よりも高いです。

これは和音の観点からみると致命的で、これを回避するため
1Step下げを活用します。

E. は385¢でほぼ純正で
C-E.-G という風にすると和音は綺麗に響きます。

このように純正に近い音程に変えることを「純正化」と呼んでいます。

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(ナチュラルの段が赤、1Stepさげると青)

旋律として使うと音痴に聞こえることもあるので
主旋律よりはハモリ側を調整するのがよいでしょう。
主旋律でも長めの音価では純正化するのもいいですね。

・フラットの延長
他の使い道としてフラットの延長で使います。
12平均律では異名同音となってしまう音程も、53平均律では一致しないことが多々あります。

Cb=B. Fb=E. となるので、Dbミクソリディアンとか使う時に必要になるかもしれません。
Bbb=A. といったダブルフラットを使いたい場合にも登場しますね。


⑤オーバーの段

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MIDIチャンネル2

次に1Step上げる記号は「’」を使います。
僕はダッシュやオーバーと呼んだりしてます。

長3度は旋律では綺麗なので、純正化はしたくないというときの裏技があります。
それが「反転純正化」という方法です。

Cメジャーを例にとると、C’-E-G’という風に調整します。
Eが下がるのではなく、他が上がるというというもの。

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(ナチュラルの段が赤、1Step上げると黄色)

メロディを純正化すると、大人しくなった感じになりますが
反転純正化では、周りが盛り上がってるような雰囲気になります。


・マイナーの純正化

メジャーの話ばかりしていましたが、
マイナーの純正化でも「’」は使えます。

たとえばEmを E-G’-B とします
こうするとマイナーがクリアな響きになります。
マイナーにしては明るすぎてイヤということもあるので状況次第です。

もちろんマイナーの反転純正化としてE.-G-B.というのもアリですよ。

・レッドノート
マイナーを下げてブルーノートにしたように
メジャーを上げてレッドノート
というテンションの高いメロディを作ることができます。

これは純正音程でいうと9/7や12/7 といった分母に7がある音程になります。
単純に考えるなら、ちょっとタガの外れたメロディを作るときに
1Step上げるという発想でよいでしょう。



和音で考えるならば、7倍音の反転純正化ということもできますね。
4:5:6:7の周波数比で和音を作るとC-E.-G-Bb. になりますが
これを反転させ、1/7:1/6:1/5:1/4 の周波数比で和音をつくります。
それが、D’-F-Ab'-C というものになります。

MIDIで打ち込むのであれば、Dm7b5のDを1Step上げるだけで作れます

ナチュラルが赤、1Step上げると黄色

この和音はディミニッシュやマイナーII-Vの時に使えます。
VIIdim や IIm7(b5)-Vm のレッドノート化がオススメです。

⑥フラットアンダーの段

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MIDIチャンネル5

この段はフラットから1Step下がった音程たちです。
シャープから2Step下がった(#..)とも考えられます。

・ブルーノート
53平均律は7倍音が得意ではないのですが、やってやれないことはありません。
押さえておくべき点は3つ
・ブルーノート
・ドミナント7
・ディミニッシュ


短3度を1Step下げることでブルーノートにすることができます。
マイナーの暗さが一層増して渋くなります。
これはジャズ、ブルースでおなじみの音程ですね。
ブルーノートなので、伴奏側はメジャーでもマイナーでもOKです。


和音として使う際も有効です。
ドミナント7 例えばC-E-G-Bbを使う時、C-E.-G-Bb.にすることで
3,5,7倍音が揃って一体感を生み出します。
これは、周波数比が4:5:6:7に近づくためです。
これも純正化の一種ですね。

同様にディミニッシュC-Eb-Gbを
C-Eb’-Gb. とすることで
周波数比 5:6:7 に近づけることができます。 

これらは情緒的になる反面、濁りと捉えられることもあるので気をつけなければなりませんが、微分音としては比較的使いやすい部類です。


・オーグメントの純正化

次にオーグメントの活用です。
オーグメントは長3度を堆積してできているので
2段階純正化を行う必要があります。

そのため表記上はb.がいいですが、僕のオススメは#..の捉え方です。

Caugを例にとってみましょう
C-E-G# を純正化する場合、
まずは、C-EはC-E.になります。
それに伴ってE.からの長3度はE.-G#.となります。
これをもう一度純正化するとE.-G#.. と「.」2個分が付くということになりますね。

つまりAug5th は 2Step下げる必要があるということになります。

クラシックの音感では、7倍音的な解釈はあまりなく
5倍音x5倍音のオーグメントの方が使用頻度が高いです。
53平均律は3倍音と5倍音の精度が高いですから、
ブルーノートよりもオーグメントの使い方の方が特性を活かしてると言えます。

純正のオーグメントは綺麗な響きになりますが、2Step下げるというのは面倒な気もするので
ブルーノートの方が使いやすいのかもしれません。

そして53平均律ではオーグメントをフル活用して和音をつくることができますので、押さえておきたいところです。

⑦ドロップの段

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MIDIチャンネル3
MIDIチャンネル5でも同様のピッチになる

黒鍵の最上段の使い方です。
「d」(ドロップ)は「.」2つ分に相当します。
先ほどのように「..」としてもよいのですが、「d」とすることで
24平均律と同様の使い方が可能となります。
ただし、24平均律に比べると明るいです。

それがニュートラルです。
一番使いやすいスケールがC-D-Ed-F-G-Ad-Bdのニュートラルスケールで
和音として使用するなら、
ニュートラル7th C-G-Bd や 5度堆積っぽいC-G-D-Ad です。

53平均律では11倍音の精度が高くはないので適した使い方とは言い難いですが、この段を簡単に使うならこれで十分です。

・クアッドオーグメント

それでは53平均律の特性を活かすにはどのように使うべきか?
という方に進めましょう。
そこで登場するのがクアッドオーグメントです

通常オーグメントは長3度堆積で、3和音にしかなりませんが
53平均律では4和音のオーグメントが発生します。
そのなかでも、純正化したクアッドオーグメントを使用する際に
この段を使用可能です。

Gaugを例にしてみましょう
Gから純正長3度はB. と考えていくと、
G→B.→D#..→F##.. 
…とまあ、臨時記号多すぎて、なんだそりゃっていうところにたどり着きます。
このままでは、どの鍵盤なのかわからないので臨時記号の数を減らして
G→B.→Eb.→Gd
という風に簡略化しました。

まあ、過程が追えなかったとしても、
クアッドオーグメントの4音目は1音目より半々音低いと押さえておけばOKです。

この和音は4音目をオクターブにするよりも澄んだ感じがします。
オクターブ感を縮める効果がある
という何ともマジカルな現象を起こせます。

このようにオーグメントを拡張して和音の表現を押し広げていく
というのが53平均律の特性を活かしたアプローチになってきます。

・クアッドオーグメントxトネッツ

ここにトネッツを用意しました。
右に1マス行けば5度上、上に1マス行けば純正長3度上のピッチが分かります。

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G,D,A,E,B の純正クアッドオーグメントは
丁度、ドロップの段を使用します。

使いやすいニュートラルをマスターしたらこっちにもトライしてみたらいいですね。



⑧ジャンプの段

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MIDIチャンネル3

次はジャンプの段です。
これもさっきと同様に、簡単な使い方(24平均律的)とクアッドオーグメント的な使い方があります。

・ハーモニック11th
11thテンションを半々音あげるというのが、この段の使い方です。

ナチュラルの11thはC-E-G-B-D-Fですが
この音程を半々音あげるとC-E-G-B-D-Fキ
にすると金属感を帯びた甘い響きがします。


・クアッドオーグメント

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トネッツでクアッドオーグメントを見てみましょう。
先ほどと違って、長7度から半々音上と捉えた方が覚えやすそうですね。

⑨シャープオーバーの段

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MIDIチャンネル2

この段が53平均律の中で厄介な段です。
この段もやや低いニュートラルとして使うこともできるのですが、
使い分けが、なんとなく低いぐらいのものになるので明るさ調整としては面白いところです。

これも53平均律の特性とは離れているので、
ユーグメントとスーパーディミニッシュを押さえていきましょう。

・ユーグメント
通常のオーグメントは長3度上に堆積していきます。
純正化したパターンですが、これをトネッツで表すとこのようになります。

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下向きに長3度を堆積していくことができます。
これをユーグメントと呼んでいます。
反転純正化の一種でもあります。
通常のオーグメントよりもふんわりした軽やかな印象になります。

これもトネッツで見てみましょう。

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これをDaugやAaugなどで使う際にこの段を使用します。

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この段ではありませんが、クアッドユーグメントというのももちろんOKです。


スーパーディミニッシュ

ディミニッシュを純正化したときにもこの段を使用します。
C-Ebを純正化、C-Eb’
Eb’-Gb'を純正化、Eb’-Gb''=F#' という風になります。
これをスーパーディミニッシュと呼んでます。

トネッツで捉えると、右下へ斜め斬りってところですね。

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◆53平均律トネッツ

12平均律では5度圏という簡単な形で表すことのできた
純正音程のマッピングも53平均律の場合は広大なモノになります。

53平均律トネッツ

この表では白鍵と黒鍵は色分けし
被っているピッチは文字色を薄く
2行目に鍵盤の位置がわかりやすいように音名を改めています。

この表を活用するタイミングはやはりオーグメント関連
純正化を複数段階、使用するので
臨時記号がごちゃついて、どの音かわからなくなってしまいがちです。

オーグメントやユーグメント、スーパーディミニッシュはこの表を使うと
どの鍵盤が該当するのかすぐわかるので便利ですね。

・純正音程(ハーモニックファンクション)

さきほどのトネッツから代表的な純正音程を持ってきて、
各鍵盤に当てはめたものがこちらです。

2の因数は省略
1以上2以下になるようにオクターブ調整したもの


◆スケール各種


・メジャー/マイナー派生のスケール


基本をメジャー・マイナースケールとして3,6,7度をそれぞれずらしていくというものです。
(このマイナーはナチュラルマイナーです。)

メジャーを1Step上げた場合、対するマイナーは1Step下げます。
(互いに逆向きになるので外側/内側という表現を使うことにします。)

このようにペアにしておくと
I△ IV△ V△
VIm IIm IIIm
のようにメジャーのTDSとマイナーTDSが対になって出てくるので便利です。(ただし、IImは変則的です)

以下の5タイプがあります

・2Step外側:+2 Step ウルトラスケール/ -2Step インフラスケール
・1Step外側:+1 Step スーパーメジャー/ -1Step サブマイナー
・基本形:メジャー/マイナー
・1Step内側:-1 Step サブメジャー/ +1Step スーパーマイナー
・2Step内側:-2 Step ニュートラルメジャー/ +2Step ニュートラルマイナー

これらの使い方は各鍵盤の使用方法とおおよそ一致してます。
ただし、先ほどの説明ではバラバラに説明してしまったので
スケールのペアに合わせて振り返ってみましょう。

基本形:メジャー/マイナー

まずは基本形ですね。旋律重視の形態です。
CDFGは常にこの段からは動きません。

1Step内側:サブメジャー/スーパーマイナー

こちらは純正化をするときに使用する応用形です。
メジャー3rd,6th,7thは下がり、マイナー3rd,6th,7thは上がります。
こちらはハーモニー重視の形態です。

1Step外側:スーパーメジャー/サブマイナー

こちらは、レッドノート/ブルーノートを使用する時の形態です。
この段はユーグメント/オーグメントで使用するかもしれませんが、
覚える時はこっちの方が楽です。

2Step内側:ニュートラルメジャー/ニュートラルマイナー

こちらは、ニュートラル化したときの形態です。
ニュートラルという割にはメジャー・マイナーに寄ってるので変な感じがしますね。
和音のアプローチでいえばオーグメント、ユーグメントで使用した際に使ってみるといいでしょう。

2Step外側:ウルトラ/インフラ

最後は、2Step外側に広げた形態ですが、Aのところが重なってしまいましたね。
この形態ではエキゾチックな響きがして面白いです。
暗い・明るいといった印象が揺らいでくるのもこの形態です。

・チャーチモードへ拡張


他のチャーチモードに応用するにはどのようにすればよいでしょうか。
(意味は同じですが、ここからはずらすと言わずにシフトと呼ぶことにします。)

リディアン→3,4,6,7度をシフト
ミクソリディアン→3,6度と7度を逆向きにシフト
ドリアン→3,7度と6度を逆向きにシフト
フリジアン→2,3,6,7度をシフト
ロクリアン→2,3,5,6,7度をシフト

という風に派生形を作っていきます。
ミクソリディアンやドリアンは、逆向きにシフトする必要があるので注意が必要ですね。

これらのシフト対象は、3倍音をオトーナル/ユートーナルで使用したかによって判別できます。
といっても分かりづらいのでピタゴラス音列を書いて整理しましょう。

Cを基準にピタゴラス音列を上下に6音ずつ設けると
Gb-Db-Ab-Eb-Bb-F-C-G-D-A-E-B-F#
となり、F-C-G-Dを固定する音、その外側をシフト対象にするとしています。
この4つを動かさない音にしたのは3和音の完全5度を維持するためですね。

・メルカトルモッシュ

クアッドオーグメントを旋律的に活用するためにスケールも考えてみました。といってもオーグメントをずらして重ねただけのシンメトリカルスケールのようなものです。

クアッドオーグメントとクアッドユーグメントで作った7音音階を
メルカトルモッシュ」と呼ぶことにしました。

C基準で考えると
クアッドオーグメントC-E.-Ab.-Bキ
クアッドユーグメントC-Ab'-E'-Cキ
この2つを合わせてC-Cキ-E.-Eキ-Ab.-Ab’-Bキ というスケールです。

C-Cキ-E.-Eキ-Ab.-Ab’-Bキ

ステップ数でいうと2-15-2-15-2-15-2 となっているMOSです。

純正長3度だけで6音もってくればいいので
CのクアッドAugとBキのクアッドAugで作ることも可能
トネッツを見ながらだとすぐにわかります。

頻繁に使用することのできるスケールではないですが
クアッドオーグメントを使用した際にこのスケールを使うとよいでしょう。


◆〆

というわけで53平均律を使いこなすためのアレコレを書いてみました。
53と数が多いのでとにかく難しいです。
純正音程のアプローチで取り組んだ人は一部分の理解で十分


24平均律、31平均律を最初にマスターしておけばほぼ対応するので
その後にやるのがよいと考えます。
そうすれば、残りは純正化とクアッドオーグメントだけになります。

今回の記事は、使い方に着目して書きましたが
また別の機会に、和音やインターバルの名称などをまとめた記事も書こうかと思います。


そして、
24平均律のニュートラル→11倍音系
31平均律のブルーノート・レッドノート→7倍音系
53平均律の純正化・クアッドオーグメント→5倍音系
となるので、
この3つの音律でほとんどの純正音程を扱えるモデルを得てます

そのため他の平均律が使いたいと思ったら容易に使いこなせることでしょう。

いずれは実践例を交えて解説したいところですね。
今回は以上です。それでは。

















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