41平均律で作曲してみる【微分音雑記003】

こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
変拍子兄さんです。

最近、41平均律で作曲をしてみたので、備忘録を残しておこうかと思います。

◆なぜ、41平均律をつかうのか?

最近、ピアノメインの曲を作ってみようと思い立ちました。
その曲は、10代のころに作った曲で、ピアノ弾き語りの曲で、
使用する和音が基本的に「sus2」でできています。

アンサンブルで楽したいなら12平均律、ブルーノートを使いたいなら31平均律と考えていましたが、今回の状況は…?

ピアノメインなら音律を変えても、微分音の調整に必要なのはピアノのボーカル・コーラスのみなので楽に微分音ができる。
ピアノと曲想に適合した音律を選択しようと思いました。

そして、僕の得意な31平均律は長2度が低く、明らかに向いていません。
それなら「Hardより」な音律を選択すべき、と思いました。

Soft/Hardという音律の傾向は以前ここで、解説しました。
https://note.com/nayuta_823543/n/nf160b216fbe6

かいつまんで話すと、
ダイアトニックスケールで作曲する場合、平均律は12平均律を中心として
2つの方向性がある。
右に行けば5度が広がり、左に行けば狭まる 
というものです。

画像1

ミーントーンは5度を狭めて長3度の純正度を高めるというスタイルで「Soft」にあたり、旋律より和声重視の音律です。

ピタゴラス音律といった完全5度が700¢より広いと、「Hard」にあたります。こちらは逆に和声より旋律重視です。
長3度は高くなりハーモニーは劣ります。

今回はsus2が多い曲なので、長3度の重要度は高くないのでHardで問題なく、
外側に行き過ぎると、微分音としての味が強くなってくるので
上図の12から29の中から選ぶのが目安ですね。

53平均律、41平均律、70平均律、29平均律 あたり。

そして、53平均律はもともと7倍音や11倍音に適してないことは解っていたので、41平均律が選ばれました。

◆41平均律の詳細

そうと決まれば、環境を整えます。
41平均律のすべてのピッチを調べて、記号をどうするかとか、クオリティの名称はどうしようかとか考えますが、
それは31平均律や53平均律の時に考えたものをベースに進めればOKです。

・ピッチ

No Size(¢) Note
0	0.00	C
1	29.27	CΓ
2	58.54	DbL
3	87.80	Db
4	117.07	C#
5	146.34	C#Γ
6	175.61	DL
7	204.88	D
8	234.15	DΓ
9	263.41	EbL
10	292.68	Eb
11	321.95	D#
12	351.22	D#Γ
13	380.49	EL
14	409.76	E
15	439.02	EΓ
16	468.29	FL
17	497.56	F
18	526.83	FΓ
19	556.10	GbL
20	585.37	Gb
21	614.63	F#
22	643.90	F#Γ
23	673.17	GL
24	702.44	G
25	731.71	GΓ
26	760.98	AbL
27	790.24	Ab
28	819.51	G#
29	848.78	G#Γ
30	878.05	AL
31	907.32	A
32	936.59	AΓ
33	965.85	BbL
34	995.12	Bb
35	1024.39	A#
36	1053.66	A#Γ
37	1082.93	BL
38	1112.20	B
39	1141.46	BΓ
40	1170.73	CL
41	1200.00	C

まずは、純正度のチェック
完全5度は702¢、長2度は204¢ 3倍音系はVeryGoodですね。
長3度は409¢ あ~これは高すぎる。でもsus2さえよければよいのでOK
サブメジャー3度(EL)380¢ これは低いですが、使ってもいいかもしれないですね。

サブマイナー7th BbL は965¢ 7倍音はOKですね
長4度 GbL 556¢ 11倍音もOKですね
ただし記号は Fキ に改めておきましょうかね。

つまり41平均律では
1StepはΓ/Lで書き、2Stepはキ/d にしようと思ったわけです。
キ(ジャンプ)が使えるなら、24平均律と同じノリで半々音転調が使えますね。
これは24平均律のインフラ・ウルトラ・ニュートラルが同様に使えることを示しています。使いやすいですね!

・鍵盤モデル

41=7x3 + 5x4 なので白鍵3段、黒鍵4段となりますね。

画像2

黒鍵の段数=♯のStep数となるので
下から3段目が#となり、12音サブセットはこの段を使用します。
D# 321¢ はマイナーとしては高いので、暗いマイナーにするには1Step下げる必要がありますね。
ですが、bIIIやIm/bIIといったユートーナル系の和音をするにはそれがちょうどいいですね。

Hard側なので#とbの鍵盤がスワップしてますね。
Eb<D# ということですが、D#は純正音程6/5と捉えるのが良さそうです。


・インターバル

画像3

インターバルとして押さえておくべきは3度のクオリティ
メジャー・マイナーにそれぞれサブ/スーパーがあります。
サブは「.」スーパーは「'」で表記してます。
スーパーマイナーとサブメジャーの間がニュートラルとなります。

本来は、ディミニッシュやオーグメントについても考えるべきですが
ブルーノート系のアプローチをしないでおこうと思ってるので
深く考えない、としました。

・モスラスケール
スレンドロ音階はおおよそ5平均律ということもあって、このスケールが使えるのかも調べておきたいですね
40平均律では8Stepごとにピッチを選べば、5平均律になりますが、
41平均律でも8Stepごとに選べば、おおよそ5平均律になります。

C基準で考えると、このようになりました。
C DΓ FL G AΓ CL

31平均律でも同様のスケールがありますので、これは覚えておきたいところですね。
sus2やsus4の中にさりげなくインフラ(C DΓ G)・ウルトラ(C FL G)として混ぜると古代神殿を召喚できます(笑)


・12音サブセット

基本の12音として選ばれたのは
KeyCのダイアトニックスケールの7音と、#の5音(C#,D#,F#,G#,A#)です。

ではCmのような♭の音を使いたい場合どうすればいいでしょうか?

厳密には1Step低い音を使用する必要がありますが、
3度や7度の場合気にせず、♭として使用することも可能です。
そのため、#♭を気にしなくてもいいというメリットがありますね。


ただし5度の場合、一カ所だけA#-Fとなる箇所があるのでこれは低い5度となり、ウルフが発生するので注意ですね。
僕も今回の作曲でKeyFを使用するので、トラブりました…。

Pianoteqで以下のような表示になります。

画像4

黒鍵4段あるので、チャンネルは少なくとも4つ必要ですが
対称的にCh2,Ch3を上げ、Ch4,Ch5を下げにするため5チャンネル使いました。
お陰でPianoteq5台になり、DAWは激重になりました。

キャリブレーションはC4を基準として
Ch1 523.25
Ch2 532.17
Ch3 541.24
Ch4 514.47
Ch5 505.85
と設定しています。

実際に音を聞いてみたい方は、Scale Workshopから聞いてみてください。
Sclファイルも置いておきます。

◆所感


12平均律と比べると、ピアノの残響が一気に澄んだ響きになり、
sus2が全然濁らない!やべえってなりました。


そして、これは調子に乗って微分音アルペジオをしてしまったところです。
基本のアルペジオにさりげなく混ぜると幻想的な響きになります。
すこし畏怖を含んだ神秘的な感じ。

画像5

bIIIを使った時やI→VImといった短3度の動きがいつもより明るくきらびやか。やはりHard側の音律はテンションあがるなぁって感じです。

以上!

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