ミステリ小説

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〈変格ミステリ〉は、ジャンルとして成立可能か?

書評:竹本健治編『変格ミステリ傑作選【戦前篇】』(行舟文庫) 「行舟文庫」という聞きなれないレーベルから刊行された、「変格ミステリ」というこれまた聞いたことがありそうでないようなミステリジャンルの傑作選である。 どうして、聞いたことがありそうでないのかというと、「変格」というのは従来「変格探偵小説」という言葉で使われてきたものであり、「変格ミステリ」とは、あまり言われなかったからで、これは「史的用語論」的な問題だと言えるだろう。だが、難しい話ではない。  ○ ○ ○

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宿命的絶対性に抗する道

「人間の歴史が始まって以来、《神》との戦いを続けられてきた。その戦いの歴史があるからこそ、ぼくは今、《神》との戦いを受け継ぐことができるのだ。かつて、あなたがぼくたちに語ったように、《神》と戦おうとする人間は、結局は憤怒と絶望のうちに死んでいくことになるのかもしれない。だが、彼らの憤怒と絶望に意味を持たせるためには、《神》との戦いをあきらめるのではなく、続けていかなければならないのだ……」(山田正紀『神狩り』) 昨年(平成9年)暮れの関ミス連大会のゲストは、清涼院流水だった

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〈カトリック洗礼〉の力 : 清涼院流水の「今」

書評:清涼院流水『どろどろの聖書』(朝日新書) キリスト教関連の新刊書はこまめにチェックしているのだが、そこに「清涼院流水」の名を見つけて、思わず「おお」と小さく声を上げてしまった。 「清涼院流水」と言えば、あの『コズミック』の、あの「JDCシリーズ」の、あの「流水大説」の、あの「脱格系」の始祖たる、あの「清涼院流水」ではないか!(ここで「脱格系」に反応できた人は、かなりのミステリマニアだ) だが、まずは本書『どろどろの聖書』について論評しておこう。 本書のカバーに、

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鏑木蓮『見えない鎖』

 ふとしたきっかけで著者とこの作品を知ることになり、せっかくなので・・・と読み始めました。失礼を承知で打ち明ければ、もしかしたら著名な作家さんかもしれませんが、これまで自分のアンテナにはひっかからず、恐らく今回のような機会がなければ自分から手にとって、というか行き着いたかも怪しい。  さて、中身。殺人事件が起こり、その真相解明を警察ではない主人公たちが解明していくというよくあるパターンではあるのですが。被害者が主人公の身内ということもあり、タイトルからの勝手なイメージで暗い

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2021年度新刊ミステリよかったやつ10作(後編)

 本当は前編を書いた日の午後にでも書こうと思っていたのですが、だり~な~と小説読みながら先延ばしにしていたら1週間経っていて、自分の怠惰さにびっくりしました。超ウケる。前置きをダラダラ続けてもしょうがないので、さっそく続きを書いていきましょうか。 ◆◆◆ 三津田信三『忌名の如き贄るもの』 刀城言耶シリーズの長篇8作目。もうそんなに続いているのか……と謎の感慨がありますね。意味深長極まりない“忌名”の儀礼と、儀式を続ける一家・尼耳家、そして儀礼に纏わる不可解で非現実的な数々

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2021年度新刊ミステリよかったやつ10作(前編)

 1年くらい前にtwitterでこういう放言をしたことがずっと頭の片隅にあり、 まぁ言ったからにはやるか~ってことで今年は例年よりよく新刊を読みました。おれが読む小説の多くはミステリというジャンルにカテゴライズされてることが多いので、今年読んだ新刊もたぶんだいたいがミステリだと思います。せっかくこんだけ新刊読んだんだし、よかったやつについて備忘録がてらに所感をざっと書いておきます。十進数に脳を毒されているのでキリよく10冊ピックして書きます。読んで「ほーん」くらいに思えて貰

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衝撃どんでん返しを体験したいなら『城塚翡翠』を読むべし

皆さんお疲れ様です。 本を1人で読んで発狂したのは初めてでした。 まるで、YouTubeにあがっているリアクション動画のように本を1回閉じて両手を顔にあてるアクションを自然にやってしまった。 それは城塚翡翠の作品です。 以前は第2作の記事を出しました。 実は私は第2作を先に読んで1作をこの前読んだばかりです。 しかし私は当たり前ですが1作から読んでみてほしい。 言いたいことは上記の記事で言ってるように先がまったく予想不能という中で推理をしそれを覆す結果に衝撃を受けるこ

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Amazonからペーパーバックで新刊出しました https://www.amazon.co.jp/dp/B09K1HRJTX?ref_=pe_3052080_397514860

屍人荘の殺人シリーズ!また凄い作品に出会った

皆さんお疲れ様です。 ミステリ小説の感想回になります。 本日紹介するのは、屍人荘の殺人シリーズの3作目 『兇人邸の殺人(今村 昌弘)』です。 屍人荘の殺人ではなんと実写化するほど人気も知名度もある作品ですがその最新作を読みました。 実はその3作目が初めて読んだ作品であり、後から前作を読んでおいた方がいいのか不安になりましたが読んでみると前作を読んでおいた方がいい感じでもなさそうでしたので最後まで読みました。 感想率直に言うと難しい!!!!! 舞台が迷宮のような大きなお

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天邪鬼な森

読書の秋という事で、コンテストが企画されているようです。 読書は私にとって、数少ない趣味の一つです。 課題図書を見てみましたが、これと言って琴線に触れるようなタイトルはなく、その上 読みかけの本があるので今から新たに別の本を読むのも気が進まないので、この企画にそのまま乗るのはやめて、自分のペースを崩さない程度に「何かレビュー的なものを書いてみるか」と思い始めました。 唐突ですが、好きな作家は 森博嗣 です。 この作家の小説は全て読んでいます。エッセイなども多数出ています

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