『アリス殺し』
小林泰三/創元推理文庫(小説)
春ごろから気になっていたミステリ作品。
この著者がSFも書いてる人だと最近知ったり、続編の『クララ殺し』の装画の方が好みで浮気心が芽生えたりしたけど予定通りこちらから読んでみた(アリスの装画も好きです)。
下手なあらすじを書くと、作中のトリックを台無しにしそうで怖いですねえ。
そうかぁ、確かに…ずるい気もするけど、嘘は言ってない!という見事なトリックでした。
帯に〝良くも悪くも心を抉る、賛否両論の問題作〟とあったり、先に読んだ解説で著者の小林さんは猟奇趣味に定評のある方だと分かり、読む前に若干引きました。
良くも悪くもとか、心を抉るとか、賛否両論とか、問題作とか。私はヒネクレ者なのでそう言われると逆に驚いてなんかやらねーよと思ってしまう。
猟奇というのも、注目を集めたいだけではないかと思って眉をひそめる。
王道のベタなハッピーエンドが好きです。
終盤は特にグロテスクで悪趣味で「犯人」も本当に胸くそ悪く、誰かこいつを黙らせてくれと思ったけど、実際そうなったらあまりにも残酷で、いやいやそれはちょっと、と思った。
でも蜥蜴のビルがかわいくて、ビルが出てくるんなら続編も読むしかない。
蜥蜴のビルとバンダースナッチのシーン、イヤだったなぁ。
ところで。
『不思議の国のアリス』というのは人気のモチーフで、原作は読んでないけどアリスは好きという人も多いのじゃないでしょうか。
私もそのクチで、ろくに知りもしないのにしっかり自分のキャラクター化していたことを、ここにご報告させていただきます。
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