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求職リアル‼

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人生何度目かの求職活動。 生活の大半を占める仕事という、生きて行くための居場所探しは、社会に出て働くという現実の難しさと厳しさをまざまざと見せつける。 働くことは生きることなのか…
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#仕事

3月15日

 短期の仕事が決まったところから、一度職場へ来るように言われたので渋々出掛ける。本来の出不精に、コロナが作用して更に拍車がかかり、一度の外出でより多くの用事を済ませようとするケチ根性が定着してしまった。
 今月に入って、何度か携帯に着信があった。留守番メッセージはなく、複数の番号の所在は、全て同じだと調べてわかった。
 ただでさえ携帯を携帯しない。自宅にいれば尚更で、そもそも電話嫌いなのと、電話を

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3月9日

 誕生日の日に電話があった。お祝いの…ではない。仕事の…である。
 待ちに待った誕生日のプレゼント!だとは、思わなかったが、もしかしてプレゼントか?とは思った。しかし心が浮き立つことはなかった。それよりも慌てて言い訳に行ったのだ。何処に?本棚の杓文字に…である。
 なかなか正社員の仕事に就けず、有期雇用で燻っているうえ、当時恐らく就活中だった姉に、ちゃんと正社員として働いている弟が旅先で買ってきた

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1月19日

 在宅中の日中にかかってくる電話に、ろくなものはない。大方セールス。ナンバーディスプレイに表示される、見たことのあるような番号を無視すれば、留守番電話に変わっても、メッセージが録音されることはない。迷惑な電話に対し、居留守を使うことに罪悪感さえ抱かなくなって久しい。
 遅めの昼食中、電話が鳴った。出るかどうかは番号を見てからだが、恐らくいつものセールスだろうと覗き見た表示パネルには、ちょっと知って

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12月17日

 母の離職票が届いたので、ハローワーク行きに便乗した。応募したい求人があったわけではないが、求職者マイページが三ヶ月の利用期間を経て無効になって久しい。有効化してもらうには再度訪れねばならず、それだけのためにわざわさ片道三十分以上かけなければならないのが、時間もガソリンも勿体なく思え、不便さに苛々しながらも放置していたのだった。
 ハローワークは閑古鳥であった。こんなに空いているのを見たことがない

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12月6日

 このところ、求職サイトからのメールが急激に増えている。コロナは第三波が来ているようで、過去最多の感染者を連日記録しているが、就職市場は徐々に活気を取り戻しているのか、新年度に向けて求人数が増えつつあるのか、実際のところ判らない。相変わらず内容が頓珍漢なので、〝これぞ!〟というものは皆無だ。私のどの経歴を見て応募を勧めるのかわからない、謎な職種が目白押しである。
 いよいよ年末の大掃除月間に入り、

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11月9日

 嫌々やったことは大概失敗する。そう自覚したものだから、石橋を叩き捲って結局渡らない…そんな生活になって久しい。決して良い傾向だとは思わないが、無理に渡って上手くいった経験がない。それだけは真実なので、今は自分を信じるしかないと思っている。誰も否定しないのは、それだけ人と関わる機会が減ったからかも知れない。先日、大枚をはたいて大きな買い物をしたことを知った弟が言った。
「血ぃ吐くまで働けよ!」
 

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10月11日

 今月に入って、求職者マイページから求人検索が出来なくなった。保存していた希望条件がクリック出来なくなっている。マイページではなく、トップページからの検索は可能なので、検索自体出来なくはないのだが、複数の希望条件を毎回一から入れ直さなければならず、かなり不便だ。また、気になる求人があってもマイページに保存出来ないので、比較検討しようにも5ケタ+8ケタの求人番号をいちいち控えておいて、その都度入力し

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8月11日

 丸一ヶ月書かずにいたのだと、今初めて知った。書かなかった理由をここに記すのは止めにする。受け入れられないこと、受け入れ切れないこと、受け容れたくないことがずっと心の中に鎮座している。ようやくこのフォルダを開く気になったのは、何度目かの振出しに戻ったせいだ。

 先ず、オンライン面接から二次面接に臨んだ遠方の求人は、見事に撃沈した。想定外のことが多過ぎて、プラスマイナス0になるのだとしたら合格も

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7月11日 ②

 友人おすすめの店で食事する。思っていることを黙っていられない性格なので、こんな機会さえなければ仕事が決まるまで会うつもりがなかったことまで話したが、彼女の方も連絡し辛い雰囲気を察していたようだった。
 会わない間の一年間、私の身の回りではあまりにも不本意なことが続いたため、その話を捲し立てるのに終始。優しい友人はひたすら聞き役に徹してくれた。
 面接経験が一度も無く、実習先にそのまま就職した後、

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7月10日 ②

 犬の調子が悪い。
 食べるのでまとめ買いしたウェットフードも食べなくなった。栄養が足りているのか心配。好きな筈のトマトや納豆、豆腐にもそっぽを向く。スイカはテンションが上がるらしい。昼には米に緑イ貝やゴマを混ぜたお焼きを、夜には豆腐ハンバーグを作ってみたら何とか食べた。
 耳を痒がるので見ると、皮膚の色がグレーになっていた。元々凄く綺麗なピンクだったのに…。黄疸の不安が募る。歯茎もやたらと出血す

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6月28日 ①

 就職氷河期世代を対象とした事務職の公務員試験を受験した。恐ろしい倍率になるであろうことは、去年全国に先駆けて行われた宝塚市のニュースを見たので想像出来たが、何が自分の仕事になるかわからない。何でも経験だと思い、苦手な一般教養試験に臨んだ。
 60問の択一式試験。制限時間は75分である。
 はなから受かる自信などないので、勉強というものは一切せずに行った。案の定、チンプンカンプンで、これのどこが一

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6月20日

 仕事から離れると、人との繋がりが一気に消えた。毎回そうだな…と、その都度気付き、一時は心が病みそうなほどの孤独感に苛まれたが、今回はある程度、覚悟が出来ていた。 
 働いていると、そこに生活が集中する。友達がいたことも、一応自分のデータの中に、何人かでも古い交友関係の記録が残っていることも、私には今、何の意味も持たない。
 世の中の多くの人々は、離れていても連絡ツールを巧みに使いこなして誰かとの

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6月8日 ①

 母の仕事が〝待機〟になっていたため、乗じて早起きせずにおいた。犬の食事介助も時間がずれるため、帰って来てくれなければ動けない。当日を迎えても気乗りしなかったが、面接は午後2時半から。早いうちから用事を済ませれば、平日の気分になり、午後からのローテーションが狂うことがストレスになる。極力何もしないことに反って緊張するが、体力だけでも温存しておかなければ気持ちが萎えそうだった。
 たらたらしていると

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6月7日

 応募を決めたものの、積極的になれない面接を辞退するかどうか、ぎりぎりまで迷う。やれることだけ全部やろうと思い立ち、深夜になってから応募書類を用意。応募の確認が取れていないもう1件に関しても準備し、翌日電話への責務から逃げないようにメモを記す。リストアップしていると、それをひとつひとつクリアしていく達成感を持てる。自分を鼓舞する必要があった。
 ずっと表示される保育関係の求職サイトの広告。待遇の良

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