6月20日

 仕事から離れると、人との繋がりが一気に消えた。毎回そうだな…と、その都度気付き、一時は心が病みそうなほどの孤独感に苛まれたが、今回はある程度、覚悟が出来ていた。 
 働いていると、そこに生活が集中する。友達がいたことも、一応自分のデータの中に、何人かでも古い交友関係の記録が残っていることも、私には今、何の意味も持たない。
 世の中の多くの人々は、離れていても連絡ツールを巧みに使いこなして誰かとの交流を断続的に続けていけるようだと感じる。しかし私はそうではないらしい。深く、強い繋がりを感じていても、生きる環境が変わってしまえば無かったことのように消えてしまう。望んでいなくても、そうなる現実から逃げられないのだと、やはり毎回実感するのだ。
 ちゃんと仕事が決まるまで、私は友達だと思っている人達と、連絡を取らないと決めていた。相手と自分を比べて凹んだり、何かを期待してしまう甘えや、負の感情で振り回すことを避けたいからだったが、そんな気負いも必要なかった。世の中はコロナでそのような状況ではなく、そもそも頻繁に連絡を取り合う相手も、仕事を離れてしまえばいなくなったのである。
 昔からの親友だと思っていた相手も、私以上に忙しい生活を送っていると知って以来、私から連絡することは止めている。トイレに行く暇ぐらいはあるのだから…という気持ちは、とうの昔に消えたくらい、想像以上のタイトさで生きている人。それが嘘であったとしても、誰かの時間を奪って、私との関わりを優先してもらいたいという気持ちが、持てなくなった。人との関わりほど、私にとって難しいことはないらしい。

 

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