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【感想】「STEINS;GATE 0」初見の感想を言うよ

今回は人気アニメランキングで6600を超える作品の中で第21位にランクインしている「STEINS;GATE 0」の初見感想NOTEを書いていくことにしよう。まだ一周したばかりなので見間違っているところがあるかもしれないけれど、とりあえず感じたことを殴り書きしていく。ネタバレがあるので未視聴の人はブラウザバック推奨だ。

0.【募る序の不安】無印の二の舞だけはやめて

数日前に無印(=「STEINS;GATE」)の方の感想を書いた。7話辺りまでの序が後半につなぐための布石にしては冗長で、1.5クールの内容を2クールに伸ばしている感じが不満ではあった。そのせいで、人気度が高い割には普通寄りの好作という印象に留まっている。原作を一つの脚本にまとめあげるのが大変なのかは分からないが、今回はあのような長ったらしい序だけはマジで勘弁して欲しい。

1.【全然始まらない】どうしてそうなった?

制作陣は自分を修行僧にでもしたいのだろうか?間違いなく「STEINS;GATE 0」は無印を超えた。期待ではなく、序の長さが予想を遥かに超えていた。7話を過ぎても序が終わる気配を一向に見せることなく不安はますます募っていく。そして、諦めかけた13話辺りで物語はようやく本格的に動き出したのだった。

面白ければ話数や時間などを気にすることはないのに「一体何話になったら面白くなるんや……」とその時点で集中は完全に切れていて、既に完走することが目標になってしまっていた。たとえ、ラストで劇的な大逆転を演じようとも、振り返れば前半の大量失点にケチがつくような試合を見せられているようだった。

そうなった一つの原因は、無印より登場キャラを増やしたことにありそうだ。キャラの関係性の描写は相変わらず丁寧にはなされていたものの、無印より複雑化した物語の前提知識の習得ともあいまって、序の冗長が更に引き伸ばされた格好となっている。長いにしても、流石に限度というものがあるだろう。

視聴継続を決めるかどうか重要なはじめの数話は遠い過去のこととなり、何も記憶には残ってはいない。それどころか、虚無感が漂う内容のまま前半を突っ走った異常性は「ワンダーエッグ・プライオリティ」を思い起こさせる。自分の感情と感性が死んでいるせいだろうか、序で制作陣の作品に惹きこもうという意思が感じ取れなかったのは本当に残念だった。

2.【情報過多】前後半のペース配分おかしくねぇ?

振り返ってみれば、本作は序の長さに象徴されるように情報量がかなり多く、頭が追いつかない場面が度々あった。何か所か無印と接続するシーンもあったようだが、集中力を欠いた初見でそれに気づけというのはなかなか酷な話だ。

序を無印よりもゆったりと描いてきたにもかかわらず、途中からは不意に駆け足となっていく。これは無印と同じ流れではあるのだが、後半の尺が圧迫されているため前後半のペースが明らかに違っている。少なくとも序が終わる13話辺りまでを7話程度にまとめ、後半に余裕を持たせた方が良かったのではないかと思った(絶対その描写が必要なら仕方ないわけだが……思い入れのあるガチな人はどう思っているのだろう?)。

3.【まるで葬式】岡部、立ち直るまで長すぎ問題

無印、そして「STEINS;GATE 0」を通じて人間・紅莉栖を失った物語は葬式のような雰囲気を終始纏っていた。紅莉栖を殺したも同然だと数ヶ月引きずっている岡部のボロボロな心はAMADEUS・紅莉栖を簡単に求めてしまう。

立ち直れずにいる岡部は一時的にこそ何かしらの決意はするのだが、いざという時に優柔不断になり、終いには顔面崩壊を度々炸裂させた。この気持ちは分からないわけではないが、繰り返し見ていると「もうえぇやろ」と思えてくる。こんな風にして無印のダブル主人公2人が空気になることは、物語の駆動力がなくなることを意味する。キャラ数を増やした理由はどうやらここにあるみたいだ。

4.【代打の神様】比屋定さん、気の毒すぎねぇ?

一番気の毒だったのは精神的支柱である紅莉栖の代打を務めた比屋定さんだろう。その理由を今思いつくだけでも列挙してみたい。

天才栖依存に対して研究者として劣等感に苛まれる才女比屋定さん
科学研究者のキャリアを捨てて未来までラボメンに付き合う比屋定さん
AMADEUS・紅莉栖のせいで岡部から蚊帳の外になる比屋定さん
レスキネン教授に結果的に良いように利用されてしまった比屋定さん
専門外の電話レンジ(仮)を作り直す無茶を振られる比屋定さん
ラボ内外でサービスシーンを制作陣に強要される比屋定さん
……

作品を成り立たせ、盛り上げた功労者には違いないのに、それほど深く掘り下げられず、最後までキャラとして報われるシーンが余り描かれなかったことが心に残った。「困ったら比屋定さん」という感じで都合の良いキャラとして使われたことに対して、何かしら手心を加えて欲しかったと思った。

【個人的短評】全体的に暗く、じれったいから覚悟して

無印の方(「STEINS;GATE」)を見てからでないと意味が分からないので、まずはそれを見てから視聴した方が良い。無印でもそうだったのだが、人気の高さを象徴するような内容なのに、物語構成でかなり損な見せ方になっているように自分は感じた。

勝手な事を言わせてもらうと、無印より複雑化した物語を描くため、前半1クールを7話程度でまとめれば後半の尺が確保できて全体的にスッキリした内容になる気がする。初見の人の気持ちとしては、前半の長い序が尾を引いてラストの感動や涙を零す体力や余裕が残らなかったので、手放しでは人様におススメしづらい作品だと思う。

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