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福祉の仕事

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仕事中に気づいた発見や喜びを書いています。
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#リーダー

あなたの名前をあと何度呼べるだろう

あなたの名前をあと何度呼べるだろう

リーダーの退職を知った土曜日。

土日と何をしても涙が止まらず、月曜日に仕事に行くのが怖かった。
リーダーに会うのが怖かった。
休みの日は別れの歌ばかり聴いて過ごした。
ご飯はろくに食べられない。夜は眠れない。

もう知らなかった頃には戻れない。

あんなにリーダーが好きで、会うのが楽しみだったのに、今一番会いたくない人になってしまった。

 
仕事に行く途中も涙が出た。
朝、既に仕事をしていたリ

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リーダーの夢が叶う頃

リーダーの夢が叶う頃

それは、三週連続の行事を終えた次の日だった。

その日は週6勤務の最終日で
会議の日だった。
職員みんなが集まる日だ。

朝から晴れているが、冬らしい寒さの日だった。

 
会議では最後に来年度からの予定の話になり
上が理想的な話をして
そんな風に事が運べばそりゃ理想だよなぁと思い
話す気が失せ
多分他の人もそうだったのか
みんな下を向き、余計なことは何も言わなかった。
 
 
上が決めたことは絶

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バレンタインデー次の日

バレンタインデー次の日

リーダーはご家族が体調不良の関係で
周りに移さないように事務室で書類仕事や一人で外で行う仕事をする日々が続いていた。

更にバレンタインデーとその前の日は子どもの面倒を見るためと休みをとった。
バレンタインデー当日にリーダーに会えないのは寂しい。

 
2月15日、私が出勤すると
翌日の金曜日、ボランティアの音楽の先生が来られず
音楽教室の予定が中止になったと上から言われた。

 
それはたびたび

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頼られて嬉しかった日

頼られて嬉しかった日

仕事中、リーダーに声をかけられた。
とある仕事の相談だった。

  
今私やみんなの仕事の負担が大きいし
効率化をはかるためにこんな風に書類作成ややり方を変えていきたいという相談だった。

 
私は私なりの考えを述べた上で
自分にとっては負担になっていないが
リーダーの負担が大きくなっているのが心配だと伝えた。

毎日朝早く来て遅くまで仕事していて
リーダーの仕事が増えていく一方なのが心配だと言っ

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劇の台本

劇の台本

〇日前の話。

リーダー「ねぇ、見せて。」

私「いや、恥ずかしいです。まだダメです。」

リーダー「えぇっなんで見せてくれないの(笑)俺には見せてよ。」

 
 
その次の日。

リーダー「ねぇ、今日は見せて。」

私「いや、まだ見せられる段階じゃないです。恥ずかしい…。まだダメです。」

リーダー「えぇっなんで見せてくれないの(笑)」

顔を覗きながらリーダーは言う。
その真っ直ぐな眼差しが恥

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おいしいコーヒーの入れ方

おいしいコーヒーの入れ方

ある日の夕方
リーダーから「コーヒー飲みますか?入れますよ。」
と言われた。

 
「お願いします。」と私は言った。その提案に驚いた。

 
コロナ禍になり
私の職場はコーヒーやお茶をいれないし、飲まないからだ。

 
前の職場は私がお茶やコーヒーを入れることがよくあり
どのコップが誰のか、誰がブラックか砂糖を入れるかを把握したものだが
転職してからは覚える必要がなかった。

 
「仕事が終わった

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同じ話を伝えた時の反応の違い

同じ話を伝えた時の反応の違い

ポスティング作業をする前日
配るチラシを重ねて折って
ポストに入れやすくする。

量はたくさんあり
それは一日かかる。

 
その日の作業中
それまで真面目にやっていたある利用者が
片っ端からグシャグシャにしたり、破りだした。

以前も一度だけあったが
今回は破る量が多い。

 
私はリーダーに言おうとしたが
リーダーは外出中だったので
新施設長に事情を説明した。

「それで、その利用者は仕事の意

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早退希望時間五分前

早退希望時間五分前

その日、私は午後早退の予定だった。

 
区切りよく午前いっぱいで早退の届けを出したが
実際は急ぎではなく
12:30に施設を出れば十分なくらいだった。

 
実際
早退や遅刻というのは大抵余裕をもたせて時間を申告するものだ。
ピッタリに上がれる保障もピッタリに着く保障もないのだから。

それに大抵は押すものだ。
昼食時は特にバタバタする。

 
その日
私は食事支援担当だった。

だから最初から

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それは恋に似ている

それは恋に似ている

夕方、一人で仕事をしていると
リーダーがやってきた。

 
「お願いがあるんですけど、給料計算確認してもらえますか?代わりに、今真咲さんがやっている仕事、俺がやりますから。」

そう言われた。
給料計算は基本、二人でやらなければいけない。

 
私は私でこう言った。

「代わりに、私もお願いしていいですか?印刷機やパソコンの設定が直せなくて。」

 
リーダーがまだ送迎に行っている間
私はそれで四

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今年一番大きなイベントで販売した日

今年一番大きなイベントで販売した日

いよいよこの日が来た、と思った。

今までで一番大きなイベントでの販売。

 
事前に二時間に及ぶ説明会に参加した際
資料は30ページ以上に及んた。
それからも資料はメールや郵送で送られてきたり
変更点があったりで
最終的には資料は50ページ以上に及んだと思う。

 
会場の下見にはまず新施設長が行き、別日に私と事務長が行った。

 
二転三転する話や担当者の素っ気ない対応や新施設長からの要望

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いつもいつも、そこにはリーダーがいた

いつもいつも、そこにはリーダーがいた

助けてほしい。
分かってほしい。
手伝ってほしい。

そう思っても
なかなか一言が言えない。
言いたい時に 
相手がそばにいない時もある。

 
やるしかない。
そう思って頑張ることばかりで
そんな時に上手くいかなくて
凹んだり、自信が持てないことがある。

 
そんな時は大抵
そばにリーダーがいない。
リーダーが休みだったりする。

 
逆に言えば
リーダーがそばにいると
ほぼ必ず気づいてくれる

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仕事で“初めて”のことを学ぶ

仕事で“初めて”のことを学ぶ

私の施設ではポスティング作業を行っている。

 
どの利用者とも行ったことがあるが
配るエリアの中でたった一箇所だけ
私は行ったことがなかった。

 
それが、月に二回、リーダーが担当するエリアである。

 
地図からして難易度が高いし
一緒に行く利用者も多動の方とマイペースな方なので
私は最強エリアだと思っていた。

 
だからいきなり、「今日俺と一緒に回って覚えてもらえますか?」とリーダーから

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鍵の特訓と販売

鍵の特訓と販売

私の職場は鍵が閉めにくい。
鍵を持つ同僚がよく施錠で苦戦するのを
この一年半ずっと見てきた。

 
鍵を持つ同僚は何人かいて
だから新人の私に
鍵を渡そうという動きにはならなかった。

ところが、だ。
ある土曜日、私はイベント販売の仕事になった。
私と共に販売になる職員も鍵は持っていなかった。

 
ついに、鍵の開け閉めを行わなければいけない日がやってきた。

 
だが、私は呑気だった。

その同

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狭い場所でのバッグ駐車が苦手

狭い場所でのバッグ駐車が苦手

私は仕事である場所に駐車ができない。

 
狭い上にバッグ駐車をしなければいけないからだ。

 
私はバッグ駐車が苦手である。

入職前から恐怖感を感じていたし
入職してからも恐怖感を感じていて
いつもその手前に停めて
誰かに停車してもらっていた。

 
駐車場に停車されている送迎車を
そこから出すだけでも精一杯だ。
一歩間違えば柱にぶつかる。

 
私は面接時からあそこのバッグ駐車はできないと言

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