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劇の台本

〇日前の話。

リーダー「ねぇ、見せて。」

私「いや、恥ずかしいです。まだダメです。」

リーダー「えぇっなんで見せてくれないの(笑)俺には見せてよ。」

 
 
その次の日。

リーダー「ねぇ、今日は見せて。」

私「いや、まだ見せられる段階じゃないです。恥ずかしい…。まだダメです。」

リーダー「えぇっなんで見せてくれないの(笑)」

顔を覗きながらリーダーは言う。
その真っ直ぐな眼差しが恥ずかしくて私は目をそらす。

 
気持ちがバレそうで怖い、いやもうバレているのか。

恥ずかしくて見せられない。
リーダーはきっと全てを受け入れてくれるだろうし
笑ったり、バカにはしないだろうけど
まだ覚悟と勇気と自信がない。

 
今年のクリスマス会の出し物で
私は劇責任者になった。

リーダーが毎年台本を書いているわけだが
今年は私が書くように言われた。

 
利用者の無茶ぶりや職員からの意見に私は頭を抱えつつ書き出した。

小学生の頃、劇二つの台本を書いたことがあるが
どちらもテーマが決まっていたし
5分くらいだった。

 
仕事として台本を書くのは初めてで
途中まで書いたところで同僚から言われたり
私自身も煮詰まり
リーダーに相談した。

リーダーは快く相談にのってくれ
具体的にアドバイスをしてくれたし
YouTubeの〇〇の動画が参考になると教えてくれた。

 
「でもいいの?真咲さんが書きたい話があったんじゃないの?」

リーダーは優しい。
こうしてすぐに私の気持ちに気づいてくれる。
嬉しい。

 
だけど
パートで力のある同僚から書きかけの台本についてあれこれ言ってきた以上
私は書きかえるしかない。

新人の正職員なんて
ベテランで権力者と仲の良いパートには勝てない。

「じゃあアンタが書けば?」

なんて思っても言えない。

 
リーダーに台本について相談してから
リーダーは小まめに様子を聞いてくれた。

私がちゃんと書けるか心配なのだろう。

 
だけどまだ見せられない。

自分でやれるところまでやってからじゃないと見せるわけにはいかない。

12月は忙しくなる。

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