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早退希望時間五分前

その日、私は午後早退の予定だった。

 
区切りよく午前いっぱいで早退の届けを出したが
実際は急ぎではなく
12:30に施設を出れば十分なくらいだった。

 
実際
早退や遅刻というのは大抵余裕をもたせて時間を申告するものだ。
ピッタリに上がれる保障もピッタリに着く保障もないのだから。

それに大抵は押すものだ。
昼食時は特にバタバタする。

 
その日
私は食事支援担当だった。

だから最初から時間通りに上がれるなんて期待していない。
その利用者は早食いではないことを
私はよく知っていたから。

 
私が早退を希望をした時間の五分前
リーダーがやってきた。

「真咲さん、早退の時間でしょう?食事支援、変わりますから。」

「でも…。」

「届け出したんでしょ?大丈夫ですよ。」

「じゃあ…お言葉に甘えて。」

リーダーは、こういう人だ。

私が時間通りに帰れるように
サッサと食べて
サッサと他の仕事を片付けて
私を手伝ってくれたのだ。

 
おかげで私は
予想していたより早く
施設を出ることができた。

 
そもそもその日はリーダーの計らいのおかげで
午前中は随分楽な仕事だった。

利用者一人を迎えに行って
一人でお弁当屋さんに行き
そのまま施設外で働いている利用者や職員にお弁当を届けるという
私からしたら気楽な仕事だった。

時間もかなり余裕をもたせてあった。
私が時間通りに早退できるように手配してくれたのだろう。

 
つくづく、リーダーはそういう人なのだ。

 
今日私がお昼をたくさん残したのも唯一気づいて心配してくれたのも嬉しかった。
実は薬の副作用で今日は胃の調子がいまいちだったのだ。
 
口にしない私の気持ちにこんなにも気づいているのなら
私のリーダーへの特別な思いも
とっくにバレバレなのかもしれないね。 
 
 
 
今週も今日で仕事は終わり。
あと一日頑張ろう。

では、いってきます。

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