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2022年7月の記事一覧

謝るなら、いつでもおいで/川名荘志

謝るなら、いつでもおいで/川名荘志

ニュースで佐世保小六女児同級生殺害事件を知った時
私は大学生だった。

 
酒鬼薔薇事件で犯人が中学生で、被害者が小学生だった時も驚いたが
今度は加害者も被害者も小学生で
しかも犯行現場は小学校、日中での出来事と知り
私は更に驚いた。

 
当時、連日報道され
新聞もテレビも佐世保小六女児同級生殺害事件についてこぞって取り上げた。

 
後に
被害者が
友達がたくさんいる人で明るく活発であり
加害

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アンネの日記/アンネ・フランク

アンネの日記/アンネ・フランク

以前、テレビでアンネやナチスについて特集をしていたのをきっかけに本を購入した。

先に漫画版を読んだ。涙が止まらない。さて、漫画の次はいよいよ本だ…と思ったが
私は購入したもののしばらく手を出さなかった。

 
まず第一に、私はオチを知っている。

いつか戦争が終わったら…と夢見ている少女が、あと一ヶ月生き延びれば連合軍が助けに来るところで亡くなったのを知っている。

 
第二に、ネタバレで文庫版

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淳/土師守

淳/土師守

被害者関係本でも、彩花ちゃんの本から受ける印象とは大きく異なる。

 
彩花ちゃんの本は「それでも前を向き、受け入れて人間らしく生きていこう。」そんな印象だとしたら
淳君の本は静かなる激しい怒りが満ちあふれている。

 
確かに息子をあんな殺され方をされ(ウィキペディアで見ると相当にグロくてひどい)
あんなさらされ方をされ
知人で、顔見知りでもある少年Aが犯人で
交流があった少年A母の言動を考える

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彩花へ「生きる力」をありがとう・他/山下京子

彩花へ「生きる力」をありがとう・他/山下京子

号泣。
涙なくして読めない。

 
神戸連続児童殺傷事件関連本の中で一番おすすめで、たくさんの人に読んでもらいたいのはこの本です。

 
彩花ちゃんがどんなに家族に愛されて生まれたか、育ってきたか
そのエピソードだけで涙が止まりません。
もうすぐ殺されてしまう……
それを知っているからなお
一つ一つのささやかな思い出の美しさや尊さが切ない。

 
驚いたことに、家族全員、彩花ちゃんが亡くなる少し前

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「少年A」この子を生んで 父と母悔恨の手記/「少年A」の父母

「少年A」この子を生んで 父と母悔恨の手記/「少年A」の父母

両親は少年Aの兆候に気づいていなかったようだが、いくらなんでも鈍すぎるだろうと思う。

 
未成年でタバコを吸うわお酒を飲むわナイフや斧は自宅から見つかるわ
同級生の靴を燃やすわ自転車タイヤを壊すわ
万引きするわ
脳味噌にカッター刃を突き立てる作品を「授業中」に作るわ……
おいおい、これで普通の子?親は子を信じてる?
いやいや、それはおかしいって。

 
確かにここまで問題行動が非道くなってから、

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絶歌 神戸連続殺傷事件/元少年A

絶歌 神戸連続殺傷事件/元少年A

まずビックリしたのは小説チックな文体。やたら比喩表現、引用がある。
遺族を無視した出版の件でも賛否両論だが
この文体がまた好き嫌いを分けるに違いない。
個人的には読みにくいがまぁ読むのをやめるまではいかない、文章が上手いといえば上手いと思った。

 
一部は生まれてから、事件を起こし、医療少年院に行くまでの話。

二部は少年院を出てから、今に至るまでの話。

 
時折グロい表現が出てくる。
事件詳

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はるはる日記-はるちゃんとオモロい仲間たち-/戸原一男

はるはる日記-はるちゃんとオモロい仲間たち-/戸原一男

この本は知的障害者(自閉症)のエピソードを主として描かれている本だ。

障害者福祉施設の利用者の方のエピソードが全国から寄せられ
それを元に書かれた
エッセイ集に近い(名前は仮名である)。

 
見開きで
右ページが漫画
左ページがその補足といった形式になっている。

 
1エピソードに対し
2ページしか描かれていないので(漫画1ページ、補足1ページ)
サクサク読みやすいし
様々な事例に触れること

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明日をひらく言葉/やなせたかし

明日をひらく言葉/やなせたかし

「生きているからかなしいんだ」

小さい頃、“てのひらを太陽に”のこの歌詞にドキッとした。
童謡でこんな風にズバッと“悲しい”と表現している歌は珍しい。
まして曲調は歌いやすく明るいのに。

 
アンパンマンの歌にしても同様だ。
「何のために生まれて 何をして喜ぶ
分からないまま終わる そんなのはいやだ」
曲調は明るいのに、やはりストレートなメッセージが含まれている。

 
私がやなせたかしに興味

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「山奥ニート」やってます/石井あらた

「山奥ニート」やってます/石井あらた

以前、テレビ「世界一受けたい授業」でやっていて、本を購入。

 
和歌山県の限界集落(高齢者5人しか住んでいない)にある廃校に、全国から集まったニートの人が現在男女合わせて15人暮らしているらしい。
 
 
・その廃校は最寄り駅から車で二時間。
・個室があり、リビングもある。 
・ネットもできる。
・生活費としておさめるのは、18000円。
・家賃は0円。
・保険料や年金等は各自負担。
・共用で使

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言えないコトバ/益田ミリ

言えないコトバ/益田ミリ

「口に出しているコトバよりも、あえて口に出していないコトバのほうが、その人物を知ることができるんじゃないだろうか?」

 
この一文からこのエッセイは始まる。
まさに言い得て妙。
意味合いは知っている、だけどあえて使わない。
この本は益田ミリさんのそんな言葉と使わない理由が何気ない日常と共に描かれている。

 
とても読みやすく
共感できたり、そんなとらえ方もあるんだなぁ!と新しい物の見方を教わっ

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語彙力こそが教養である/齋藤孝

語彙力こそが教養である/齋藤孝

語彙力という言葉を意識したのは高校生の時。
文章や詞にセンスを感じる人は
文章を書くことが大好きだった私にとって
いつでも憧れであり
語彙力を上げることは
いつまでも私の目標である。

 
著者の斉藤さんは素読(声に出して文章を読む)を推している。
確かに私も文章を書いた後に心の中で読み返し
歯切れがいいか
長すぎるわかりにくい文章になっていないか推敲する。

 
心惹かれる文章とは声に出したくな

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夫のちんぽが入らない/こだま

夫のちんぽが入らない/こだま

他の人との性行為は上手くいくのに、旦那さんとの性行為のみ上手くいかない女性のエッセイ本である。

 
タイトルから下ネタを連想してしまうかもしれないが、下ネタがメインの内容ではない。

 
こだまさんは母親から罵られたり叩かれたりして生きてきて
田舎過ぎて学校での閉鎖的な人間関係も上手くいかず
大学進学を機に一人暮らしを始める。

その際、同じアパートに住んでいたのが旦那さんで
お互いに短期間で惹

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2分間ミステリ/ドナルド・J・ソボル

2分間ミステリ/ドナルド・J・ソボル

うさぎやTSUTAYAに行った際
「うさぎや大賞」と書かれたポップの棚で
ある本が大々的に売られていた。

 
その本は「2分間ミステリ」

 
本のタイトルよりむしろ
赤い帯に書かれた“2ページのミステリ”という文字に惹かれた。

私はミステリが好きなのだ。

 
 
この本は71篇の2ページ短編ミステリが載っているが
主人公は全てハレジアン博士である。

同じ登場人物が何度も出てくるので
短編

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