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菅政権「2050年カーボンゼロ」とは?~コンセプトと今後の課題~

こんにちは!
就活アドバイザーで総合商社3年目のYasuです。

今回は、ニュースの解説記事です。

少し古い話ですが、皆さんは昨年10月に菅政権が発表した
「2050年カーボンゼロ」
のコンセプトを理解していますでしょうか?

欧州から始まった脱炭素の潮流が日本にも確実にやってきています。
「安く発電できれば良し」
という考え方は通用せず、環境に負荷をかけずにエネルギーを清算するかが争点になりましたね。

今回は知ってそうで知らない、日本の脱炭素に向けた目標「カーボンゼロ」の意義や今後の課題について書こうと思います。

「サステナビリティ」、「SDGs」、「ESG」等に興味のある方は、ぜひ最後まで読んでいただければ嬉しいです。

筆者ってどんな人?
2019年卒で、総合商社にて勤務しております。
趣味:読書とスポーツ全般
出身大学:MARCHレベル
就活時は幅広く業界を見ており、40社にエントリー。面接も70回以上受け、結果的に外資金融、外資コンサル、大手食品メーカー、広告代理店を含む6社から内定をいただきました。
noteでは、就活のコツや総合商社業界に関する記事を中心に書いています。
学歴で諦めない、攻めの姿勢の就活を応援します!
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菅政権が進める2050年カーボンゼロとは?

日本がエネルギー転換を真剣に考えるようになったきっかけは
2020年10月26日の菅首相 所信表明演説。
注目されたのは以下の内容でした。

「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」

現場にいた沢山の政治家が拍手し、賞賛を送りました。

皆さんは「カーボンニュートラル」の意味をご存知でしょうか?

カーボン=炭素(二酸化炭素)
ニュートラル=中立


つまり、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出量を”全体として”ゼロにするという目標です。

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ポイントとしては全体としてゼロというところ。
CO2の排出量自体をゼロにするのが理想です。
しかし、それは再生可能エネルギーの導入を100%にしないといけないですし、かなり困難な目標になります。

全体としてゼロというのは、
CO2排出量≦CO2吸収量
にするということです。

日本には沢山の植林地がありますよね。北海道とか多いイメージです。
そうした森林が光合成によって吸収するCO2量を上回らない範囲で
CO2の排出量をコントロールするという目標ですね。

光合成の他にも、最新技術を用いてCO2を地中に貯留する技術も出てきていて、吸収サイドの解決策も増えています。

2018年時点で、日本は約12.4億トンのCO2を排出していますので、これを実質ゼロにするというのは、かなりハードルが高いです。
(参考:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_neutral_01.html

そこで、以下2つの早急な推進が求められているのです。

・石炭火力など環境へのプレッシャーが大きいエネルギーから再生可能エネルギーへの転換
・植林地の拡大、CO2貯留等による吸収キャパの向上

なんでカーボンゼロを目指すの?

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ここまでして、なぜ日本は本気でカーボンゼロを目指すのでしょうか。
私が考える理由は3つあります。

①世界と足並みを揃えるため。

ヨーロッパを中心とした国々は脱炭素にかなり前から取り組んでおり、アメリカもバイデン政権になってから考慮するようになってきました。
この潮流を無視して石炭火力発電をバンバン進めたら、世界経済から敬遠されてしまう可能性が高いです。
経済的な制裁や、関税を上げるなどの報復処置も可能性としてありますよね。
国として無視できないトレンドなのです。

2つ目は企業価値の維持・向上のため。
皆さんはESG投資という言葉を知っていますでしょうか。
簡単に言うと、
「環境に良いことをしている会社への投資」のことです。

ESG投資額は世界で年々増えています。
ということは、「環境価値」を投資判断に組み込む投資家がどんどん増えているということです。

日本は生産人口の減少が深刻で、企業が今後時価総額を上げていくには間違いなく、海外の投資家を惹きつける必要があります。

ESG投資の条件を満たすことが出来ない会社は衰退してしまいます。
国や政治レベルではなく、会社のレベルでも無視できないトレンドなのです。

3つ目はビジネスチャンスを失わないため
何回も例に出してしまっていますが、三菱商事がベトナムで進めていた「ブンアン2」という石炭火力の案件は、海外の投資家から批判を受けて、クローズ。

海外だけではなく国内でも、丸紅が秋田で検討していた石炭火力のプロジェクトが廃止となりました。

今後も環境に悪いビジネスは関係者から批判を受けるため、持続可能性が低いです。
持続的な発展のためには環境的価値と経済的価値の同時実現が重視されており、そのマイルストーンとしてカーボンゼロが大事なのです。

カーボンゼロ実現の課題

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私の総合商社ニュースマガジンでも書いていますが、
再エネ事業の一番の課題は、「高コスト体質」です。

石炭火力が支持されていた一番大きな理由として、安価に発電できる点がありました。

それに比べて再エネは異常な導入コストがかかります。
例えば風力発電を想像してみて下さい。
風車を立てるメーカーが限られているため、高いコストが要求されます。
やっとの思いでメーカーを探しても、その後関係者の説得や国との契約条件の整理など時間もかかります。
運営した後でもメンテナンスは必要ですし、運営コストも従来のエネルギーと比べて高くつきます。
最近注目される水素エネルギーも同様ですね。。。

こうしたハードルを突破するために、国が補助金を用意するand国への申請を簡素化して事業者の負担を減らすことが重要になってきます。

あとは、風車・太陽光パネル・プラントメーカーが国内で増えて価格競争が起こり、安くなってくれると良いですね。

利益が出る見込みが高くないと企業も再エネ分野に興味を持たないのではないでしょうか。

まとめ

今回は、昨年10月に発表された菅首相の「カーボンゼロ」というコンセプトを説明してみました。
大雑把に理解できましたでしょうか?

CO2の排出量=CO2排出量にするという一見単純な目標ですが、
今まで排出量が多かった日本からすると難しいです。


しかし、時間がかかっても今後世界経済でのプレゼンスを維持するために絶対必要なことだと私は思います。

日本ではまだまだ黎明期である再エネですが、コスト面が解決されて、導入率が上がると良いですね。

本日はここまでにします。

普段は就活対策や総合商社のニュースを書いていますので、興味のある方はぜひチェックしてみて下さい。

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