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捨て石は、青く輝く

捨て石は、青く輝く

私は沖縄戦で米軍が上陸した村で生まれ、
数年前に引っ越したのは普天間基地のすぐ近く。

これを偶然と思えず
なにか使命を与えられている気がして、
博物館へはよく沖縄戦関連の資料を見に行ったりしていた。
琉球王国の華やかな装飾品から一転、日用品がたちまち色味の無い軍払い下げのブリキ製品に変わるのがいつ見ても衝撃的だ。

そんな中、noteの『読書の秋2021』企画で
《敗軍の名将 インパール・沖縄・

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ムーミン谷の彗星*・*スナフキン初登場回*・*

ムーミン谷の彗星*・*スナフキン初登場回*・*

ムーミンとの"再会"

ムーミンは可愛らしい見た目から
好感を持っていましたが、ムーミンの性格や
物語には触れたことがありませんでした。

幼い頃から知っていたムーミンを、
改めて知りたいと思ったきっかけは
墓場のラジオというPodcastです。

ムーミンの作者トーベ・ヤンソンの半生を描いた
映画『TOVE』について話している回でした。

トーベ・ヤンソンの人柄を知り、
彼女が生み出したムーミン

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朱夏から白秋へ③

朱夏から白秋へ③

幻冬舎さまから頂いた書籍
『中国経済の属国ニッポン』を
解説している記事、今回が最終章です。

前回の記事はこちら

米中貿易戦争国際交渉において大事なことは、
持っているカードを使い切らないことです。

オバマ政権までの米国は、
中国に対して「貿易」「通貨」のふたつを
ある時はエサ、または「脅し」として使い、
チベットや香港の人権問題に絡める形で
交渉を進めてきました。

カードを使うのか、使わ

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朱夏から白秋へ②

朱夏から白秋へ②

前回に引き続き、幻冬舎さまから頂いた
『中国経済の属国ニッポン』を
解説していきたいと思います。

前回の記事はこちら

現在の『世界のお客さま』はアメリカで、
消費者の需要を満たすべく
中国から大量の製品を輸入します。
お客さまに買ってもらう為に、
自然と商品はアメリカ寄りになります。

そして言い換えると、輸出ができるということは
その国の企業が国内需要以上に、
生産能力を抱えているということ

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朱夏から白秋へ①

朱夏から白秋へ①

今回は読書の秋2021で、幻冬舎さまから頂いた
『中国経済の属国ニッポン』
を解説していこうと思います。

内需主導型経済へ皆さまもご存じのとおり、
2020年以降から世界の動きは変わりました。
中国もまた、旺盛な消費意欲をネット通販で発散させることで、内需主導の経済にシフトしつつあります。

アメリカの感謝祭に似た『独身の日』

中国では毎年11月11日は『独身の日』(光棍節)
とよばれ、ネット

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方丈記に嫉妬して

方丈記に嫉妬して

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず

誰もが一度は聞いたことがあるであろうこの一節。
私はこの美しい文章が好きで
何度もここを目指し言葉の旅を重ね、
未だ辿り着けない鴨長明『方丈記』に嫉妬している。

鴨長明が生きた時代鴨長明は、平安末期から鎌倉前期の人物である。
彼は40歳を迎えるまでに
『世の不思議を見る事、ややたびたびになりぬ』と綴っている。

『世の不思議』を時系列で紹介する

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私と夜と霧

私と夜と霧

私は悩む。
自分だけが考えても仕方がない仕事のこと、
一人暮らし3年目に突入しても効率よくできない家事。

考えを巡らせるだけで、
なかなか体を動かさない。
そんな私は自分自身を嫌いになろうとしていた。

しかし『悩むこと』は心の持ちようで
ポジティブなものになるのだと知った。

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そして城は語り続ける

そして城は語り続ける

今回も幻冬舎『城郭考古学の冒険』から、
城が伝える歴史のストーリーを紹介したいと思う。

まず“日本のお城”と聴いて真っ先に想像する
石垣や堀に囲まれ、本丸に天守が高くそびえる姿は、
信長、秀吉の時代に確立されたものである。

これらを織豊系城郭と呼ぶ。
それ以前の城となにが異なっていたのかを見ることで、歴史が見えてくる。

信長がめざした社会

信長が生まれたとされる勝幡城、愛知県の清洲城などは

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城のことばを聴いている

城のことばを聴いている

私は城が好きだ。
そんな私を皆が不思議そうに見る。

かっこいいから、歴史が好きだから。
理由はいくらでも作って答えられるが正直、私にはどれもあてはまらなかった。
好きな理由をずっと探していた。

今回、幻冬舎の『城郭考古学の冒険』の力を借りて、その疑問を解決していこうと思う。

城を感じる

私は沖縄に住んでいるので
城といえばこのような座喜味城跡、勝連城跡のような石垣を想像する。

どの城でも

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