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掌編小説、随筆

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掌編小説と随筆をまとめています。
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記事一覧

燃ゆる螢

燃ゆる螢

 時は芒種。腐草為螢の侯の黄昏時。入梅を迎え、空気中に浮かんだ水分が肌をしっとりと潤す。水色の四葩は梅雨の青空となりえるか? と彼は自らに問いかけてみる。そうなりえたら嬉しいだろな、と心で思いながら、早苗田の畦道を行く。梅雨明りを待たずに進む曇天の道も悪くはない。要はどうやって楽しむかによるのだ。
 大きくなった青梅は、誰にも採られることなく地に落ちて、黄色く熟して果てに腐れていく。いや、最近誰か

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決意表明

決意表明

 右腕を切り落としたい思いでこれを書いています。もはや小説を読まなくなった烏合之衆に何を与えれば鳴いてくれますか。行間の空いたライトノベルですか。ためになる自己啓発本ですか。肩書きですか。知名度ですか。それ以外にあるのなら応えてください。
 僕は小説を書きます。書き続けます。もう境地に立ちました。皆から読まれなくても書きます。日記のように書きます。決めました、もう、決めました。
 評価なんて幻想で

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小説らしいとは

「行間の空いている小説、あれはライトノベルでいいんですか?」

 行間を空けて読者に読みやすくしている小説を見かけることがある。それらを見る度に私は、これはライトノベルか否かを考えるのである。そもそも一般的な小説とライトノベルは別物なのかも分からない次第である。しかし、ライトノベルにも色々ある。昔、カルロ・ゼン作の『少女戦記』を読んだことがある。外見は俗に言う鈍器本だが、それもラノベだと聞く。しか

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生き切るという癌

生き切るという癌

 物事には終わりがあり、さらに始まりがあるもので、それらを繋げて環が出来上がり、永遠が続くということもあるようです。

 僕の最近の調子、要するに身体のことの話になるのですが、頗る悪しでございます。一昨日、一昨昨日でございましょうか、夜、枕衾に酖る時間に、急に胸だか心臓だかが痛く苦しくなってきまして、僕はこれを、この痛みを癌から来るものなのだなと直ぐに思いました。こう思うのも理由がありまして、僕の

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散り散りの自分

散り散りの自分

 僕は「散り散り」だ。
 あれを考え、これを考え、色々考え、いっぱい考え、しかし、どこにも収まらない。本棚から出した本たちが片付けられずに積まれて置かれている。これが、僕の生活だ。僕自身だ。

 僕は努力をやめた。自分の力を見たくなくて、努力をして、頑張って、それでも何も出来なかったらどうしようと不安になって、だから、やめたんだ。

 きっと、最近になって始めたことも、なあなあになって終わるだろう

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瞑想中の閃きメモ

瞑想中の閃きメモ

 この記事は瞑想中に起こった閃きをメモする場所です。閃きが起こったらどんどん追記していきます。

 今日の瞑想中、「人の脳は主語を認識しない」という言葉が出てきたので、試しに「私は在る」「私は神である」を「今ここに在る」「今ここに神である」と変えて、何度も唱えてみた。瞑想中は分からなかったけど、瞑想後はとても心地よかった。2024/04/14

 瞑想中、「今を思い出せ」という言葉が出てきたけど、

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魔術に全てを捧げた学生時代の話

魔術に全てを捧げた学生時代の話

 どうも、ゆるひすです。
 ここで話すこととはタイトルに書いてある通りです。魔術の勉強のために時間と金(お年玉)を費やした私の学生時代(小~高校生)を振り返っていきたいと思います。ちと長いからサラサラと飛ばして読むのがいいかもね!

【小学生時代】

 まず私と魔術の出会いから。
 それは小学三年生の頃の話。テイルズオブシンフォニア(TOS)というゲームの中に登場するキャラクター達が魔法を使うのを

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僕と君との

僕と君との

 道歩き 我の先ゆく 花駆ける
 故人の歌を詠う 東風哉

 桜の季節になると必ず、西行の歌を思い出す。

 仏には桜の花をたてまつれ
 わがのちの世をひととぶらはば

 昔の僕と比べて、今の僕は生きる楽しさを取り戻した気がする。それでも死ぬる権利はまだ僕にあって、いつでも死ねる機会はあるのだが。生きる楽しさを取り戻したと言えど、まだまだあの世の魅力に取り憑かれて、歌を詠む。

 散る花は 川を流

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感謝の人生

感謝の人生

 今は全てに感謝をしたい。
 ここで私に不安が訪れる。「どうせ偽善だろ?」「全てに感謝とか、嫌いな人にも感謝するのかよ」「宗教か何かだろ?」という声が聞こえてくる。私を止めてくるそれらの言葉を、私は足蹴にせず「ご忠告ありがとう」と感謝をする。今の私は何があろうと感謝せずにはいられないのだ。

 これは“心からの”感謝をした人にしか分からないことだが、感謝をすると世界が美しく見えてくるのだ。今の自分

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迎えの宴

 簡素なつまみと酒を持ち寄って、たわいもない話を広げていく。笑いながら、涙しながら、事の終わりからよもすがら、事の始まる際まで一向に話し、そうして皆で同じ日を迎える。
 迎えの宴と銘打って、友と集い酒を酌み交わす。誰が一番に映せるかと杯に酒を満たし、その面に満月を迎えて互いの命を祝い合う。まほらまと化した宴に、鬼の出る幕は何処にも非ず。
 月露、窓の外より入り来て、一行を唯見るばかり。
 時に一人

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虚無感に浸る(日記)

虚無感に浸る(日記)

 作品展への作品提出が終わり、ふぅーっと息をついた辺りから虚無感に襲われています。予定が無くなるとそうなるだろうなと思ってはいたけれど案の定。今は明るい内容の本よりは、虚無感に浸れる本を読みたいと思い、太宰治かセナンクール、もしくはシオランの本を読もうかなと考えています。

 虚無感との向き合い方を模索しています。『夜と霧』で有名なフランクルの『虚無感について』を注文しました。カウンセラーさんから

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苦手なスピ系の人

苦手なスピ系の人

 元気で弾けのあるスピ系の人が苦手だ。僕自身もスピ系に属している人間だけれども、僕はスピリチュアルに静けさを求めている節がある。そういう訳で元気で華やかなスピ系の人が苦手なのだ。

 何ヶ月か前に、やっとスピ系のお話が出来そうなお店が近所にあることを発見し、その瞑想会に行ってみた。瞑想は楽しかった。しかし、その後の会話が苦痛だった。周りが女性だらけなこともあり、話は大いに花を咲かせていた。そうして

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最近のことを書くだけ

最近のことを書くだけ

 最近のことをつらつらと書いていきます。
 まず、何気ない日々が一番の幸せだと気づきました。些細なことに心を込めるということも学びました。それと、エナドリを飲むことを「命の前借り」と言うように、スマホ決済は「お金の前借り」だということに気づきました。

 「返って自分のためになる」という考えは無く、ただひたすらに奉仕の精神で、人のためになることをしたいと思っています。でも、僕は手元不如意です。体力

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死の啓蒙と星月夜

死の啓蒙と星月夜

 僕の思想は薄っぺらい感情論でしかない。
 ただ死にたいと言い、それ以上でもそれ以下でもないのだ。ただ一つ言い分があるとすれば、社会的な損得勘定によって自分は生きる価値の無い存在になっているということだ。それ故の希死念慮。ペシミズム、ニヒリズムに関する本を読み漁り、そうだこれだと感動し、時間のある限りそれらに意識を集中させ、そうして死にたいという思いは日に日に成長していった。しかし、ここで問題が発

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