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アニータ少尉のオキナワ作戦(8)、石垣島Ⅲ

 過去アップした「エレーナ少佐のサドガシマ作戦」は、「エレーナ少佐のサドガシマ作戦、時系列」「マガジン『エレーナ少佐のサドガシマ作戦』」こちらからどうぞ。

 まだ、サドガシマ作戦、終わっていませんが、アニータ、スヴェトラーナとソーニャの物語でも。台湾侵攻をぜんぜん触れていませんでしたので。単なる輸送任務ということだったですが、それで終わりになるはずもなく・・・

アニータ少尉のオキナワ作戦(8)、石垣島Ⅲ

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アニータ少尉のオキナワ作戦(7)、★動画(前回までのお話)

 ホットパンツを履き、取材の時のズボンを畳んでいて、佐々木がポケットの膨らみに気づいた。「そうだ、そうだ。カテリーナがタラップを降りる時に」と絡み合っている卜井と藤田にUSBを見せる。「これが落ちてるって渡してくれたんだ。誰のだろ?」「私のじゃないわ」「ぼくのでもない」
 
 佐々木がパソコンを立ち上げて、パソコンにメモリーをさした。ウィルスチェックをして、メモリーのアカウントを確認するが、何もデータはない。持ち主不明。ファイルマネージャーで内容をチェックすると、MP4のファイルが12個入っている。タイムスタンプがファイル名になっている。時刻は一昨日と昨日の夜。
 
 あれ?動画ファイル?と佐々木は思って、一番古いファイルをクリックした。メディアプレーヤーが立ち上がり、再生がスタートする。これ、何?動画には、バーの風景が映っていた。音声が小さい。ボリュームを上げる。あれ?この人、取材した市議会議員じゃなかったかしら?え?非戦力、無抵抗の島の実現って何?
 
 別のファイルを立ち上げる。そこには大麻栽培が疑われている活動家が映っている。議員と話し込んでいた男と話している。やはり、音声が小さい。でも、ところどころで、陸自駐屯地とかロケットランチャーとかの単語はわかる。音声をテキスト起こししないと詳細はわからないが、この動画、ヤバいんじゃないの?
 
「ちょっと、ちょっと、卜井、藤田さん、この動画、見てよ」
「何よ?ポルノでも出てきたの?まだ私の番だからね。藤田、もっと奥!こねて!」
「二人共、そんなことをしている場合じゃないわよ!動画が入ってるけど、ヤバいやつよ!陸自駐屯地にロケットランチャーで攻撃をかけるっていうテロ行為の密談なのよ、これ!」
「え?何だって?」と卜井と藤田は体を離した。「なんでそんなものが?カテリーナが落ちているのを見つけたんだろ?岸壁になんでそんなのが落ちてるのさ?本物?」

「だって、この前取材した議員とか、大麻栽培が疑われている農園の持ち主とか、本物だと思うわ」

 三人は、あわてて、動画音声の文字起こしをした。集中しないと聞き取れなかったが、内容は、無抵抗で中国軍の上陸を許すとか、数日後に駐屯地を攻撃するとかの内容だった。
 
「これ、東京の局に連絡するわよ。こんなとんでもないもの、相談しないと。佐々木、カテリーナにどこで拾ったのか聞いてみてよ」「明日、朝9時に食事しようよって誘ってあるわ!」「それで聞いてみて・・・まさか、自衛隊の人間が落としたもんじゃないわよね?私と藤田は、自衛隊の石垣出張所の広瀬二尉とかに聞いてみる!」


★露見、ガサ入れ

 翌日、佐々木はカテリーナにもアニータにも聞いて回ったが、だれもメモリーのことは知らないと言った。石垣出張所に行った卜井と藤田は広瀬二尉に聞いたが、彼も知らなかった。ちょうど事務所にいた佐世保基地の営繕の女性が「そうだ、オフレコですけど、警察が何か今晩、ガサ入れとか言ってましたよ・・・って、言っちゃった!・・・」と舌を出した。

「え?紺野さん、でしたっけ?それって、誰から?」「昨日、警察署で自衛隊員の隊舎の警備状況を打合せした時に・・・誰だっけかなあ・・・私の知らない警官から、自衛隊も注意して下さいって言われまして・・・誰だかわかりませんが・・・」

「それだ!でも、警察に聞くわけにもいかないわね。紺野さん、今晩ですよね?」「今晩と言ってましたよ」「よし、警察を張って、それに合わせて放送すればいい!」「え?何のお話?私が漏らしたなんて言わないでくださいよ」「紺野さん、大丈夫。口は固いですから!」

 卜井は東京で映像の人物を目張りして編集させた。警察署を張って、尾行して、ガサ入れの現場を撮影、それに合わせて、映像を流してしまおうという計画だ。
 
 その夜、警察を尾行した一同は、市内数ヶ所、駐屯地近くの納屋から押収された武器などを撮影するのに成功した。警察には苦情を言われたが、捜査の邪魔はしていないと押し切った。すぐさま、東京に映像を流し、USBメモリーの映像とともに緊急特番で配信された。東京ローカル局だが、全国ネットの局にも流れた。
 
 市議会議員も絡んだ反国家活動のスクープに深夜放送だったのにも関わらず、日本中が大騒ぎになった。T新聞やA新聞、その系列地上波局などは、報道内容に政府の謀略などのニュアンスを混ぜて報道した。沖縄県知事は何かの間違いと繰り返して声明を発表した。しかし、翌日、容疑者となって、目張りを消されたUSBメモリーの動画がさらに追加で放送され、左派系メディア、野党などは沈黙した。
 
 保守系団体がチーム沖縄(那覇市と名護市を除く県内9市の市長で構成された市長連合)以外のオール沖縄系の南西諸島の首長と沖縄県知事のリコール実施を発表した。
 
 島民たちの間でも本土から移住した活動家のリストが出回り、沖縄県、南西諸島を中国に売り渡す売国奴という意識が高まった。沖縄県警が、リストの活動家を保護、警備した。ほとんどの活動家は沖縄を去った。

★石垣市内、富田のアジト

 ガサ入れのあった夜、紺野たちは富田のアジトのマンションに集まっていた。計画はうまくいったが、一同、浮かない顔だった。広瀬が「富田さんは現場に立ち会わないんですか?」と聞く。富田は「私の所属のものは、面(めん)が割れるとマズイんですよ」と言う。「なるほど・・・」
 
 ガサ入れ担当の刑事から、押収物などの連絡が富田に時折入った。「う~ん、事前捜査以上の押収物です。出るわ、出るわ、携帯兵器、自動小銃、機関銃、グレネードランチャー、暗殺用のサプレッサー付き拳銃。市議会議員と支援者数名の自宅から書類などの押収物。活動家の農園からも陸自駐屯地の攻撃概要書、陳の自宅からは暗号無線機、武器、弾薬。他にも台湾国籍の人間数名が加わっていて・・・よほど浸透していたんでしょう。与那国島、宮古島、沖縄本島も同じような状態でしょう。同僚が同じことをやってますよ。いずれ、全貌が暴かれるでしょう」と富田。
 
 頭をガリガリかいて「まったく、日本国民がこんなことを!嘆かわしいったらありゃしないわ。これこそ売国奴だわ。この情報は内閣情報調査室を通じて、台湾政府の当該部署にも渡さないといけない。台湾本土防衛にも関わることだもの。しかし、北京も何を考えているのか?それとも人民解放軍東部戦区の独断専行なのかしら?ウクライナの現状を考えても、常識的に台湾侵攻など国際社会が許すはずがない。ましてや、南西諸島と沖縄の奴らの考えている第一列島線の占領など夢物語なのに。プーチンと同様、習近平も側近から本当のことを教えられていないのかしらね?」
 
「俺には信じられない話ですよ。紺野二佐や富田さんの活動も夢にも思いませんでした」と広瀬。「カオル、こんなのロシアじゃ当たり前よ。FSB(旧KGB)なんてでっち上げの情報で、暗殺、シベリア送りなんて朝飯前よ。もっともっとひどい!日本は、さすが民主国家だから、でっち上げはしていないわ」とソーニャ。ロシア人たちはみんなうなずく。

「だけど、これで終わりじゃない。これが始まりだ。これから、北京がどう出てくるか?絶対に目の上のたんこぶの南西諸島に難癖をつけて侵攻してくる。ここ石垣島が最前線だよ」と紺野。

「紺野二佐ならどう難癖をつけられます?」とスヴェトラーナが聞いた。

「そうね、私なら、空からは、台湾のF-16をおびき出して、日本の領空でドックファイトをし、偶発をよそおって、空港などを攻撃させる、かな?海からは・・・あ!大変だ!」「なんです?何が大変なんです?」

「PMCを使う、という手もあるじゃないか?」
「PMC?」
「PMCはPrivate Military Company、民間軍事会社のことだよ。ウクライナでも暗躍している。ようするに、国際的な傭兵会社だ。正式な軍隊じゃない。軍事コンサルティングだけじゃない。戦闘も請け負う。白人の欧米人じゃなく、アジア系のスタッフも多くいる。国籍不明で正体を絶対に吐かない。そんなのが無国籍で石垣島に上陸して破壊工作をしてご覧よ。それを口実に中国が治安維持の理由で侵攻する恐れもある。この世界、何でも起こり得る。広瀬、自衛隊のOBだってPMCに所属してるんだよ。奴らは金で動くからね」

★石垣市内、卜井たちの一軒家

 翌日、日本中が大騒ぎになって、卜井アナ、藤田アナのSNSは最近にない大炎上をしていた。左寄り、右寄り双方からコメントが殺到。RTの数が数十万にのぼった。台湾では、トップニュースで報道され、Youtubeでは、中国語繁体字訳、簡体字訳が削除しても削除しても出回った。
 
 卜井たちが辞めた元の局では、なぜこいつらを辞めさせた!というので、トップが叩かれた。卜井側で動いて、佐渡二見町からの卜井の実況中継を独断で放送した局長は干されていたが、役員として返り咲いた。卜井の実況中継の時にオバQを再放送していた局が大スクープをものにしたとは実に皮肉だ。
★戦闘、佐渡二見町から卜井の中継

 佐々木は、USBを拾ってくれたカテリーナを自分たちの一軒家に招待した。「カテリーナちゃん、あなたのおかげでスクープがものにできたのよ!もう、何でも注文しちゃう!ねえ、何が食べたい?何か欲しい物ある?なんでも言って!」と卜井。
 
 紺野と富田の悪巧みを知っているカテリーナはバツが悪い思いをした。「あの、私、USBを拾って、佐々木さんに渡しただけですから。未だに誰のものか、わからないんですか?」と彼女。
 
「それがまったくわからないの。なぜ、岸壁にこんなものが落ちていたのか。でも、ペレスヴェートのタラップの近くで見つかったから、メモリーの入手経路は言えないのよ。他のマスコミが憶測でロシア海軍と結び付けないとも限らない。拾ったのがカテリーナなのも言えないでしょう?まさか、伍長がこんなものをでっち上げられるわけもないのに。あなたが巻き込まれてしまうから」と佐々木がカテリーナに説明する。カテリーナはそのデータの取得に一役かったので、ますますバツが悪い。

「まあ、いいじゃん!この話は墓場まで持っていこう!それより、カテリーナちゃん、何が食べたい?」と卜井。「ソーニャ准尉が沖縄でゴーヤチャンプルーという料理を食べて美味しかった!と言ってました」「お安い御用だ!そうそう、ここはね、石垣牛というのが有名なんだ。和牛だよ。ハンバーガーもおいしい!ステーキもいける!よし、両方頼もう!それから・・・佐々木、他には?」

 スマホを見ながら「ええとですねえ、シーフードで、本マグロ、カツオのたたき、お!うつぼのかば焼き風?、イカスミチャーハン!」と佐々木。「よし!それ全部、頼もう!」と卜井が言う。

 藤田が「卜井ちゃん、それ、自分が食べたいものだろう?」「うるさい!カテリーナちゃんも好きだよね?ね?ね?」「ハイ!日本食、大好きです!」「ほぉら、藤田、そうだってさ」「よろしいんですか?」「プロダクションからも局からも特別ボーナスがでたことだし、気にしない、気にしない」
 
 四人とも石垣料理を堪能した。卜井が「カテリーナは、これからどうするの?」と石垣牛の1ポンドステーキをバクバク食べながら彼女に聞いた。
 
「どうなるんでしょう?ソーニャみたいにお相手もいません。これで佐渡に帰って、ウラジオの原隊に戻ると思います。欧州ロシアのこのウクライナの騒動なので景気もよくないです。家族にも仕送りしないといけません。職もロシアはあまりないですので、軍にいようと思います」
「ふ~ん、カテリーナは何才?出身は?何人家族なの?」と紺野と同様商売柄身上調査をしたがる卜井。
「18才です。東部シベリアのブリヤート共和国ウラン・ウデの出身で、父母、五男三女の10人家族です。私は五番目の子で次女なんです」
「ブリヤート共和国?行ったことある!バイカル湖の南でしょう?アジア系の人が多かったわ」
「モンゴル共和国と国境を接しています。モンゴル系のブリヤート人が多いんです。私もロシア人とブリヤート人の混血。父がスラブ系ロシア人で母がブリヤート人」
「そうなの?ブリヤート人とのハーフに見えないけどねえ?金髪碧眼じゃん!あ!ごめんね、立ち入ったこと聞いちゃって」
「いいえ、八人兄弟でも、私みたいな容貌とか、ブリヤートの血が濃い兄弟姉妹とか、バラバラですよ。これが写真」とスマホの家族写真を三人に見せる。

「お~!みんなイケメンで美人だわ。こりゃ、日本でデビューしたら売れるよ!」
「デビュー?」
「歌手とか・・・」
「・・・ウチの家系、みんな音痴です・・・スミマセン・・・」
「・・・いや、モデルとかね」

「卜井、モデル事務所を開業するつもりか?」
「いいじゃん!ウチのプロダクションでデビューさせれば!」
「卜井さん、あの、みんな、ブリヤート共和国の田舎者なので・・・」
「いや、素朴さがいい!失礼だけど、ブリヤート共和国って、ロシアの中でも貧しいでしょ?」
「ハイ、年収はモスクワの半分ぐらいです」
「よし!ロシアに帰らないで、私たちが身元引受人になるから、除隊して日本にいなさい!エレーナ少佐にねじ込む!私たちと暮らそう!」
「ハァ?・・・しかし、え?日本にいられるんですか?結婚しないとダメと思ってました」
「身元引受人がスポンサーになれば、ビザがおりるのよ。何なら、養子縁組にしてもいいわ。佐々木も私と藤田の養子なんだよ」
「・・・あの、ソーニャから聞いたんですけど、その・・・お三人は・・・おたがい夫婦関係にあるんじゃないですか?」

「え?ソーニャから?」と佐々木。「ええ、ソーニャが内緒だよって言って。ソーニャは日本って変わってる、理解できないって言ってました。私もよくわからなくて・・・」

「なんだ、知ってたの?でも、大丈夫よ。カテリーナちゃんを私たちの関係に引き込むつもりはないから。18才の女の子をこういう関係に巻き込むつもりはありません。心配しないで。ちゃんと、大学に行って、お嫁に出してあげるから」と卜井。

「藤田さん、不躾な質問をしてもよろしいですか?」「どうぞどうぞ」

「あの、事実上、藤田さんは奥さんを二人もらっている状態なんですよね?」
「う~ん、そうなんだけど、実際は、ぼくと卜井、ぼくと佐々木だけの関係じゃなくて、卜井と佐々木も愛情関係になるから、三角形の夫婦関係です」

 空中に三角形を書いて、首を傾げるカテリーナ。「それって、嫉妬とかはないのでしょうか?だって、私に彼氏がいたとして、その彼氏が他の女の子とセックスしていたら、イヤでしょう?嫉妬します、私」
 
「ぼくと卜井、ぼくと佐々木だけの関係ならそうなんだけど、彼女たちも関係があるから三角形が引き合って、ちょうど良いバランスになっている状態というか・・・」

「三角形が引き合う・・・う~ん、カテリーナ、わかんないや。こういう関係は日本では普通なんですか?」
「普通じゃないと思う。でもね、ロシアのウクライナ侵攻以来、世界は変わっちゃったと感じられる。もう、なんでもありかなと。最初は驚いたよ。卜井が突拍子もないことを言うから。こいつ『藤田、私と結婚しよう!籍を入れよう!佐々木を私たちの養子にしよう!それで、私たちはずっと一緒!』なんて、突然言うから。ぼくは佐々木の処女をもらっちゃったし、混乱したけどさ。でも、三人とも独身、浮気とかややこしいことにはならないようだから、こういうのもアリかな?なんて思って。それで、卜井、佐々木がこういう関係を解消します、他に相手ができました、というならその時はその時と思った次第です。でも、今はこの関係、いいと思う。三人とも収入はある。子供が出来たら、二人で子育てするより、三人で子育てした方が楽。ヨーロッパではこういう関係はままあるらしいよ」

「そういう三人の中に私が入っていいんでしょうか?」
「カテリーナに性的な関係を求めちゃいないわよ」と卜井。
「でもね、でもね、卜井さん、もしもですよ、私が三人と一緒に住んで、夜、三人があれをしてるんだ?なんて思ったら、どうなんでしょう?私、パパとママのセックスを1回だけ見ちゃったことがあって・・・ちょっとショックだった・・・」
「確かに刺激は強いかも・・・でも、慣れれば平気になるんじゃないの?まあ、一人暮らししてもいいからさ」
「わかりました。この話、絶対に秘密でソーニャと相談してもいいでしょうか?」
「いいわよ・・・あ!でも、ソーニャには広瀬二尉には絶対に言わないって約束させて!広瀬二尉、頭が固そうだから」
「了解です!」

「そうだよねえ。カテリーナ、まだ18才だからね」と佐々木。「あのぉ、佐々木さん、一応、私も経験はあります。経験豊富とは言いませんけど」「あれ?処女じゃないの?」「初体験は15才の時です。同級生と」「・・・」

「もしかしたら、佐々木ちゃんよりも経験豊富だよ、この子」「え~、私なんて、アラサーでやっとこの前、捨てたのに!カテリーナ、何人くらいと?」

「あの、経験は三人しかありません・・・」「三人も!私なんか、藤田しか知らないのに!・・・負けた・・・」

 佐々木は落ち込んだ・・・。

★日本国内の変化

 卜井たちの放送番組の公開以来、日本国民の意識がまったく変わった。少数派の左派系活動家の存在を黙認、認識していなかったのが、そこに他国の干渉があったという事実を突きつけられたのだ。

 さらに、自治体の議員、首長にまでその影響が及び、日本国の防衛を弱体化させようとする動きがあったのに気づいた。テロ兵器まで持ち込まれていたのだ。むろん、隣国は知らぬ存ぜぬで押し通した。
 
 しかし、お公家集団が主流の総理大臣も国民の突き上げもあり、何もしないという姿勢は変えざるを得なかった。内閣情報調査室、公安警察、自衛隊情報保全隊などから何度も報告が上がり、与党ハト派議員たちが握りつぶしていた隣国のスパイ外交官、モグラのリストを元に、外交官の追放、スパイ摘出をせざるを得なかった。その数に国民はさらに驚いたのだ。
 
 いわゆる護憲派政党の支持率は真っ逆さまに急落した。与党でも、平和主義を標榜していた政党、ハト派議員の支持も急落し、次回の選挙での再選もおぼつかなくなった。
 
 沖縄県で保守系団体が初めたリコール運動は、またたく間に署名を集め始めた。沖縄県の有権者総数は約百万人。沖縄県知事のリコールに必要な署名は、80万を超えるときは、80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上であるから、2.5+6.7+13.3=22.5万人の有権者の署名が必要だった。それがあっという間に2日間で集まったのだ。それだけ、県民の今までの欺瞞に対する怒りが強かったのだろう。

 他の護憲派の首長や護憲派優勢の自治体議会も同時にリコールを起こされた。同じく有権者の3分の1の署名が集まりリコールが成立した。この請求は、請求から60日以内に住民投票が行われる。
 
 与党内でも改憲派の勢いがました。衆議院憲法審査会も定例日開催に応じないなどの妨害をしにくくなった。また、2021年5月に憲法審査会で可決された国民投票法の改正案に関しても即応性などがないなどで、ハードルを下げる案が再浮上して、憲法審査会は紛糾した。

 特に、国民投票期日の決定で、発議後、60日から180日以内という条文がやり玉に上がった。2~6ヶ月も国民投票期日を寝かせておく明確な理由がないからだ。与党は本会議での可決、議員3分の2という条文に関しては何も言わなかった。放置しておいても、野党の支持率失墜で、野党が3分の1以上をとれる見込みは非常に薄い。
憲法改正国民投票

 ちょっとやりすぎたかしら?首かもね?と紺野と富田は思った。石垣島からの報告を受けて、首相、与党ハト派の重鎮は激怒し、彼らの罷免、左遷を画策したが、元首相などの反主流派、防衛大臣が反対をして、お咎めなしとなった。
 
 さらに、なんと、東ロシア共和国のジトコ大将からも紺野と富田の擁護を求めてきた。もはや同盟国同然の東ロシア共和国からの外圧ではどうしようもなかった。むしろ、南西諸島、沖縄県の大掃除をしたことで、評価が上がったくらいだ。

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島崎藤村 - 椰子の実

島崎藤村作詞・大中寅二作曲

名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ

故郷(ふるさと)の岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月(いくつき)

旧(もと)の木は 生(お)いや茂れる
枝はなお 影をやなせる

われもまた 渚(なぎさ)を枕
孤身(ひとりみ)の 浮寝(うきね)の旅ぞ

実をとりて 胸にあつれば
新(あらた)なり 流離(りゅうり)の憂(うれい)

海の日の 沈むを見れば
激(たぎ)り落つ 異郷(いきょう)の涙

思いやる 八重(やえ)の汐々(しおじお)
いずれの日にか 国に帰らん


マガジン『エレーナ少佐のサドガシマ作戦』


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