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11013の手紙に寄せて

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11013でなければならない理由も、ないのだけれど。
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#育児

仲がいいってどういうことか

仲がいいってどういうことか

息子が私のうちに2人います。1歳と4歳の子なのです。上の子の誕生日が最近来て、下がまだなので、彼らの学年差は2つです。

この2人が、よくけんかをします。けんかといいますか、下の子の干渉を上の子が嫌がるという感じが正確かもしれません。たくさんのおもちゃが家にあって、それを下の子がさわるのを、上の子が乱暴に取り上げたり拒絶したりするというパターンが多いです。

1歳と4歳の力の差は大きいかも

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そっとささやく『おもちゃのチャチャチャ』

そっとささやく『おもちゃのチャチャチャ』

ぼくは音楽なんてやってますから、ほんとうにぼくのほとんどはとるにたらないことでできています。せめて、あなたたちの口に入ったり、肌に触れたりしてその体温を保つのにひとつでも役に立っていたらと思うことがなくもありません、ええ、もちろん、音楽がときにそういうものに匹敵する、あるいは凌ぐことすらあるかもしれないものだなんて思っているからこそやり続けるわけなんですけれど。

ぼくの住む町に、暗渠がありま

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「おやすみ」の読み聞かせ

「おやすみ」の読み聞かせ

前にも同じことを書きましたが(読んでいただいたかは存じませんが)、萩原朔太郎の詩が僕には難しいと感じつつ、ためしに音読してみたら何か違って感じられた、むずかしいなりに詩を、文を、肉を感じられたような気がした、ということが僕にはありました。

赤ちゃんは、まだことばの意味を知りません。でも、絵本を読み聞かせると、目や耳の感覚を読み手に注いでいる様子を見せます。ことばの意味がわからなくても、その絵

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ものさしの目

ものさしの目

うちには0歳7か月の赤ちゃんがいます。赤ちゃんというにはからだの大きい子です。ほやほやとした赤ちゃんらしさはもう通り過ぎて、この頃では好奇心と探求の冒険家然としてきました。

まあ~~モノを落とすのが好きで(好きと本人から聞いたわけではありませんが)、つくえのうえに、私が置いた乾いたふきんを見つけると、手で払い落とします。それを私は拾います。ふたたびつくえの上にのせると、また払いのけるように落

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暫定の姿見

暫定の姿見

たまに息子(3)を叱ってしまいます。怒らないようにしていますが、「それは許せない」というポイントがじぶんにあるようです。

息子のおこないのうち、たいていのことは許します。一時的に不快に思うようなことや、やめさせたくなるようなことでも、そのおこないの結果として予想される状況のほとんどは、冷静に、長い目で見てとらえれば、止めるほどのことでない場合がほとんどです。なら、やらせてあげればいいじゃない

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黙殺と音声

黙殺と音声

萩原朔太郎の詩を読んでみたのですが、なんだかよくわからず、ピンと来ないなぁ、いまのじぶんにはまだ早いのだろうかと思いました。

そこで、わたしは音読してみることにしました。言葉という記号を認識して、子音と母音をつくって発します。音波になったそれが、反響してかえってきます。お? なんだか、作品をじぶんが理解しているかは別として、ぼくはいま肉体で詩をとらえているのではないかと思えたことがあります。

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誕生日のグループチャット

誕生日のグループチャット

実際に何もしてないはずがないのに、ぼくは何もしていないだなんて思って、じぶんを過小評価する癖がこびりついている……と、長く続く雨季が、そんなことを思わせがちなのかもしれない。

ぼくの祖父母の命日がくると、ぼくの両親は仏壇に火のついたお線香を立てる。あんたもお線香やってねなんていわれて、ああ、うん、なんて返事をして、ぼくもお線香をやるのだけれど、あとまわしにしてそのまま忘れてしまうことがこれまで

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家族写真と報道カメラマン

家族写真と報道カメラマン

僕も妻も、じぶんの子どもの写真などよく撮ります。それをじぶんや子どもが、将来どのようなかたちで、どんなシチュエーションで見ることになるのかということはあまり気にせず、思いついたときに気の向くままに、日常の光景を撮影しています。

子どもの写真は、子どもだけが写ったものの割合がやや多いです。撮影者である僕や妻が一緒に写ったものは、全体に占める割合としては、子どもだけが写ったものよりも少なくなります

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しとしとと降る雨のように

しとしとと降る雨のように

子どもの頃、お年玉をもらうとよく貯金した。そのことをほめられたこともあった。大人になったいま、じぶんの子どもにまとまったお金をやって、それを貯金されたら僕はどう思うだろうか。銀行に預ければ利息でお金が増える、という時代は僕の子ども時代の後半にさしかかる頃にはとうに終わりを迎えていた。つまり、考えなしに預けても増えない。

お金を増やすために知恵をつかうことをよしとするかどうかは、いろいろでいい

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このゲームに、いくら張る?

このゲームに、いくら張る?

思えば、子どもの頃って毎日が終わらないおまつりみたいなものだった。1日1日が長くて、楽しかった。それでいて、退屈な時間も長かったけれど。

そんなことに全力で時間をかけられるなんて! と、大人なら思うようなことにもたくさん夢中になった。でも、今でも僕はそうしたことに夢中になれる心を持ち続けているつもりだ。

僕には3歳の息子がいる。昨日、誕生日を迎えたばかりだ。毎日、おふざけとお遊びとお

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W.C.の奇襲

W.C.の奇襲

先の4月1日、僕は職場へ出て行って仕事をしていました。新元号の発表があるとのことで、そわそわする気持ちを表に出さないようにしつつも、時間を気にしていました。インターネットによる中継をスマートフォンに映し出して傍に置いておき、まだかまだかと発表を待ちました。定刻らしい時間をまわっても発表される気配がなかったので、これはまだしばらくじらされるかもしれないと思い、思い切ってトイレに立ったその間に発表が行

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旅せよ愛子(まなご)

旅せよ愛子(まなご)

わたしには息子がおります。上(2歳)、下(3か月)の2人です。可愛いです。

でも、ほっとくわけです。もちろんいつでもそうではありません、世話をすることもあります。妻がたくさん(常に)接してくれているので、わたしがそんな程度の意識でいられます。

「可愛い子には旅をさせよ」という言葉がありますが、この「ほっとく」意識が、息子たちに旅をさせることにつながるのではないかと思います。いつもそんな

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必生に死す 〜幼成一体の種族〜

必生に死す 〜幼成一体の種族〜

先を見越して行動することができる。一手打っただけでは達成できないようなことに向かって、コツコツと事をすすめることができる。

子供にはあまりない発想かもしれない。打算的というとあまり良い響きがしない。子供にはあまり打算的なおこないがみられないと思うが、それは僕の子供が男だからかもしれない。女の子は、幼い頃から、考えがあって他者にはたらきかけるようなことがあるかもしれない。間接的に、地固めをする

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