マガジンのカバー画像

フェミニズム・ノート

25
運営しているクリエイター

記事一覧

【26】分業してて何が悪い? 「やりたいこと」の性差(4)

【26】分業してて何が悪い? 「やりたいこと」の性差(4)


そんなにダメかな…? 前回は先進的な男女平等社会とされる北欧諸国においても、労働市場でははっきりと性別による棲み分けがあり、むしろそれゆえに管理職など指導的なポジションに女性が多いのだという実情を述べた。

 さて、このことをどう評価するかである。前回、KY氏の『ジェンダーギャップ指数というザル指標で見落とされてしまう差別』という記事をとりあげたが、タイトルのとおりKY氏はスウェーデンに見られる

もっとみる
【25】男女分業社会、北欧 「やりたいこと」の性差(3)

【25】男女分業社会、北欧 「やりたいこと」の性差(3)

職業選択の男女差 前回と前々回では、なぜSTEM(日本で言う「理工系」)と呼ばれる分野には男性が多く女性が少ないのかを考えた。そして、この偏りは究極的には「(平均して)男性は『物』も含めた『無生物』全般にかかわることに惹かれ、女性は『人』も含めた『生物』全般にかかわることに惹かれる傾向がある」という「興味の性差」によってもたらされているのではないか、と結論づけた。今回からは、STEM系か否かに限ら

もっとみる
フェミニズムって何ですか

フェミニズムって何ですか

ジョーン・カバヤマ(Joan Kabayama 1929-2017)は、元カナダの水泳ナショナルチームのメンバーであり、教師、水球のコーチ、市民活動家、そして何よりも筋金入りのフェミニストとして知られていた(カバヤマ姓は元夫が日系カナダ人だったため。本人は白人。私が知り合った当時は3人の成人した子供がカナダにいた)。

ジョーンは一時期、東京のYMCAで教鞭を執っていた。ある時、生徒にたずねた。「

もっとみる
グローバリズムの真実~フェミニズムという宗教~

グローバリズムの真実~フェミニズムという宗教~

宗教は、慰めの源泉であるかぎり、真の信仰への障碍となる。この意味で無神論は一種の浄化である。(重力と恩寵/シモーヌ・ヴェイユ)

政府主導の男女共同参画政策により、虐待や中絶、離婚、パワハラ、若者の自殺などが深刻な社会問題となっている昨今、欧米のフェミニズムが日本の文化といかに相容れないかが証明されつつあります。

もともとフェミニズムは、女性蔑視の思想が含まれるキリスト教などの一神教に対抗して、

もっとみる
男社会で負けて男をやめた話

男社会で負けて男をやめた話

まず、私は男社会で完全敗北した男です。
もう2度と社会に戻ることはないでしょう。

『強い男』になりたかった男でした。

警察官。現場作業員。前科者だらけのブラック企業。
・・・これまで私が勤めてきた会社はどれも、過剰なほど『男らしさ』を求められる男の職場ばかりでした。

男は男らしさを求められるあまり、
苦しんだり、苦しめたりしてしまうことがある。

最近では「男は弱くても良い」という意見をたび

もっとみる
ホルベックの男たちは女が何であるかを知っている

ホルベックの男たちは女が何であるかを知っている



イングランド北部の都市・リーズは観光都市であり文化と芸術の街でもある一方、市内のホルベック地区には買春街があり、そこでのあからさまな女性蔑視が日常の一部になっている。リーズでは、性別のセルフID制度を受けいれたことで何が起きているのか。

訳:TB

これはリーズ市会議員サラ・フィールド〔元労働党で現在は無所属〕による素晴らしいスピーチです。彼女の許可を得てここに転載します。

(13 Sep

もっとみる
LGBT運動の背後にいる大富豪たち

LGBT運動の背後にいる大富豪たち

わずか10数年ほどのあいだにトランスジェンダリズムは世界の多くの国々で広まり、社会や法律や教育を変えていきました。その背後に巨額の資金を注ぎ込んだ大富豪たちがいるという事実は、もっと広く知られるべきです。
こちらは、トランスジェンダリズム問題を追い続けているジャーナリスト、ジェニファー・ビレクさんによる記事です。

ジェニファー・ビレク 『ファーストシング』2020年1月21日

 それほど遠くな

もっとみる
心理学と哲学、SNSにおけるフェミニズム。

心理学と哲学、SNSにおけるフェミニズム。

自分はココロに関わる仕事をしています。なので色々なクライアントさんと向かい合う時は常に自分の立ち位置を意識するような癖があります。

心理学としての色々な考え方はそれこそフロイトから始まって、一時期話題になったアドラーまで色々な理論があり、それに伴った手法もあります。

ただ、忘れがちなのは心理学という学問の基礎の部分に哲学があるということ。
認知行動療法(CBT)の際に用いられるスキーマという言

もっとみる
あなたの「フェミニズム」は差別的? 『二重に差別される女たち ないことにされているブラック・ウーマンのフェミニズム』より、日本版解説の一部ためし読み公開

あなたの「フェミニズム」は差別的? 『二重に差別される女たち ないことにされているブラック・ウーマンのフェミニズム』より、日本版解説の一部ためし読み公開

本日8/27、『二重に差別される女たち ないことにされているブラック・ウーマンのフェミニズム』が発売されました。中流階級の白人女性が主流のフェミニズム言説に対して、「ブラック・フェミニズム」の立場から「連帯」を訴える、著者のミッキ・ケンダル。

 © Patrick Thicklin(本書掲載写真)

●NYタイムズ ベストセラーリスト10週間ランクイン
●米「タイム」誌 2020年読むべき本10

もっとみる
反出生主義を騙るな。

反出生主義を騙るな。

※閲覧注意※
今回の内容は強い不快感を感じる可能性があります。子供が好きな方、子供がいらっしゃる方、特に妊婦さんは読まないことをおすすめします。「不快感を感じてもそれでも」という方だけ読んで下さい。

みなさまこんにちは。ポ・キールでございます。

おかげさまでポ・キールクッキングが50回を迎え、そのツイートをまとめたとっても平和でくだらない記事を作成する予定でした。

しかし、不快なツイートが界

もっとみる
反出生フェミニスト界隈の暴言から見る自己責任論とSNSの距離感

反出生フェミニスト界隈の暴言から見る自己責任論とSNSの距離感


はじめに こんにちは。前回noteを書いてからしばらく経ちましたが先日、twitterで過激な反出生主義とフェミニズムを語る人達の過激なワードをまとめ、注意喚起をかねたツイートをしました。

まとめながら思いましたが、18禁同人ワードなのかってツッコミをもらうほど、「なんじゃこれ」なワードです。ツイートのツリーを見ていただくと更に詳しくわかるかと思いますが、それでも一部です。これらの言葉を突然他

もっとみる
新自由主義と反資本主義『99%のためのフェミニズム宣言』の感想

新自由主義と反資本主義『99%のためのフェミニズム宣言』の感想

「もっと女性が働ける場を、女性を経営層に、女性の起業家を」という言葉を見る機会が増えた。私も女性として働く場でマイノリティであることにうんざりしているし、女性の起業家を応援するイベントを企画したり運営に関わってきた。

ゲームのルールを把握してうまく立ち回らなければと思っていながら、何故自分が生きづらい仕組みに最適化しなければいけないのか、という疑問がある。

「フェミニズム」という言葉は実際の生

もっとみる
小田急線事件で考える男の生きづらさ|女性から男性への暴力・暴言について

小田急線事件で考える男の生きづらさ|女性から男性への暴力・暴言について

おはようございます。東京は台風がそれましたが、不安定な天気です。

さて、2021年8月6日に小田急線内で凄惨な事件が起こりました。

被害者の方々のお気持ちを考えるととてもやりきれません。心身ともに回復する日を祈ります。

犯行動機は「大学時代にサークル活動で、女性から見下された。出会い系サイトで知り合った人ともうまくいかなかった。勝ち組の女性を殺したいと思うようになった」という身勝手なもの。そ

もっとみる

社会学の授業記録 前編 ~社会学は「フェミニズムへの洗脳学問」~

私は大学で社会学の授業を選択している。ツイッター上で学ぶ社会学と一般的な社会学がどれほど乖離しているのかを確かめてみたかったからだ。今回は大学の授業での「ジェンダーの社会学」について記録したい。

羽生選手は男らしくない?最初の課題は次の通りだ。

ここでの話題はフィギュアスケート選手である羽生選手。彼についての課題だ。

授業の中で取り上げられているこちらの書籍で、羽生選手についてこのように述べ

もっとみる