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北海道のことば

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北海道弁や、日常のことばについて
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#北海道

【エッセイ】いずい

【エッセイ】いずい

 職場の偉いひとたちが打ち合わせをしている。腕を組んで、まじめな話をしている。
「そうすると、こうなる。それじゃあいずいべよ」
「うーん。いずいですね」
「したら、こっちのほうが良いんでないか。予算も足ささるし」
 彼らはまじめな話をしているのに、はたで聞いている私は下を向いてニヤニヤしてしまう。マスクをしていて良かった。
 方言丸出しの打ち合わせは間もなく終わった。私は結論を聞き逃した。方言が気

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【エッセイ】かなちょろ

【エッセイ】かなちょろ

 北海道には野生のトカゲはいないと思っていた。生まれてこのかた見たことがなかった。だから、関東に住んでいた短い間にアパートの駐輪場で小さな緑色のトカゲを見たときは、やっぱり内地はすごいな、と思ったものだ。
 カナチョロも、それが小さなトカゲを意味するとは知っていたが、どこかの方言だと思っていた。

 ところがこの夏、地元で初めてカナチョロを見た。これまで何度となく訪れた墓参りにて、さささ、と動くひ

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【エッセイ】どら、

【エッセイ】どら、

「どら、貸してみれ」
 なんて言うおじさん連中も、このごろは少なくなった。
 このままでも意味は通じると思うけど、標準語だと「どれ、貸してみな」ってところかな。

「けさ、ヤッと出かけるべと思ったっけ、ガラスしばれっちゃって車出せないもんだもん」
「あれだもの」

 夕暮れどき、近所のうちの洗濯物が外に干ささっていて心配になる。雪も降りだしそうだ。
 きっと忙しくて、取り込むのを忘れてるんだろう。

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【エッセイ】ぼっこの「こ」

【エッセイ】ぼっこの「こ」

 子どものころ、姉と外で遊ぶときにはたいてい「ぼっこ」を持ってあるいた。自分の背丈ほどのヨモギの茎を根元から折り、枝葉を取り除けば、長いぼっこの出来上がりである。
 ぼっこは時に剣となり、魔法の杖となり、水辺をつつく道具となった。

 学生になって方言の域を出て生活したとき、ぼっこが何か伝わらず、他にどう言い表して良いかわからずにしばらく考え、やっとわかった。
 ぼっこの標準語は棒で、ぼっこを漢字

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【エッセイ】とねっこ

【エッセイ】とねっこ

 そこらへんでとねっこが跳ね回る季節になった。
 馬服を着ているもの、裸のもの、モクシをしているもの、していないもの。生まれたてのとねっこの、ふにゃふにゃの口元や皮膚のうすいわき腹にシワがよる。
 かわいい。どんな毛色もそれぞれにかわいい。鼻先やあごをこね回すように触る。やわらかい。やっぱりかわいい。

 とねっこ、とは馬の子っこのことである。つまり仔馬のことである。
 とねっこという言葉があまり

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【エッセイ】魅惑のCMソング

【エッセイ】魅惑のCMソング

 出てきた出てきた山親父、笹の葉かついで鮭背負って、スキーに乗った山親父、千秋庵の山親父

 ベールベルベルベル食品!

 ここはお風呂の遊園地、なんてったって宇宙一、行ってみたいなサンパレス、行ってみたいな、サンパーレスー

 ホテル、テルテル、だいへぇ~~げん

 おーはぎおにぎりお弁当にお寿司、おーこわ大福だんごにおやき、おーはぎおにぎり季節のお供にサ、ザ、エ、毎日毎日、サ、ザ、エ

 バー

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【エッセイ】太陽のちから

【エッセイ】太陽のちから

 いつも冬の入り口に立って、あと少し、あと少しと念じるように思う。暗い朝に気が滅入る。昼間でも陽は低く、帰る頃にはすっかり暗い。
 もう永遠に明るい朝日で目覚めることはないかもしれないと思いながら、あと少し、あと少しと自分に言い聞かせる。
 あと少しで、冬至がくる。
 冬至をすぎたあとも、日の出はまだ少しずつ遅くなる。しかし、「冬至を過ぎた」という事実が私に救いを与える。太陽がちからを取り戻そうと

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言葉の備忘録 2

言葉の備忘録 2

チビタンコ
 大正生まれの祖父は軽トラのことをチビタンとかチビタンコとか言っていた。わたしたちも小さいころはそう呼んでいたが、祖父がいなくなってから、すっかりその言葉を忘れていた。
 祖父が運転するチビタンコの荷台に乗って、山に行く。沢を下りてみたり、木立の中に分け入ってみたり、祖父がスコップや鎌を使ってやる作業を眺めたりした。
 姉は植物や動物に詳しく、クワの実やコクワの実やマタタビをとって遊ん

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言葉の備忘録

言葉の備忘録

 どって? こって。

  どうやって? こうやって。

 なして? なんでも。

  どうして? どうしても。

 もう、ナスはあれ以上おがらないな。

  もう、ナスはあれ以上大きくならないな。

 お茶まかした!

  お茶こぼした!

 みそ汁かやしちゃった。

  みそ汁ひっくり返しちゃった。

【エッセイ】北海道弁

【エッセイ】北海道弁

 ねこばちょしてたっけ、かっちゃかれたさ

 とか、

 あったら山の中だら、熊いたっておかしくないべ

 というのが北海道弁であるという自覚はある。ふだんから使っている言葉だ。
 しかし、北海道弁でしゃべってみて、などと言われると、とっさには出てこないものである。
 北海道弁といっても地方によって方言があったりするし、もしかしたら我が家だけで使っている言葉や言い回しもあるかもしれない。
 年配の

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