あめ

小説、短歌、イラスト、マンガなど カドブン×note ショートストーリー投稿コンテスト…

あめ

小説、短歌、イラスト、マンガなど カドブン×note ショートストーリー投稿コンテスト「#一駅ぶんのおどろき」グランプリ受賞

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  • 短編小説・掌編小説

    短いお話です

  • イラストと短歌みたいなもの4(2021.12〜

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    男性と偽った女性二人の恋愛のような友情のようなお話。

記事一覧

爪痕【掌編】

 夜空に爪痕。藍色の空に浮かぶ爪痕の形をした月。細い隙間から月がこちらを覗き見ている。さらさらと地上に降り注ぐ月明かり。両手をお椀の形にして月明かりを受け止める…

あめ
4日前
7

逃げること出来ず再び身支度を整えた秋こっちを見てる

あめ
3週間前
3

はたらきたくない

あめ
4週間前
6

タクシーに乗って【短編】

 乗車したタクシーが空へと舞い上がる。 「どちらまでいかれますか?」  隣の運転席は無人。スピーカーから流れる声に 「クジラ通り三丁目」  と答える。 「かしこまり…

あめ
1か月前
8

ネギサムライ【短編】

 エコバックを忘れた。仕方がないからネギは背中のリュックに突き刺した。 「ネギを買ってきて」  と同棲中の彼女から頼まれた。だったらいいけど、そうじゃない。一人暮…

あめ
1か月前
6

海を見たいともがくだけ【短編】

 当然だ。「別れたい」君から届いたメッセージ。  ここ数か月、君と休みを合わせることが出来なくて、ずっと会えていなかったから。それでも、マメに連絡を取っていたら…

あめ
1か月前
9

ネコ先輩【短編】

 ネコ先輩が死んだ。  友人の達也から、スマホにメッセージが届いていた。確認したのは休憩中。コンビニで買ったサンドイッチを食べ、デザートの杏仁豆腐の最初の一口を…

あめ
1か月前
7

雨催い【短編】

 分厚い灰色の雲が白く光った。続けて雷鳴。降り出しそうだ。雨が。傘は持っていない。だから、私は足を速めた。待ち合わせ場所には、後十分。あの人の車が待っているはず…

あめ
1か月前
5

哀愁スイカ【短編】

 艶々と光るスイカの表皮を睨みながら、腕を組んでいるのは僕だ。  何年スイカを食べていないだろう。  子供の頃、夏になると父は決まって、スイカを一玉買って来た。僕…

あめ
1か月前
7

でもいいよ それでも別に もう何も そんなもんだし とんだ茶番だ

あめ
1か月前
6

月踏み【掌編】

 月を踏みそうになった。  雨で濡れたアスファルトに、映し出される月の姿。かと思ったら、それは、街灯の光であった。人気がなく、足音さえも夜空に反響するほどに静か…

あめ
2か月前
7

空気読む無理して笑う存在の僕らにだって叫びはあるよ

あめ
2か月前
5

特撮のDNA

 上田市美術館で開催中の「特撮のDNA」へ行って来ました。  入場口ではゴジラがお出迎え  入り口のお姉さんにチケットを見せて説明を受ける。  写真撮影とSNS投稿は…

あめ
2か月前
6

ウルフ【短編】

 狼のマスクを被った男。細身で長身。背筋が伸び凛としている。彼はライフル銃を手にゆっくりとした動作でステージに上がる。  ステージの中央には講演台があり、さきほ…

あめ
2か月前
5

大切にされない夢を何度でも見てしまうほど慣れているから

あめ
2か月前
6

みだれ髪【掌編】

やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君。 あなたに流れるあつきもの。 それを、どうか、私に飲ませてください。 見返りなどいりません。 ただ、あなたは…

あめ
2か月前
5
爪痕【掌編】

爪痕【掌編】

 夜空に爪痕。藍色の空に浮かぶ爪痕の形をした月。細い隙間から月がこちらを覗き見ている。さらさらと地上に降り注ぐ月明かり。両手をお椀の形にして月明かりを受け止める。そして、一気に飲み干す。ごちそうさまです。
 あの夜も、爪痕みたいな月が浮かんでいた。大切にしてくれない人を、大切にする必要はないと気づいて、お別れの言葉を伝えたあの夜。当然のごとく、あの人は引き留めはしなかった。
「わかった」
 その一

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タクシーに乗って【短編】

タクシーに乗って【短編】

 乗車したタクシーが空へと舞い上がる。
「どちらまでいかれますか?」
 隣の運転席は無人。スピーカーから流れる声に
「クジラ通り三丁目」
 と答える。
「かしこまりました」
 スピーカーから返答がある。
 金曜日、19:33、僕はタクシーに乗って、君の住むクジラ通り三丁目へと向かう。
 眼下には星屑みたいなネオン。あの光の一つ一つには、誰かが息づいているというのに、見下ろすとただただ輝いているだけ

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ネギサムライ【短編】

ネギサムライ【短編】

 エコバックを忘れた。仕方がないからネギは背中のリュックに突き刺した。
「ネギを買ってきて」
 と同棲中の彼女から頼まれた。だったらいいけど、そうじゃない。一人暮らしの僕の夕食を少しでも美味しくするためには、ネギがどうしても必要だった。だから、仕事帰りに買っただけ。
 僕は背中にネギを差したまま、自転車で自宅アパートへと向かう。
 今日も馬鹿みたいに暑すぎる熱を放出していた太陽が、ようやく地に沈も

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海を見たいともがくだけ【短編】

海を見たいともがくだけ【短編】

 当然だ。「別れたい」君から届いたメッセージ。
 ここ数か月、君と休みを合わせることが出来なくて、ずっと会えていなかったから。それでも、マメに連絡を取っていたら、よかったのかもしれないけれど、出来なかった。仕事が終わったら、少しでも早く帰宅して、食事をして入浴して、一分でも長く眠りたくて。余裕がなかった。その程度の気持ちだったのかと問われそうなので、言い訳には出来ない。だから、僕は
「ごめんね」

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ネコ先輩【短編】

ネコ先輩【短編】

 ネコ先輩が死んだ。
 友人の達也から、スマホにメッセージが届いていた。確認したのは休憩中。コンビニで買ったサンドイッチを食べ、デザートの杏仁豆腐の最初の一口を味わっていた時だった。
「ネコ先輩、亡くなったらしい」
 杏仁豆腐の味が舌の上から消えていった。
 メッセージが届いたのは、およそ10分前。達也もちょうど休憩時間なのだろう。
「は?」
「この前、職場の同僚と『たんぽぽ』に飲みに行ったんだけ

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雨催い【短編】

雨催い【短編】

 分厚い灰色の雲が白く光った。続けて雷鳴。降り出しそうだ。雨が。傘は持っていない。だから、私は足を速めた。待ち合わせ場所には、後十分。あの人の車が待っているはず。持ちこたえてくれたら、私は、濡れずに助手席へ座れる。一時間近くかけたメイクやヘアセットが台無しになりませんように。
 ヒールの音が私の脳をノックする。おいおい、正気ですかと。
 これまで、あの人が、私のメイクやヘアスタイルを褒めてくれたこ

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哀愁スイカ【短編】

哀愁スイカ【短編】

 艶々と光るスイカの表皮を睨みながら、腕を組んでいるのは僕だ。
 何年スイカを食べていないだろう。
 子供の頃、夏になると父は決まって、スイカを一玉買って来た。僕は三人兄弟の長男で、次男と三男、父と母、五人家族で、そのスイカを切り分けて食べた。口の周りを果汁だらけにして、種をふざけて飛ばし合ったりして、笑いあいながら、皮の白い部分ぎりぎりまで食べた。大きな一玉は一瞬でなくなった。
 大人になってか

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月踏み【掌編】

月踏み【掌編】

 月を踏みそうになった。
 雨で濡れたアスファルトに、映し出される月の姿。かと思ったら、それは、街灯の光であった。人気がなく、足音さえも夜空に反響するほどに静かな夜。足元には、月の姿に化けた街灯の光が連なり、俺の進むべき先へと誘っている。
 傘を持つ手には、雨の滴が弾ける僅かな振動が伝わってくる。足音よりも小さな雨音が心地いい。
 顔をあげ、街路樹の青葉を見上げると、雨粒が涙のように悲しく滴ってい

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特撮のDNA

特撮のDNA

 上田市美術館で開催中の「特撮のDNA」へ行って来ました。

 入場口ではゴジラがお出迎え

 入り口のお姉さんにチケットを見せて説明を受ける。
 写真撮影とSNS投稿はオッケーで動画やフラッシュは禁止だそうです。
 ワクワクしながら入場。

 劇場版第1作目のポスター

 なんかマヌケな表情のゴジラ

 ゴジラの卵

迫力のある顔
たまらんです

尻尾長くて美しい

家に飾りたい

ゴジラの骨

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ウルフ【短編】

ウルフ【短編】

 狼のマスクを被った男。細身で長身。背筋が伸び凛としている。彼はライフル銃を手にゆっくりとした動作でステージに上がる。
 ステージの中央には講演台があり、さきほどまで熱弁をふるっていた50代の県会議員の男がいた。その男は両手を挙げている。兎の仮面を被った男がこめかみにライフルの銃口を当てているからだ。
 満席の観客席からは悲鳴が聞こえる。席を立とうとする者もいる。しかし、このホールの出入口は、鶏の

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みだれ髪【掌編】

みだれ髪【掌編】

やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君。
あなたに流れるあつきもの。
それを、どうか、私に飲ませてください。
見返りなどいりません。
ただ、あなたは、目を閉じ、夢心地でいればよいのです。
春雨に濡れ、穏やかに、眠っていればよいのです。
小琴の音を互いに奏でましょう。
雨滴る葉の下で、迷いながらも、互いの熱さ通わせ、泉の底まで参りましょう。
匂い立つ、くれないの薔薇を探し、唇を重ね、

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