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児童養護施設を出た「ケアリーバー」に、東京都の「ゆずりは」が居場所などを提供!

こんにちは、翼祈(たすき)です。
この記事のテーマは、「ケアリーバー(社会的養護経験者)」です。まず、「ケアリーバー」の説明をしたいと思います。

ケアリーバー」とは、里親家庭や児童養護施設などの社会的養護のケアから離れた子ども・若い人のことを指します。「ケア(care)」と「離れた人(leaver)」をかけ合わせた造語です。

2021年に厚生労働省が明らかにした実態調査によりますと、毎年4000人が児童養護施設を退所し、進学や就職をしますが、3人に1人が学費や生活費に悩みを抱えています。

2021年に行われた全国調査では、児童養護施設を退所した後、就職をした人は53.5%、進学した人は36.3%、まだ将来が分からない人は4.6%、その他は4.8%となりました。

仕事をしている人の雇用形態を見ると正社員が51.8%、非正規雇用が44.4%となったデータもありました。

「ケアリーバー」などを支援する事業者は全国に50程度あるとされていますが、自治体の予算措置などが整わず、まだ新しい制度を使えていない地域もあります。

児童養護施設などの若者を在籍中から退所した後まで一貫してサポートする、東京都にある認定NPO法人「ブリッジフォースマイル」の理事長の女性は、「『ケアリーバー』へのサポートが自治体の努力義務になったのは良い判断でした」と新しい制度の意義を強調した反面、「児童養護施設に在籍している時からの伴走的なサポートが重要ですが、事業が入らなかったのは残念でした。各自治体がどこまで取り組んで頂けるかで地域差が出ています」と課題を危惧しています。

今回は、「ケアリーバー」の居場所や仕事をする場所を提供している、東京都にある「ゆずりは」について、紹介します。

児童養護施設を退所してからの「ケアリーバー」の居場所「ゆずりは」とは?

画像引用・参考:アフターケア相談所「ゆずりは」

2024年4月、里親家庭や児童養護施設を退所して、原則18歳で独り立ちを求められる「ケアリーバー」らをサポートする国の新しい制度がスタートしました。頼れる大人がおらず生活困窮などに陥る実態が社会問題になっています。

新しい制度は年齢制限がなく、社会的養護の未経験な人も対象です。「ケアリーバー」のサポートの現場は、「一人でも多くの生きづらさを抱えた人に伝われば」と制度の拡充に期待を寄せています。

若い人たちに居場所を提供する、東京都国分寺市にある「ゆずりは」では、ジャム作りをする工房や、自由に過ごせるサロンがあります。育児放棄や虐待、暴力など家庭で深く傷付いた心身を癒やし、人付き合いが苦手な人の仕事をする場所になっています。帰住先のない人への短期間の居住支援も行います。

児童福祉法の改正による新しい制度「社会的養護自立支援拠点事業」は、この様な居場所の提供などに励む団体に国や政令市、都道府県などが金銭的に補助します。自治体には事業を行う努力義務を課します。

参考:頼れる大人のいない「ケアリーバー」たちに伴走支援を 社会的養護の経験や年齢を問わない国の制度が始まりました 東京すくすく(2024年)

2011年に開設した「ゆずりは」には、「借金がある」「どこにも行くあてがない」「パートナーや家族から暴力を受けている」などといった、深刻な事情を抱えた若い人から連絡が入ります。

里親家庭を高校卒業と同時に離れ、上京して大学に進学した男性は心身の不調に伴って大学を休学し、奨学金の支給が停止されました。虐待を受けた実親や、余り関係が良くない里親に頼れなかったことで困窮し、家賃を滞納してガスや電気を止められる事態に陥りました。インターネット検索で引っかかった「ゆずりは」に連絡し、生活保護の申請に同行して頂き債務整理などの支援を受けました。

「ケアリーバー」の課題

2024年度から「ケアリーバー」と呼ばれる若い人へのサポートを強化したいと、兵庫県は専用の相談窓口を設置しています。

2023年7月25日~8月10日、2018年度からの5年間に児童養護施設を退所した18歳以上の「ケアリーバー」の299人を対象に兵庫県が実態調査を行い、55.2%(165人)から回答を得ました。その結果、一人で金銭を管理することが大変だったと回答したのは「とても」「やや」を合わせ50.9%(84人)に達しました。

また「必要だと感じるサポート」(複数回答)は、「行政や契約手続き」(44.2%)が最多で、「生活に必要な情報を提供してくれるサポート」「お金に関して相談できる窓口」が同率で38.2%。「困った時に相談できる人」(複数回答)は、「施設以外の知人や友人」(55.2%)「施設の元職員、職員」(47.3%)と続き、「家族」は28.5%に留まりました。

兵庫県で行われた「ケアリーバー」の交流会では、児童養護施設を退所した大学生が退所した後の生活に関して、▽体調が悪い時に頼れる人が居ないことを不安に感じたりすることがあることや、▽行政の書類に記入する時など、分からないことがあっても気軽に聞ける場所がないことなどの意見交換をしました。

兵庫県は具体的に、▽就職先となる企業側の理解を促進すべく、企業を対象にした児童養護施設の見学会や研修を行う▽児童養護施設を退所した後も相談できる支援員を従来の2人から3人に増員するといいます。

この記事では、「ケアリーバー」が置かれている厳しい現実を突き詰めていきました。「ゆずりは」の様な居場所が、それ以外の都道府県にもいる、「ケアリーバー」には必要だと思いました。


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