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蒔倉のショートショート

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私が書いたショートショートや掌編小説をまとめたマガジンです。毎週ショートショートnoteやその他お題で書いた作品も含まれます。だいたい410字〜1000字の小説となっております。
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2024年2月の記事一覧

ドロドロ。【ショートショート】

ドロドロ。【ショートショート】

ある女から人を殺したと依頼がきた。俺はすぐに現場へ向う。
そこには男が血まみれで横たわっている。
俺はまだ温もりのある男をスーツケースに詰め込み、部屋の後処理をした。
殺した理由は、男の気持ちが他の女に傾いたからだった。

後日、新たな女から依頼がきた。現場の死体を確認する。殺されていた女は、先日男を殺したあの女だった。
「私の大好きな人を殺した罰よ!」と殺した方の女は叫んでいる。
俺は冷えないう

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悪魔を宿す。【ショートショート】#ですげーむ

悪魔を宿す。【ショートショート】#ですげーむ

俺は悪魔と契約を交わした。
特定の相手に呪いをかけられる契約だ。

「デス語で願いを言った後に3語の簡単な呪文を唱えるだけさ。」と、悪魔はしたり顔だ。
悪魔によると、呪文の前に言ったデス語の願いが叶うという。

これは自己犠牲からなる悪魔の呪文。
一定の寿命と引き換えに発動される。

気づかれないように、あの子の後ろに立つ。
俺は鋭く構える。

構え方について悪魔から指定はなかったが、右手が疼いた

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お子様ランチの境地。【ショートショート】

お子様ランチの境地。【ショートショート】

僕はとある酒場にいた。
「今回はどんな所を冒険してきた?」そう仲間に尋ねられる。
「今回は洞窟。」
「ほう、どうだった、何があった。」仲間は興味津々だ。

「洞窟の奥は…お子様ランチだった。」

その言葉を聞き、仲間は怪訝な顔で首を傾げた。
「お子様ランチ?」
「そう、あれは紛れもなくお子様ランチだった。」

=

人類未踏の地と名高い島の洞窟。洞窟は入り組んでおり、分かれ道を直感で突き進んでいく

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夜泣きの夜は。【詩的掌編小説】

夜泣きの夜は。【詩的掌編小説】

僕は怖かった。
眠ると真っ暗な世界に
ぽつんと一人、僕だけになっていた。
お父さんもお母さんも居なかった。

大きな戸愚呂を巻いた何が
ゆっくりと僕を飲み込むように近づいてくる。

僕はそれが怖かった。

眠っているといつも襲ってくるそれは
まるで黒い大きな怪物で
僕はすごく怖くて一人泣いた。
周りに誰も居なくて大声で泣いた。

誰かに助けて欲しくて
涙がボロボロ止まらなくて
怖くて怖くてヒクヒク

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間食はデジタルで。【ショートショート】

間食はデジタルで。【ショートショート】

経口摂取による不必要な間食はしないような世界になった。
それも、食のデジタル化が進んだためだ。

まだ身体を永久化することは叶わない昨今、脳への刺激で感覚を誤魔化す技術が作られた。

それは食べ物をデジタル化し、それを特殊な体内内蔵スキャナーでスキャンする。すると電気信号で満腹中枢が刺激され、その物を食べた気になるというものだ。

バレンタインもこれにならいデジタル化が当たり前となった。それが今日

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僕らのチョコレート争奪戦。【ショートショート】

僕らのチョコレート争奪戦。【ショートショート】

チョコレート、それは僕ら自身の評価に値する。
つまり、モテ度の指標であり、恋の指標でもある。

今年のバレンタインからはチョコの受け渡しが困難を極めた。

ある年からバレンタイン取締法により、バレンタインチョコは規定された敷地内でしか渡すことができなくなっていた。
それでも今までは何事もなくチョコを渡せていたが、そのチョコ妬ましく思う非リア充や恋のライバルは少なくなかった。

そんな中、非リア充に

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