前野みづ

落書き帳とメモとそれから雑記。全部同じでみんないい。 400字程度で書いたり、書かなか…

前野みづ

落書き帳とメモとそれから雑記。全部同じでみんないい。 400字程度で書いたり、書かなかったりします。

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記事一覧

大喜利(6)

【お題】「『邪道極まりないヒーローの勝ち方』どんなの?」 「札束配って黙らせる」「全員が毒爪」「敵のアジトに巨大ロボで攻め込む」「夜襲」「黒い交際をこれでもかと…

前野みづ
1年前
5

【掌編小説】喫茶店の皿

会社の昼休みによく行く喫茶店には額縁に入ったバスケットボールくらいの大きな皿が壁に飾ってある。 どこの景色だろう。手前には真っ赤な花が咲き、後ろには草原、その…

前野みづ
1年前
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【実話】二留の人(5)

[前回までのあらすじ] 二留に入った。しかし、5月半ばで何もしていない。焦った私は就活エージェントに頼るのだったが... 【恐怖の就活エージェント編②】 再度ことわ…

前野みづ
1年前
1

【実話】二留の人(4)

[前回までのあらすじ] 二留目という暗黒大陸に足を踏み入れた私。しかし、卒論も就活も手につかず気づけばゴールデンウィークが終わっていた… 【恐怖の就活エージェン…

前野みづ
1年前
5

【ショートショート】藤川球児的な

私の名前は芥川。あの芥川龍之介と同姓である。そんな共通点から私は小説家を志し、しかし挫折した。 そんな私にも来月男の子が産まれる。私はこの子に是非、この果たせ…

前野みづ
1年前
1

【実話】二留の人(3)

[前回までのあらすじ] 就活留年を決めた私だったが、内定がない。あげく卒論の提出日を間違えてしまう。そして無慈悲にも二留目に突入するのであった… ということで二…

前野みづ
1年前

【実話】二留の人(2)

[前回のあらすじ] 就活留年をした私だったが、内定もないままに10月を迎える。とりあえず卒業論文の作成にとりかかるのだが… 5年目の10月に入って「とりあえず就活は…

前野みづ
1年前
2

【実話】二留の人(1)

他人からすれば些細なことでもコッチからするとそれは大ごとだったりします。 ここは僕にとって告白部屋で懺悔室なので、もうなんでも書いてしまおうと思います。こんな…

前野みづ
1年前
3

1泊千円!西成のホテル

今月のはじめに3泊4日で大阪へ行った。実は3年ほど前のインバウンド真っ最中のあの時期にも1人で行ったことがあって、そのときはじめて西成(新今宮のあっち側)に泊ま…

前野みづ
1年前

西へ西へ

そういうわけで半年ほど宮城県という北の端っこにある実家で過ごしております。えーっと…暇です。 underworldに「two months off」という2ヶ月間の休みをありがたがる…

前野みづ
1年前
1

脳みそ溶けそう

匿名とは言っても私生活の話をさらけ出すのはなんか気恥ずかしい。そんなシャイな私の頭の中には今、一時的に大変おだやかな「凪」が訪れている。うん。 追われているも…

前野みづ
1年前
4

【掌編小説】置き引き

この日本で泥棒なんてそうそう出会うわけがない。 現に私は財布を落としたことはあっても盗まれたことはない。 そういえば以前、雨の日の暗がりの道を歩いていたら、…

前野みづ
1年前
10

【掌編小説】少年とラリアット

ワンルームの俺の部屋に少年が立っていた。その少年は子役でもやってそうな、そんな女の子のような見た目をしていた。それで僕の腰くらいの身長で上目遣いでこっちを見て…

前野みづ
1年前
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無人島にひとつもっていくなら

 出口が見えた。心の目でのなんとも抽象的な話。しかし、付き物がボロボロと剝がれる音がする。ココでの刑務所のような時間の檻からようやく出る寸法が見えた。ただし遠足…

前野みづ
2年前
4

ところでナンシー関

 無意識に似たジャンルの本ばかり読んでいたようで、気づいたら90年代サブカルの世界に迷い込んでいた。中島らも、ナンシー関…… この調子だと次は”いとうせいこう”か…

前野みづ
2年前
2

何をいまさら

 見栄張ってる奴に「それ本気で言ってる?」と言ってやりたくなる場面がある。調子が良かったら「テメエ」まで付けたい。  それがただカッコつけて背伸びしてるだけなの…

前野みづ
2年前
5
大喜利(6)

大喜利(6)

【お題】「『邪道極まりないヒーローの勝ち方』どんなの?」

「札束配って黙らせる」「全員が毒爪」「敵のアジトに巨大ロボで攻め込む」「夜襲」「黒い交際をこれでもかと使う」「怪人の日記音読」「負けてもクソでかいテロップで『勝ち』って出す」「戦ってると『子どもたち見てるから…』って耳元で囁いてくる」「この番組は夢グループの提供でお送りしました」「怪人のご両親が営む個人商店で集団万引きする」「チョーク」「

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【掌編小説】喫茶店の皿

【掌編小説】喫茶店の皿

会社の昼休みによく行く喫茶店には額縁に入ったバスケットボールくらいの大きな皿が壁に飾ってある。

どこの景色だろう。手前には真っ赤な花が咲き、後ろには草原、その背後には湖と山の影が見える。季節は秋だろうか。淡いタッチのその皿を見て、安いブレンドコーヒーをすする。

しかし妙である。

皿は食事に使われてこそ皿たりえるのにと考えれば、私はこの皿がひどく気の毒に思えた。

それは技術者であっ

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【実話】二留の人(5)

【実話】二留の人(5)

[前回までのあらすじ]
二留に入った。しかし、5月半ばで何もしていない。焦った私は就活エージェントに頼るのだったが...

【恐怖の就活エージェント編②】

再度ことわっておくが、就活エージェントは悪いものばかりではない。では、悪いものはどのようなものか。私の経験が擬似体験なれば幸いである。

5月半ば。エージェントから電話が来て3日後にzoomでの面談があった。担当者は茶髪で前髪をあげたいか

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【実話】二留の人(4)

【実話】二留の人(4)

[前回までのあらすじ]
二留目という暗黒大陸に足を踏み入れた私。しかし、卒論も就活も手につかず気づけばゴールデンウィークが終わっていた…

【恐怖の就活エージェント編①】

5月に入るとあっという間にゴールデンウィークが終わっていた。私はそれをひとり、ペラペラのアパートで迎えた。

そのときはもう5年も10年もそこにいるような気分で、「ああ私はずっとこのまま新潟で歳をとって死ぬんだ」という変な

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【ショートショート】藤川球児的な

【ショートショート】藤川球児的な

私の名前は芥川。あの芥川龍之介と同姓である。そんな共通点から私は小説家を志し、しかし挫折した。

そんな私にも来月男の子が産まれる。私はこの子に是非、この果たせなかった夢を託したい。

思えば阪神の藤川球児は「球児」という名前であればこそ、あれほどの投手になれたのだと思う。理科のスペシャリスト柳田理科雄の名が本名だと知ったときに私は確信した。

「賞」。賞という名前を付ければ否が応でも「芥

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【実話】二留の人(3)

【実話】二留の人(3)

[前回までのあらすじ]
就活留年を決めた私だったが、内定がない。あげく卒論の提出日を間違えてしまう。そして無慈悲にも二留目に突入するのであった…

ということで二留目が確定。それでここまで来ると心が麻痺するというか、慣れるというか留年では動じなくなってくる。

2022年10月までにやることは「卒業論文」と「就職活動」のこの2つだけ。ところがいいだけ逃げているので、この2つから逃げることに慣れ

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【実話】二留の人(2)

【実話】二留の人(2)

[前回のあらすじ]
就活留年をした私だったが、内定もないままに10月を迎える。とりあえず卒業論文の作成にとりかかるのだが…

5年目の10月に入って「とりあえず就活は置いといて卒論を書こう」とシフトチェンジをしました。ところがシフトチェンジしたはいいもののシフトだけ変わってやる気がさっぱり出ません。

教授とは最低限のメールのやりとりだけしかしていませんでした。それでゼミの同期はすっかり卒業

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【実話】二留の人(1)

【実話】二留の人(1)

他人からすれば些細なことでもコッチからするとそれは大ごとだったりします。

ここは僕にとって告白部屋で懺悔室なので、もうなんでも書いてしまおうと思います。こんなヤツもいるんだと、なにかの糞の役にでも立てばいいなと思います。

まだ年季浅めですが、意外と人間って生きていけます。

実は僕、大学を2留しまして(人より1年半長い)この秋にようやく卒業しました。振り返れば、サークルの先輩で浪人と留

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1泊千円!西成のホテル

1泊千円!西成のホテル


今月のはじめに3泊4日で大阪へ行った。実は3年ほど前のインバウンド真っ最中のあの時期にも1人で行ったことがあって、そのときはじめて西成(新今宮のあっち側)に泊まった。

そこは町ごと小便みたいな臭いがして、治安も見るからに悪いんだけど、当時は外国人旅行客が多くて、変に賑やかであまり気にならなかった。

ここ一帯のホテル(みたいな施設)はとにかく安くて、私が泊まったのはこのインバウンドの時

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西へ西へ

西へ西へ

そういうわけで半年ほど宮城県という北の端っこにある実家で過ごしております。えーっと…暇です。

underworldに「two months off」という2ヶ月間の休みをありがたがる曲があるのですが、「six months off」と聞いたら気絶して倒れるじゃないかと思う。

はい、今こどおじです僕(笑)。こういう言葉にうろたえやすい。「チーズ牛丼を頼む奴」のことを「チー牛」と呼ぶ、と

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脳みそ溶けそう

脳みそ溶けそう

匿名とは言っても私生活の話をさらけ出すのはなんか気恥ずかしい。そんなシャイな私の頭の中には今、一時的に大変おだやかな「凪」が訪れている。うん。

追われているものをようやくやっつけてやろうと動いてみたら意外と片付くもんなんですコレが。なにを悩んでいたんだと自分でもびっくりです。

スッカリ緊張が溶けたものの、今度は力が抜け切ったようでこれはこれで落ち着かない。

とりあえず前進したもののは

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【掌編小説】置き引き

【掌編小説】置き引き

この日本で泥棒なんてそうそう出会うわけがない。

現に私は財布を落としたことはあっても盗まれたことはない。

そういえば以前、雨の日の暗がりの道を歩いていたら、道端に二つ折りの財布が落ちているのを見つけた。好奇心で中身を見たら、レシートすらない、本当にすっからかんだった。

だけどそれは周りに人がいないからこそ行われるわけで、人の目に怯えながらそれをやり遂げる心臓に毛が生えている奴なんてそ

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【掌編小説】少年とラリアット

【掌編小説】少年とラリアット

ワンルームの俺の部屋に少年が立っていた。その少年は子役でもやってそうな、そんな女の子のような見た目をしていた。それで僕の腰くらいの身長で上目遣いでこっちを見てニコニコする。

非常に可愛らしい。しかしなぜか無性にムカムカする。

「気を遣ってんじゃねーぞ」

その瞬間、カッとなった俺は今まで一度もしたことがないラリアットをすることにした。下手くそなラリアットは少年の首を手首のあたりで捉え、そ

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無人島にひとつもっていくなら

無人島にひとつもっていくなら

 出口が見えた。心の目でのなんとも抽象的な話。しかし、付き物がボロボロと剝がれる音がする。ココでの刑務所のような時間の檻からようやく出る寸法が見えた。ただし遠足は帰るまでが遠足で、つまり出るまでが刑務所である。油断大敵。が、刑務所にしては随分楽しかった。楽しいと幸せとは違うみたいである。
I ain’t happy, I’m feeling glad. I got sunshine in a ba

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ところでナンシー関

ところでナンシー関

 無意識に似たジャンルの本ばかり読んでいたようで、気づいたら90年代サブカルの世界に迷い込んでいた。中島らも、ナンシー関…… この調子だと次は”いとうせいこう”か、それとも”みうらじゅん"か(どっちもひらがなで読みにくいので)。サブカル文化は余り存じ上げないが、これが誇るものではないというのだけは清水ミチコ伝いに知っている。

 ところでナンシー関のことである。名前は知っていたが、ついこの前まで昔

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何をいまさら

何をいまさら

 見栄張ってる奴に「それ本気で言ってる?」と言ってやりたくなる場面がある。調子が良かったら「テメエ」まで付けたい。

 それがただカッコつけて背伸びしてるだけなのか、もしくは本当のあなたなのかをコッチも確認しておきたいからである。ただ、大概こう言いたくなるときって中途半端な距離感の人との場合が多いので、実際言うことはない。

 それで先日、目当ての本を探しにブックオフへ行ったときのこと。本棚を端か

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