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ところでナンシー関

 無意識に似たジャンルの本ばかり読んでいたようで、気づいたら90年代サブカルの世界に迷い込んでいた。中島らも、ナンシー関…… この調子だと次は”いとうせいこう”か、それとも”みうらじゅん"か(どっちもひらがなで読みにくいので)。サブカル文化は余り存じ上げないが、これが誇るものではないというのだけは清水ミチコ伝いに知っている。

 ところでナンシー関のことである。名前は知っていたが、ついこの前まで昔のものまね芸人かなんかと思っていた。それで、すこし説明すると彼女は消しゴムハンコ作家兼コラムニストである。コラムは主にテレビタレントの人物評を書いていた。キャラでいうならマツコに限りなく近い、いわば視聴者目線の辛口コメンテーターのような感じである。それであっという間に買ってきた二冊読んでしまった。こんな本ならたくさん読みたい。

 この人の人物評は正直というか遠慮がない。貶すときは徹底的に貶す。ただ本人は貶している気はさらさらないような感じだが押しなべて辛口である。彼女は芸能人がまとう意味のない飾りみたいなものを全部取り外して、人物を要約する目を持っている。短い文章でこの芸能人がさて一体どんなつくりをしているのかタネを明かしてしまうから凄い。ただの悪口と違って「そうかも」と思うような理由付けと説得力がある。これ読んだ後だとヤフコメとかネット掲示板の書き込みはちょっと物足りなくなりそう(あんまり読まないけど)。

 ただ、強いて言うなら90年代の出版物なのでちょこちょこ知らない人が出てくる。榊原るみ、奥山佳恵、中谷彰宏などこの辺は歴史の教科書でも読んでる気分になった。ただそれ以外はほとんど知っているか、未だにテレビに出ている人ばかり。30年ではあまり変わらないもんだね。

 最後に人物評のプロ相手になんか人物評したようでなんかそういうつもりじゃなかったんですけどね。恐縮です。


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